偏食がひどい、座って食べない、少ししか食べないなど、子どもの食事には悩みがつきもの。料理研究家・上田淳子さんの著書『うちの食べてくれない困ったちゃんが楽しく食べる子に変わる本』(日本文芸社)から、今すぐ実践できる毎日の食事のアドバイスを連載形式でご紹介します。<<連載『うちの食べてくれない困ったちゃんが楽しく食べる子に変わる本』の他の記事も読む>>

わが家は「食卓劇場」言葉がけがキモ

毎日笑顏の絶えない食卓。それが私の夢でした。「え、そんなこと?」と笑われるかもしれませんが「毎日笑ってごちそうさまがいえること」が、私にとってはなにより大事な子育ての目標でした。

「うわ〜、これおいし〜〜い!」「どう?ちょっと食べてみて!すっごくおいしいよ!」

大げさすぎるかな、と思うくらい食卓を盛り上げようと奮闘していました。まさに「食卓劇場」といっていいくらい。

食卓とは、みんなと一緒におしゃべりし、「おいしい、おいしい」といいながら楽しく食べる場だという刷り込みを、小さいうちにしたかったのです。

もちろん、そうなるまでには食べない子に悩んだり、お皿を投げられてキレそうになったり、たくさん失敗もしてきました。食卓を楽しくするためには「言葉がけ」がとても大事だと思います。ここでは言葉がけののポイントを紹介します。

【ポイント1】ほめポイントを見つけながら、「がんばったね!」

まず食卓を、子どもにとって楽しい場にしてあげましょう。

苦手なものが多い、食が細い子であっても「それだけしか食べないの?」と、食べないことを否定しないであげたい。「もっと食べなさい」と、無理強いしないであげたい。

ただし、応援はしてあげましょう。一口でも食べたら、

「うわ~、がんばったね!」

「昨日より、いっぱい食べられたね!」

と、いいところを見つけていっぱいほめてあげること。食べられなかったら、無理強いする代わりに、

「これってとってもおいしいのよ」

「ママも大好きなんだよ!」

とアピールする。それもひとつの応援です。お母さんにつられて食べてくれるかもしれません。

子どもの運動会で、わが子がこれから走ろうというときに、応援しない親はいません。

食事だって同じ。子どもなりに一生懸命食べようとしているのだから、お母さんはぜひ、一番の応援者であってほしいなと思います。

【ポイント2】「好き嫌いが多い」より「食べ物を探検中なの」

同じできごとでも、言い方ひとつで笑い話になったり悲しい話になったりするものです。どうせなら、笑っていられるほうがいい。ネガティブなことを口にしそうになったら、ポジティブな言葉に言い換えてみてはどうでしょう。

お母さんがよその大人に「うちの子は○○なの」と話すのを、意外と子どもは聞いているもの。「うちの子ったら好き嫌いが多くて困っちゃう」とネガティブな言葉を伝えるよりは、好き嫌いが多い子は、

「いろいろな食べ物を探検中なの」

「一緒に好きなものを増やしているところなの」

と表現すると、子どもの食へのイメージも変わるかもしれません。

なんでも食いつく子なら「好奇心が旺盛な子」、暴れん坊な子は「活発な子」、引っ込み思案な子は「落ちつきがある子」。

言い換えを楽しむくらいの気持ちでポジティブワードを探してみましょう。

子どもの「ダメ」をわざわざ見つけて、「私のしつけが悪いせい」と自分を責めるのはナンセンス。お母さんのせいではない、ということを覚えておいてくださいね。

【ポイント3】「じゃーん!初めての食べもので〜す!」

まだ離乳食から普通食になったばかりの頃は、どんな子どもでも、初めての食べ物を警戒するものです。そんな子には、こんな言葉がけも効果的です。

「キュウリっていいます!よろしく〜!」

とキュウリの気持ちになって自己紹介してみたら、子どもも親しみを感じてくれるかもしれません。なんだか楽しいことにチャレンジするような、わくわくした気持ちになります。

