「ゆるキャリではなくバリバリ働いてみたい気持ちが湧いてきました。でも恋愛・結婚が遠ざかってしまいそうなのが不安です」という25歳の相談。それに対して、健康社会学者の河合薫さんは「お仕事を究めましょう」とアドバイス。アラサー独身OL代表ニケさんは「仕事が恋人になり……気が付いたら一生独身! ということになりそう」と心配しますが……。

【Q】仕事が恋人でもいいですか?

あるあるカイシャ事件簿Vol.71「バリバリ働いたら結婚が遠ざかりそう」
 現在26歳、社会人2年目です。勉強は好きで大学院まで進学しましたが、「バリキャリしながら育児も両立」はできないと思い、「女性に優しい」会社に就職しました。ほぼ毎日定時退社、結婚・出産後も無理なく働き続けられる体制が整っていて、夫の転勤がある場合は、その地域の事業所に異動希望を出せます。
 ところが結婚したいほど好きだった彼と別れて半年。好きな人も見つからず、ふと仕事に物足りなさを感じ、もう少し自分に負荷をかけて仕事に臨みたいと考えるようになりました。
 でもそんな環境に身を置いたら、ますます恋愛・結婚から遠ざかってしまうのではないか……。そして一生独身では? という不安もあります。
 この迷い、どうすればよいでしょうか。(25歳、製造、総務、独身)

【A】仕事に打ち込むのが正解!

カワイ 迷う必要なし。仕事に打ち込みなさい。

ニケ ゲッ! ま、まさかそれが今日のファイナル・アンサー?

カワイ そうですよ〜。「もっと仕事に臨みたい」だなんて、とてもすてきなことじゃない。人生なんてもんは、あり得ないことの連続なの。そのまま「あり得ない」方向に、踏み出すべし!

ニケ で、でも〜、勉強好きで大学院まで行っちゃったってことは、究めないと気がすまない性格で〜、仕事もとことんやってしまいそうな……。

カワイ 究める! とことん! いいじゃない!

ニケ ですから……、このまま「王子」に出会うこともなく〜、仕事が恋人になり〜、気が付いたら「わああぁぁ! 独身じゃん、わ・た・し!」なんてことになっちゃて、ホントにいいんですかぁ〜?

一生懸命頑張っている人はいとおしい

カワイ 運良く結婚したって、あっという間に戻ってきて、そのまま独身って人はやまほどいます。かと思いきや、「ずっと独身」と諦めていたら60過ぎて結婚しちゃう場合もあるし……。

ニケ い、いやいや、ダメです! やっぱりダメ! だって、仮に独身でいたとしても、恋くらいはしたいじゃないですかぁ〜。

カワイ すればいいじゃない。

ニケ んっもう〜、 薫さんっ! なんで乙女の気持ちを分かってくれないんですかっ! 仕事が忙しくなったら、恋愛なんかできませんっ!

カワイ そんなことはありません。仕事脳と恋愛脳はまったく別物です。仕事でデートする時間がとれない。でも会いたい。会いたい。会いたくてたまらない。それで夜中にちょっとだけ会う。……こういう時間がイイのよ! 好き好き好き好き〜って盛り上がるし。何よりも、仕事漬けになっている日々に潤いが戻る。「また明日から頑張ろう!」ってエネルギーがチャージされます。

ニケ でも、芸能人とかで、「お互いの仕事が忙しくて、すれ違いが多かった」とかよく言ってますよね?

カワイ アレは言い訳。片方の気持ちが離れているか、もともと縁がなかったか、いずれかです。

ニケ ううう……ただ……その前に仕事が恋人になってしまったら、「彼氏」ができないと思うのであります……(イジイジ……)。

カワイ じゃ、ニケさんに質問です。「好きな人もできな〜い、仕事も物足りな〜い」と悶々(もんもん)としている女性と、「よっし、頑張るぞ! オーッ!」と前向きに生きてる女性。キラキラしてるのはどっち?

ニケ 前向きに生きてる女性です!

カワイ でしょ!

ニケ ギャッ! うぅ、あんなに食い下がったのに……まんまと薫さんペースにはまっているような……。

カワイ (笑)自分の可能性に向かって歩いている人は、キラキラしていてすてきです。人間って不思議なもんで、一生懸命頑張ってる人って、応援したくなる。必死で踏ん張ってる姿って、ものすごくいとおしい。ってことは……男性にもモテるようになるってことです。言ったでしょ。人生はあり得ないことの連続だ! って。

ニケ なるほど〜。そっちか〜。確かに、強い意志を持って前向きに生きてる人って、キラキラしててすてきですよね〜。ニケなんて、いっつもイジイジしてる……。なんか反省。

シンプルに「やりたい」という気持ちを大切に

カワイ そもそも、なぜ、これまで多くの女性たちが、管理職になれないことに対して、不満を持ち、女性活躍の道を切り開こうとしてきたのか?

