ピジョンと一般社団法人 日本母乳バンク協会は11月7日、母乳バンクとドナーミルクへの正しい理解と協力を普及されるために、オンラインで「母乳バンクのドナーミルクを使用した赤ちゃんとご家族の座談会」を開催しました。実際にドナーミルクを使用したママたちの想いを聞く貴重な機会になりました。<関連リンク>
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「#ちいさな命を救おう」母乳バンクとドナーミルクの認知度を上げるための座談会を開催

ピジョンは、早産や低体重で生まれた赤ちゃんのために「ちいさな産声サポートプロジェクト」を行なっています。その活動のひとつが「#ちいさな命を救おう」母乳バンク支援運動です。早産で生まれた低体重の赤ちゃんの生育には母乳が不可欠ですが、ママの体調も悪く母乳が出ないことも多くあります。そんな時に、あらかじめ寄付された母乳を低温殺菌処理した安全な「ドナーミルク」を利用できるように、貯蔵・提供する施設が「母乳バンク」です。

小さな赤ちゃんには母乳が必要

早産児は胃腸管も未熟で、栄養素の消化と吸収に支障をきたすことがあるため、デリケートな腸でも消化しやすい食べ物が必要になります。 それにぴったりなのが母乳です。母乳には赤ちゃんの消化を助ける酵素や、上皮成長因子も含まれており、腸の成熟を助けることにもなります。

母乳バンクとドナーミルクについては、下記も合わせてご覧ください。わかりやすい動画も紹介しています。

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母乳バンクはさまざな普及活動により、ドナーミルクの認知度の広がりとともに、利用者も急増しています。

そこで、このたび「母乳バンクのドナーミルクを使用した赤ちゃんとご家族の座談会」が開催されました。

昨今は、コロナ禍の影響で、人とのコミュニケーションがとりづらくなっています。この環境はプレママ、ママたちにも大きな影響を与えており、妊娠・出産・育児に関して情報不足で大きな不安を抱えています。座談会は、この時期に早産で出産し、小さな赤ちゃんを育てているご家族が出席してくれました。同じ病院内でも、他のママとコミュニケーションすることが難しいという中、小さく産まれた我が子を育てるには、苦労があったと思います。また、実際にドナーミルクを使用したご家族の話を聞く機会になりました。

座談会は、オンラインで全12家族が各部屋に分かれ、医療従事者と司会進行役の母乳バンク職員で進められました。マイナビ子育て編集部もこの部屋に参加してお話を伺うことができました。

ドナーミルクを使用したママたち、それぞれのケース

参加したご家族のご紹介

●なみさん:「いっちゃん」は2歳2ヶ月。22週400gで生まれた。ようやく一人歩きができるようになった。

●サミーさん:「エス」ちゃんは1歳1ヶ月。29週743gで誕生。伝い歩きをはじめた

●ウーちゃんママ:「ウーちゃん」は1歳2ヶ月。31週で誕生し、2ヶ月半NICUのお世話になった。現在は一人で立てるし、公園デビューも果たしたが、まだ最初の一歩が出ない状態。

まず、司会者から、病院からドナーミルクの使用についてと、その説明を受けた時の気持ちについてという質問がありました。

なみさんは、出産直後、すぐに主治医からパパ・ママに、赤ちゃんの状態とドナーミルクについての説明があり、その場で使用を決断したそうです。ドナーミルクについて詳しくは知らなかったが、医師の丁寧な説明に納得できたとのこと。「赤ちゃんに与えるはじめての母乳が自分のものではないことに抵抗はなかったか?」との質問には、もちろん、複雑な気持ちはあったが、子どもの予後を考えると迷わずドナーミルクを選択できたそうです。

サミーさんは、出産から2日くらい後に主治医より、説明を受けました。ドナーミルクについては知っていましたが、なんとなくのレベル。でも、子どものためになることだから、抵抗なく受け入れられました。「むしろ、助かった、助けもらってよかった」という思いが強かったそうです。

ウーちゃんママさんは、出産の次の日に主治医から説明を受けました。コロナ禍のために、家族が一緒に話を聞くことができずに、ひとりで説明を受けひとりで決断をするという難しい状況でした。しかし、早産で小さく生まれた子どもへの母乳の必要性を丁寧に説明されたので、ドナーミルク使用を抵抗なく受け入れることができたそうです。

実際の調査(※)によれば、ドナーミルクに対する抵抗があったことから、実際に使った経験のあるママでも抵抗があったのではという先入観があったのですが、意外にもママたちは、抵抗なくドナーミルクの使用を受け入れていました。とはいえ、初乳に自らの母乳を与え得られないことに複雑さを感じるママも多いですが、医師からの丁寧な説明と、何より子どもの健やかな成長のためにという強い思いの前には、些細なことなのかもしれません。

※“「母乳バンクの認知100%」を目指した普及活動”より

https://www.pigeon.co.jp/csr/tinycry/

ドナーミルク使用はママのためにも良い結果に

次に「ドナーミルクの使用がママに与える影響について」の質問がありました。

「助かった。自分の母乳が出ない焦りがあったので」(なみさん)

「知らない間に助けてもらっていた気持ち。当時は母乳を出さなきゃというプレッシャーがあったが、そこから解放された」(サミーさん)

「母乳がまったく出ないことへの焦りから解放された」(ウーちゃんママさん)