ごはんをつくる気になれなくて、今夜は卵ごはんだけというときも、

「じゃーん!今日はスペシャル卵ごはん!」

とすごいごちそうみたいにテーブルに登場させてみます。そうすると子どもたちも、目をランランとさせてくれるはず。単純というか、かわいいというか。

【ポイント4】ゲーム感覚で「よ〜いドン!」や「じゃんけんぽん」

わが家の正反対の性質の双子たちは、一人は食べっぷりがいいのに、もう一人はゆっくり遠慮がち。そんなときは、

「さあ、競争しよう!」

と、ゲーム感覚で盛り上げてみたり、おかずが最後に1個だけ残っていたら、

「じゃんけんで決めよう」

といってみたりしました。そうすると、たいして好きなものじゃなくても、なんだか食べたくなってくるから不思議です。

【ポイント5】命令形より「一緒に○○しよう」

「食べなさい」というよりは、「さあ食べよう」。命令形ではなく、常に「一緒に○○しよう!」と、「Let's〜!」形で声をかけるのも大切。

大人だって、やらされ仕事はイヤなものですから、子どもだって同じです。

与えられたものを「食べなさい」といわれるより、「一緒に食べよう!」といわれるほうが、子どもも素直に「食べてみよう」という気持ちになるはずです。

【ポイント6】「〜しかできない」ではなく「〜もできたんだ!」

小さな子どもの新しい味への勇気あるチャレンジは、無条件にほめてあげたい。

だから、たった一口しか食べなくても「一口しか食べてないんだ」ではなく、

「え〜、一口も食べられたんだね!」

といってあげたい。

「まだこれだけしか食べてないの?」ではなく、

「もうこんなに食べちゃったの?嬉しいな」

といってあげたい。

それは小さな成功体験を積み上げていくのと同じこと。食だけでなく、その子が将来生きていく土台となる自信やチャレンジ精神も育てていくことだと思います。

【ポイント7】「おいしい魔法をかけました〜!」

わが家の息子が嫌いなニンジンを、ちょっと味つけや調理法を変えて出してみたときのこと。子どもたちは「そんなふうにごまかそうと思ったって、それはボクの嫌いなニンジンでしょ。ちゃんとお見通しだよ」という顔で、お皿を見ています。子どもって案外あなどれないのです。そんなときはこの言葉がけで。

「じゃーん!これはいつものニンジンじゃないよ!おいしい魔法をかけました〜!」

魔法という言葉に反応して、子どもたちは興味津々です。

嫌いな食材をつぶしてポタージュにしたり、見えないように細かく刻んだり、手をかけて調理するよりも、こんな一言が効果的だったりするのです。

【ポイント8】「ごはんさんが口の中に入りたがってるよ」

食べ物をスプーンの先でもてあそぶばかりでなかなか口に入れない子には、

「ごはんさんが口の中に入りたがってるよ〜」

「ピーマンさんは、つつかれるより食べてほしいと思っているよ」

というように食材の気持ちになって声をかけてみてください。

「お母さんがせっかくつくったのに」といっても聞かないけれど、「ピーマンさんがそういうなら」と食べる気になるかもしれません。

「さっさと食べなさい」「そんなことしちゃダメでしょ」と叱らないですむ方法は、工夫すればいろいろあるものです。頭の体操のつもりで楽しみながら考えてみてはいかがでしょう。

【ポイント9】「いらないの?ラッキ〜!」

子どもが食べ物を残したときは、がっかりしたり、小言をいったりする代わりに、「え〜、こんなにおいしいのにいらないの?ラッキー、ママがいただきまーす!」

といって、さもおいしそうに食べてみてください。

そんなふうにいわれたら、大人だって、なんだかとてもおいしいものを食べそこねたような気がしてきますよね。「そんなにおいしいなら、ちょっと食べてみよう」と気持ちが動くかもしれません。

ちなみに、わが家では今、食べ盛りの息子二人があっという間に食卓にあるものを平らげてしまいます。ちょっとよそ見していると、おかずがなくなっていることもしばしば。子どもの残したものをたくさん食べていた時期は、本当にラッキーだったのかも......とさえ思うこともあるくらいです。

【ポイント10】「すごいね!」より「ママは嬉しいな」

「子どもをほめるのは大切」と誰でもわかっていると思いますが、ほめるにしてもボキャブラリーが豊富でないと、いつもワンパターンになってしまいます。

子どもも、「すごいね」「えらいね」だけでは満足しなくなります。口先だけと子どもも感じ、本当にほめられた気がしないのでしょう。4歳、5歳になると、知恵もついて、「食べさせたいからそういうんでしょ」と鋭いところをついてきたりします。

そんなときは、できるだけ具体的にほめること。ただ「えらいね」だけでなく、「ママは嬉しい」というとより心に響きます。たとえば、

「お野菜を全部食べてくれて、ママは嬉しいな」「初めてのお野菜にチャレンジして、ママはすごいと思うよ」

子どもはお母さんが喜ぶのが一番嬉しいものです。お母さんが喜んでくれるなら、がんばろうかな!と思ってくれるかもしれません。

まとめ

食卓を楽しい場にするために、
ポジティブ言葉を駆使しよう。

(上田淳子『うちの食べてくれない困ったちゃんが楽しく食べる子に変わる本』(日本文芸社)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)

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書籍『うちの食べてくれない困ったちゃんが楽しく食べる子に変わる本』について

「好き嫌いが多い」「食べないで遊んでばかり」「特定のものばかり食べる」など、子どもが食べてくれない悩みはさまざま。

どうにかして食べてもらえるように、試行錯誤を繰り返しているママもいるでしょう。

『うちの食べてくれない困ったちゃんが楽しく食べる子に変わる本』には、そんなお悩み解決のヒントが盛りだくさん。

偏食がひどい双子を育てあげ、ママのための料理教室を開催している料理研究家の著者が、子どもがおいしく食べられる調理のコツや食卓で習慣にしたいことなど、今すぐ実践できるアドバイスを解説しています。

上田淳子さんのプロフィール

神戸市生まれ。辻学園調理技術専門学校の西洋料理研究職員を経て渡欧。スイス、フランスのホテル、レストランなどで料理修業を積む。帰国後、シェフ・パティシエを経て料理研究家として独立。自宅で料理教室を主宰するほか、雑誌、TV、広告などで活躍。そのほか、子どもの「食」を大切にした活動として講習や講演も行なう。著書に『3歳からのおべんとう』『子どもと一緒にお料理しましょ!』『子どもが喜ぶおやつ』(文化出版局)、『この1冊であんしんはじめての離乳食事典』(朝日新聞出版、共著)、『毎日おいしいマリネとフランス仕込みのおそうざい』(日本文芸社)などがある。