ニケ な、なぜって?

カワイ なぜ、これまで多くの女性たちが、出産後に復職したいと願ったのか?

ニケ なぜなんでしょうか?

カワイ それは、「そうしたかった」のに、できなかったからです!

 「管理職になったら、大変でいいことなんか一つもないのに」って考える女性もいるけど、「たとえ大変な労力と重い責任を背負わされることになろうとも管理職をやりたい」という女性もいる。「子育てと仕事の両立なんて、私にはハードルが高過ぎる」っていう女性がいる一方で、「たとえ睡眠時間が減って、体力も必要でやり遂げられるかどうか不安でも、復職したい」という女性もいる。

ニケ そんなに大変だって分かってるのに、なぜなんでしょうね? やっぱり、意識高い系の人たちなんですね。きっと。

カワイ それは違うと思いますよ。至極シンプルに「やりたかった」。なぜなら、「やりたい!」と思える楽しさを、仕事に見いだしていたからです。子育てと仕事を両立するのは大変だけど、自分のキャリアをもっと高めたい、自分の能力をもっと発揮したい。そう願う気持ちがあったからです。

 彼女たちは必ずしも最初から、「管理職になりたい!」とか、「子育てを両立したい!」と願っていたわけではない。働いているうちに、そういう気持ちになっただけ。意識の高さとか、バリキャリとか関係ない。ほとんどの人たちは、働いているうちに仕事が楽しくなった。ただ、それだけです。

ニケ ってことは、や〜っぱりこのまま仕事にまい進しちゃうと、やばくないですかぁ〜?

カワイ でも、今の25歳独身さんは、「やりたい気持ち」になっているわよ。

ニケ 「好きな人も見つからないから」じゃないんでしょうか。

カワイ それは言い訳ね。彼と別れてなくても、新しい彼が見つかっても、今と同じ気持ちになっていたと思いますよ。

「INTERESTING」と思える仕事は?

ニケ そしたら、余計悩んじゃったかも……。彼を好きな気持ちを取るか、仕事をやりたい気持ちを取るか……。ってことは、彼と別れて正解、かもね!?

カワイ いずれにしても、一見バリキャリでやってる女性でも、「仕事が一番!」とか、「何が何でも仕事!」とか、「仕事にすべてを捧げたい」と思ってるわけじゃないと思いますよ。

 ただただ、至極シンプルに、何かを「やりたい! やってみたい!」と心が動く。それは仕事への興味でもあり、自分自身への興味でもあります。理屈じゃない。「やりたい。働き続けたい」。そう心が引きつけられる。そういう気持は、大切にしたほうがいい。

ニケ 恋する気持ちが止められないように、仕事を恋する気持ちも止まらない〜。ど〜にもとまらない〜♪

カワイ (笑)ずいぶん古い歌知ってるのね。

ニケ テヘッ。父のおはこです! 山本リンダ〜、う〜、リンダ困っちゃう〜♪

カワイ お父さん、さすがですね(苦笑)

 仕事ってね、あるとき楽しくなる気持ちが芽生えることがあります。「ENJOY」ではなく、「INTERESTING」。

 もっと知りたいとか、もっといい仕事したいとか、「もっと」って気持ちになる。25歳独身さんはそういう気持ちになってきてるってこと。キラキラ女子のスタートラインに立ったのね。良かったじゃない!

ニケ うふふ……。ってことは、仕事に「INTERESTING」の薫さんは、この先も仕事が恋人で……。

カワイ 突然、ビビビビビと来たら、仕事は即、辞めまーす! 「彼」のために生きる女になるわ〜。

ニケ ま、まじすか? もったいないじゃないですか!

カワイ そのときもったいないって思わなくていいように、日々、一つひとつ、やりたい放題やってますから、いつ辞めても後悔はありません!

ニケ おおおぉぉ! 25歳独身さん、薫さんもそう言ってますので、どうかそのままキラキラ女子へGO! ……ニケは、INTERESTING感情が湧いてくるのを、しばし待ちま〜す。

カワイ (ガクッ)……そうね。気持ちが赴くまま……、そういう気持ちも大切ですね。じゃ、また来週〜。

文/河合薫 写真/PIXTA

Profile河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D)。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わりながら、講演や執筆活動を行う。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。メルマガ「デキる男は尻がイイ―河合薫の社会の窓」を配信。