電車の座席に座っている人が全員スマートフォンを見ているという光景が当たり前となってきた。「食事中もスマホを見ることが多い」「スマホが振動したと錯覚することがある」という人は、スマホとの付き合い方を見直してみてほしい。

大人の大半がスマホ依存症予備軍?

 皆さんはスマートフォンと適切に付き合えているだろうか。「自分はスマホ依存かも」と感じている人もいるかもしれない。スマホ依存の実態と怖さ、対策についてご紹介していきたい。

 総務省の「情報通信白書」(平成26年版)によると、10〜20代にネット依存傾向の高い層が多く、年齢層が上がるにつれて依存傾向の割合が低くなっている。スマートフォンの有無で見ると、スマホ保有者のほうが依存傾向は高い。インターネットの利用目的で見ると、SNSなどの「コミュニケーション」を利用目的として挙げているユーザーほどネット依存の傾向にあるという結果が出た。

 マーケティングの国際組織・MCEI東京支部の「モバイル機器の利用実態」に関する調査(2014年10月)も興味深い。大人のビジネスパーソンである会員を対象にモバイル機器への依存度を調査したところ、最も多かったのは「スマホ依存予備軍」で67%。続いて「軽症」が22%、「問題なし」は10%、「重症」は1%だった。ほとんどのビジネスパーソンがスマホ依存症になる可能性があるということだ。

 同調査によると、以下の項目で一つでも◯がついた人は「スマホ依存予備軍」になるという。皆さんは大丈夫だろうか。

【危険度の高い項目】
□ 食事中にスマホなどの端末を見ていることが多い
□ 友だちと一緒にいてもずっとスマホを見ている
□ 会議や宴会中などでもSNSが気になり、スマホを見てしまう
□ もしSNSがなかったら、人間関係がなくなると感じる
□ SNSに書き込むネタを作るために行動することがある
□ 自転車に乗りながらスマホを見ている
□ TPOにかかわらず、無意識にタッチパネルを触っている

 ちなみに、実際には着信していないのにスマホが振動した気がしてしまうのは 「ファントム・バイブレーション・シンドローム」と呼ばれる錯覚現象であり、特に注意が必要だ。

リアルの生活への悪影響も

 スマホ依存は、一体何が恐ろしいのだろうか。

 重度のスマホ依存になると、リアルの生活における悪影響が大きくなる。健康面においては、視力低下や肩凝り、慢性疲労、運動不足による肥満などが挙げられる。

 人間関係や社会生活上に悪影響が出ることもある。夜いつまでもスマホを見ていることで睡眠不足や睡眠障害に陥ったり、昼夜逆転、遅刻や欠席、学業・業績不振、不登校や退学、退職などにつながる可能性もある。人間関係にヒビが入ったり、友人と仲たがいしたり、パートナーと別れたり、さらには家事・育児の放棄、仕事を放棄して退職してしまう例もあるというから驚く。

 スマホ依存の影響は、自分自身だけにとどまらない。地域の情報化を支援するNPO法人e-Lunchの「親と子どものスマートフォン・タブレット利用調査結果」(2014年12月)によると、親のスマホ利用時間が長くなるにつれて、子どもがスマホを使う時間も長くなる傾向があるという。親の利用習慣は子どもの利用習慣に直接影響するのだ。

 スマホ依存は軽視してはいけない現代病といえる。では、どのような対策を施せばいいのだろうか。

スマホ依存防止アプリを活用しよう

 目的は、スマホに「使われる」のではなく「使いこなす」こと。そのために、自分のスマホ依存状態を客観的に知ったり、利用時間や頻度をコントロールできるアプリをご紹介したい。

Forest:スマホ中毒の解決法
iOS 120円/Android 無料(アプリ内課金あり)
仕事などに集中したいとき、アプリを起動してForestに種を植えよう。30分間かけて植えた種は徐々に大きな木に成長し、コインがもらえる。コインを集めると新しい種類の木を植えることができるように。もし自分が設定した時間以内に他のゲームやSNSをしてしまうと木が枯れてしまう。
スマホ依存対策BreakFree
iOS、Android 無料(アプリ内課金あり)
スマホの中毒度を自動診断し、使い過ぎているときは警告してくれるアプリ。特定のアプリを長時間利用したり、通話回数が多すぎたり、1時間を超えてスマホを利用するなど、スマホの過剰利用を検知すると通知してくれる。スマホの通知管理、インターネットの遮断、着信拒否と自動メッセージの送信など、スマホ利用を管理するための機能も充実。
時間を浪費しないSNSブラウザ ツイタイマー
iOS 無料
SNS依存者向けアプリ。タイマーと一日の利用回数を設定して、TwitterやFacebookの利用を制限することができる。
Flipd - Remove distractions
iOS、Android 無料
集中したいときに、設定した時間だけスマホの使用が制限できるアプリ。使い方を紹介しよう。まず「Get Full Lock Permissions」→「Continue」→「here」とタップする。次に「インストール」をタップし、確認画面でも「インストール」をタップ、「信頼」を選び、設定用プロファイルをインストールする。設定したタイマーが切れるまで、SNS系などの不要なアプリが端末から非表示となる。ただし、タイマー後はアプリの並びが変わってしまうので注意してほしい。

 今回ご紹介した以外にも、さまざまなスマホ依存対策アプリが存在する。生活にうまく取り入れてスマホの利用をコントロールしてほしい。

【参考】

実は、ビジネスマンも危ない!? 「スマホ依存症」
総務省 情報通信白書(26年版)ネット依存傾向の国際比較
親と子どものスマートフォン・タブレット利用調査結果

文/高橋暁子 写真/PIXTA

Profile高橋 暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育等について詳しい。元小学校教員。「スマホ×ソーシャルで儲かる会社に代わる本」「Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本」(共に日本実業出版社)他著書多数。近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎/出版社のホームページ)。
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