「転職人気ランキングで常に上位に入る人気企業には、いったいどんな人が入ってるの? どんな転職活動をしたの?」そんな疑問を持ったことはありませんか? もしかしたら、人気企業に転職した人の転職ストーリーには、転職活動がうまくいくヒントがあるのでは? そんな期待を抱きつつ、編集部では転職人気企業への取材を敢行。第一弾としてお邪魔したのは、転職サイト「日経WOMANキャリア」でも常に人気上位のサイボウズ。グループウェアサービスなどを提供するIT企業です。転職でサイボウズに入社した二人に転職ストーリーを聞いてきました。

 編集部は一人ずつ、転職の経緯を聞いてきました。
 ■前回の記事は「あの人気企業サイボウズに転職した女性の転職ノウハウ」

Case2 サイボウズ 田中那奈さん

――サイボウズに転職しようと思われたきっかけは?

田中さん:実は、転職活動をするまでサイボウズのことは知りませんでした。前職は住宅メーカーに勤めていたのですが、育休復帰後、どうもうまくいかず、もやもやしていた時に、ネットで「ママ 転職」と検索したら、「ママも活躍しています」と出てきたのがサイボウズだったのです。

――もやもやの原因はなんだったのですか?

田中さん:大きな不満があったわけではありませんでした。安定した大企業でしたし、上司も同僚もいい人ばかりで、仕事も好きでしたので、定年までいるつもりで働いていました。忙しい時期は、終電ぎりぎりまでの残業は当たり前、決算中は何泊もホテルに泊まり込んで深夜まで働くこともありましたが、やりがいもありました。もやもやしてきたのは、育休後、時短勤務で職場復帰した後からです。

――ほほう。やはり育児と仕事との両立が大変だった?

田中さん:いえ、そうではないんです。

 時短ということで、メインの業務は外れ、他部署からの問い合わせや業務改善などの周辺業務に就くことになりました。職場のみんなも配慮してくれたので、大変でしたが両立もできていました。

 ただ、なんというか「責任ある仕事を任されて残業も泊まり勤務も全部やるのか、それらを全くやらず時短勤務するのか、1か0しかないの? その中間はないの?」ということにもやもやしてきまして……。自分から会社に働きかけて変えていけばいいのですが、古い体質の会社で、変えていくのもなかなか難しいかもと。それなら会社を変わってみてもいいかも、と思うようになりました。

転職はキラキラバリバリの人だけがするものと思っていた

――ママでもやりがいのある仕事ができるところを探そう、と思って転職活動を始められたのですね。

田中さん:それが、そうでもないんです。

 最初は「子どもが小さいうちは仕事辞めようかな」とさえ思っていて、ましてや正社員での転職は考えていませんでした。転職というのは、スキルアップとかしているキラキラバリバリの人がやっているイメージで、淡々と地味に経理をやってきただけの自分には無理だと思っていたのです。ただ、夫からは、私が仕事好きなのを知っているからか「たぶん、働いたほうがいいと思うよ」と言われまして(笑)。

――那奈さんのことをよく分かっていらっしゃるからこそのアドバイスですね。転職エージェントなどには登録されましたか?

田中さん:はい。女性の転職を応援している、という転職エージェントだったのですが、相談に行ったら「時短、ママで正社員という求人はまずないですよ」と言われました。「でも、サイボウズさんではママも活躍しているそうですよ」と聞いたら「サイボウズさんは人気だから入れません」と即答されてしまいまして、「やっぱり、キラキラバリバリでないと転職は無理か……」と落ち込みました。

 ですが、別のエージェントさんに相談したところ、あっさり「お子さんがいても正社員いけますよ」と言われ、気を取り直しました。

――それはショックでしたね。サイボウズにひかれたのはやはり働きやすさですか?

田中さん:それだけではありません。

 「子どもとの時間を犠牲にしてまで働くのだから、働きがいのある会社で働きたい」と思っていたのですが、いろいろなところでサイボウズに関する情報を見るにつけ、サイボウズの目指す方向は私にぴったりだ、と思うようになっていました。そんな折、年末、実家でサイボウズの採用情報を見ていたら、経理を募集していたので、思わずスマホで直接応募してしまったというわけです。

面接中に、もっとバリバリ働きたいという気持ちに

――エージェントを通さず応募されたわけですが、面接ではどのようにご自身をアピールしたのですか。

田中さん:特別なことは何も。ただ、経理の仕事が好きだということと、経理業務を一通りやってきたことを伝えました。今のサイボウズがちょうどシステム化や効率化を図ろうとしているタイミングだったので、「大企業で経理業務を経験してきたノウハウをぜひ生かしてください」といったことを言っていただいた覚えはあります。

 印象的だったのは、社長面接で「以前から経営理念を表現する会計のあり方があるのではないかと思っていた。いつか経営理念と会計をつなげるような仕事をしたい」といった話をしたところ、社長が深く共感してくれたことです。「この会社は理念を本当に大事にしている会社だ」と感じ、「ここでなら時短も働きやすさなども関係なく、もっとバリバリ働きたい」という気持ちになりました。

――転職から1年少したちましたが、サイボウズでの働き心地はいかがですか?

田中さん:入社してみて、本気で「チームワークあふれる社会を創る」といった理念を実現させようとしている会社なのだと分かりましたし、入社前とのギャップはないですね。働きやすさはもちろん、新しいこと、やりたいことにチャレンジさせてもらえる機会もあり、刺激的な毎日です。

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 今回、取材した二人の共通点は、仕事に対するあふれるほどの熱意。もやもやの状態を見極め、脱し、自分が信じた道をまっすぐに突き進む強さも感じました。「入社後もぼーっとしてはいられない。常に新しいことにチャレンジしている」「人気企業だからといってキラキラしているわけではない」という言葉も印象的。刺激的な毎日の中で活躍するための努力を惜しまないからこそ、満足のいく転職ができたのだと思いました。

【サイボウズへ転職をした二人の転職ストーリー】
1.あの人気企業サイボウズに転職した女性の転職ノウハウ
2.転職はキラキラバリバリな人だけがすると思っていた(今回の記事)

文/井上佐保子 写真/鈴木愛子