仕事で忙しく、いっぱいいっぱいになっているときや、理不尽なこと、不愉快な出来事があったとき、あなたはどんな心理状態でしょうか? それを顔や態度に表していませんか? 「デキる人」は、メンタル面も違っていました

真面目で優秀、でも損な役回り それが「いい人」

 第1回(『「いい人」に未来はない 脱・いい人のススメ』)では「いい人」と「デキる人」の違いを、第2回(『もしかして私、都合のいい人? 「いい人」度チェック』)では、「いい人」でい続けることのデメリットをお伝えしてきました。

 今回は、「いい人」をやめて「デキる人」を目指すために、メンタル面にフォーカスを当てていきましょう。

「いい人」と「デキる人」の違い

 朝、職場に顔を出した瞬間のあなたは、どのような心理的状態でしょうか? 輝く笑顔で、希望いっぱいのわくわく感を伴い「おはようございます!」としっかり挨拶していますか? それとも、出勤前の自宅や通勤途上で遭遇したイヤなことを引きずって、不愉快な気持ちのまま席に着いているでしょうか?

 職場は、仲良しクラブではありません。嫌な上司や同僚、迷惑なお客様と接する機会もあるでしょう。仕事をしていれば、自分の意見が通らないことや、好きではない仕事を頼まれることだってありますよね。誰でも多少は「イラッ」「ムカッ」とすることが、あると思います。

 そんなネガティブ感情が動くこと自体は、何も悪くはありません。すべての人にはハート(感情)があるのだから、何らかの出来事が起こる瞬間ごとに、あるときはポジティブへ、あるときはネガティブへと感情が揺れ動くのは当然のこと。

 ところが、その感情が揺れ動いた直後に、「いい人」と「デキる人」に違いが見られるのです。

他人の目が気になる「いい人」

 「いい人」はもともと、他人の目を気にしやすいタイプです。相手の目に自分はどう映っているか? 自分の振る舞いで相手はどう感じているか? それが非常に気になります。

 「Aさんは、どうしてあんな言い方をするんだろう?(イラッ)」
 「Bさんに、私はダメな人だと思われちゃったかな?(ウジウジ)」

 しかも、「いい人」には、ネガティブ感情を長時間にわたって握り締めている人が多いです。

 イラッと感じるのはわずか一瞬の出来事ですが、いつまでもAさんのセリフやBさんの前で気まずい思いをしたことを繰り返し反芻(はんすう)する。翌日も、翌週も、翌月にまでも持ち越す。

 そうこうする間に、またAさんBさんと接する機会があり、他の人に対してイラッ、ムカッとすることが度重なるのです。

 こうして、「いい人」たちは、だんだん不愉快・不機嫌な人になっていきやすいのです。これが、「いい人」がいくら頑張ってもチャンスに恵まれない最大の原因です。

自分とよく似たものを引き寄せている

 物理学の世界では、「万物は固有の波動を発して」います。それは人間も同様です。一人ひとりが、常にその人の波動を発している。ネガティブ感情を握り締めて不愉快なときは、イライラな波動を発するのです。

 この波動には、自分とよく似たものを引き寄せるという習性があります。

 不機嫌な人は、不機嫌な波動を発して、その波動とよく似た不機嫌な事象を引き起こします。不愉快な人は、さらに自分を不愉快にさせる人や現象に目が向きます。そのたびにイラッとし、ムカッとし、ウジウジしていると、余計にイヤな現象が起きます。

 やがてその人は、職場ではすっかり「不機嫌な人」「いつもイラッとしている人」という評判が定着していきます。

 上司が何か仕事を頼もうかと思っても、「不機嫌そうだから、今はやめておこう」と思うのです。ミーティングに誘おうかと思っても、「この話は別の人に持っていこう」となります。悲しいことですが、そういったタイミングでの仕事やミーティングこそ、長年望んでいた絶好の機会だったりするのに……。

 よく覚えておいてください。不機嫌や不愉快な気持ちは、チャンスを遠ざけるのです。

 一方で、「デキる人」は、どうでしょうか?

自分で感情の立て直しをしている「デキる人」

 「デキる人」は基本的に、業務遂行能力が高い人たちです。ということは、その人から見て周囲には、相対的に「自分よりイマイチ」の人が多いわけです。

 「自分なら短時間で簡単にできることが、どうして他の人は遅い上に要領が悪いんだろう?」「なんでこんなことも満足にできないんだろう?」と残念に思ったり、相手を非難したくなる瞬間もあるかもしれません。

 しかしそんなとき、「デキる人」は、すぐに自分のネガティブ感情に気付いて、自分で感情の立て直しを行っています。

 「まぁ、仕方がないな」「そういうことにしておこう」

 これが、ネガティブ感情に落ちた状態から、ニュートラルな状態に戻るための魔法の呪文です。

 「デキる人は」、いつまでもネガティブ感情を握り締めるようなことはしません。さっさと手放し、ニュートラルに冷静に考えられる状態にすぐに戻ってくるのです。

 気持ちを切り替えたら、「さて、より良い結果を出すために、これから何をどうすればよいのか?」と、論理的に考えます。グダグダ文句を言う間もなく、すぐに次の仕事に着手します。

 だから、「デキる人」は、ストレスをためません。自分自身でストレス・マネジメントができるから、安定して考え、行動し、成果を出し続けられるのです。

感情のコントロールも仕事術の一つ

 「いい人」から「デキる人」にポジション替えするために、感情をコントロールできることは必須スキルです。職場では、適度な感情表現は分かりやすく魅力的ですが、感情だだ漏れ社員は、単なる精神的未熟者と見なされるでしょう。

 特に不機嫌・不愉快な波動は、職場全体にまるでインフルエンザのように急速に広がっていくので厄介です。職場でたった一人でも不機嫌な人がいれば、近くで仕事をしている人たちにも不機嫌さが伝染していきます。当然、仕事の効率は落ち、ミスも起こりやすくなります。

 ですから、ゆめゆめ自分から職場に不機嫌を広げないように、十分注意しましょう。

 代わりに、笑顔や元気な挨拶、ちょっとしたジョークは、インフルエンザに感染した職場で特効薬のような役割を果たします。ご機嫌な人は、それだけで価値が高いのです。

 「デキる人」は、それを知っているから、自分をご機嫌に保つよう努めています。

 「いい人」の皆さんは、次回までにぜひ、自分の感情の状態に注意を向けて、不機嫌からご機嫌にシフトする方法を工夫してみてください。

 それが、「デキる人」への次の一歩につながると信じて。

文/キャサリン門田 イラスト/六角橋ミカ

Profileキャサリン門田
キャリア・イノベーション協会代表理事、経営コンサルタント、キャリアカウンセラー。本業である経営コンサルタント業務のかたわら、多くの人のお悩み相談に乗っている。心理学、経営戦略理論を駆使したアドバイスは、キャリア、お金、人間関係、恋愛・結婚・離婚、天職など幅広い分野をカバーする。今秋から魂が輝く生き方を指南する「薔薇色仕事塾」「天命IDEA塾」を主宰。