このように、どのママも口を揃えて「母乳が出ないことのプレッシャーからの解放」と答えています。ドナーミルクの使用することは、小さな赤ちゃんの命だけなく、ママたちのメンタルも救っていることがわかりました。

医療従事者に対して思うこと

コロナ禍の中、出産に臨むママたちは、リアルで会うことができる人が限られてしまいます。今回の座談会に参加したママたちも、母親学級がなく、同じ環境のママたちと交流ができなかったことで孤独になり、辛かったと言います。そうなると頼りになるのは身近な医療侍従者。母乳バンクを利用したママたちが、医療侍従者に対して今どうのように思っているかが質問されました。

なみさんは、病院側から制度を教えてもらい、強制ではなく考える時間をもらえたこと、複数の選択肢がありその決定権は自分だったことがよかったと言います。また、なみさんは生後4日目から自分の母乳も出て使えるようになったものの、母乳バンクから提供された母乳と自分の母乳の切り替え時期がいつからだったのか不明だったことと、どんなママから提供された母乳なのかという情報を知りたかったと話してくれました。

サミーさんは、自分のペースで母乳を絞り、足りない分をドナーミルクで補充してもらえたことがよかったとのこと。医療従事者への要望としては、看護師からのプレッシャーを感じる言葉に落ち込んだことだそう。サミーさんはNICUにいる我が子を可愛く思えなかったときあり、そんなときに看護師さんから掛けられた「次回はいつ来ますか?」という言葉を掛けられたといいます。サミーさんが「3日後です」と答えると「あー、3日後ですか……」と返され、その言葉に「3日後ではダメなのか」と不安を感じてしまったそうです。「今思うと、看護師さんとしては赤ちゃんがさみしがるだろうから、もっと病院に足を運んでほしかったんだと思います。た」という言葉を付け加えていました。

ウーちゃんママさんは、自分の母乳が出なくても、他のママから栄養をもらえるので安心と思えたそうですが、もし早産とわかるのであれば、事前にドナーミルクの存在を知っておきかったという意見もありました。これについては医療従事者から、あらかじめ早産と決めつけるのは難しいことと、早産を告げるタイミングによっては妊婦さんを不安にさせてしまう可能性もある、という意見もあるとのことでした。

母乳バンクを使用したママから、これから出産するご家族に向けてのメッセージ

「使用に抵抗があるママには、医師から説明を受けてみるといい、ということを伝えたいです。丁寧な説明を聞くことができれば、きっとドナーミルクの選択ができるはず。迷っているママには、ぜひドナーミルクを勧めたいです」(なみさん)

「出産後は何かと大変。ドナーミルクが使えることで、自分の母乳が出なくても気持ちが楽になるし、何より子どものためになることなので、“自分の母乳でなければ”というこだわりを捨ててもいいのではないでしょうか」(サミーさん)

「出産直後は情緒不安定。早産という現実もショックだし、子どものリスクを説明されると怖くなる。ドナーミルクに頼ることで安心して子育てができるから、頼って欲しいと思います」(ウーちゃんママさん)

みなさん一様に、迷っているなら医師から話を聞いて、ドナーミルクを使うことを勧めていたのが印象的でした。赤ちゃんだけでなく、ママが情緒不安定になりやすい、産後のメンタル面への影響が大きいとのことです。

まだまだ認知度が低い母乳バンクとドナーミルク

ドナーミルクを提供する母乳バンクに対する認知度は、残念ながら高いとはいえない状況ですが、利用者が増えてドナーミルクの必要性を拡散していくのも、広報活動につながります。ここで、ピジョン「ちいさな産声サポートプロジェクト」のひとつ、「#ちいさな命を救おう」母乳バンク支援運動についてご紹介します。

ピジョンでは、より多くの方に正しく「母乳バンク」を知ってもらうため、ピジョンが運営するインスタグラムやプレママクラスなどで、普及啓発活動を積極的に展開しています。 もし「ドナーミルク」が必要になった場合のママやご家族の戸惑いを減らしたり、早く小さく生まれた赤ちゃんへの温かい支援の輪が社会全体に広がるように、この取り組みを継続していきます。 

具体例として、同社では「母乳バンク」で母乳を保存する「母乳フリーザーパック」をドナーのママに無償提供するために寄付をしています。ドナーママからは「子どもが超未熟児で生まれましたが、幸い母乳の出が良く需要と供給が一致せず大量廃棄している現状なので、私も命を助けるお手伝いをしたいとボランティアに参加しています」「毎度少しずつですが母乳を送ることができることに感謝するとともに、もっと知ってほしいので、母乳育児のママ友にも知らせています」という声も聞かれました。

また医療従事者へのカンファレンスも開催。ドナーミルク使用病院へは、カンファレンスで放映した「母乳バンク、知っていますか?」というピジョン制作の動画を無償提供し、情報の拡散に勤めています。

座談会に参加したママからも、ドナーミルクを使用した経験の上から、もっと情報をプレママ・ママたちや、新しい命を迎える家族に知ってほしいという声が聞かれました。「母子手帳」に情報を載せてみてはという具体的な意見も出ています。

まとめ

実際にドナーミルクを使用して大きくなった赤ちゃんの姿を、座談会休憩中にみることができました。人の顔が映るモニターやカメラの興味津々のようで、笑顔で手を伸ばす姿が印象に残りました。

ドナーへの登録は無償のボランティアにも関わらず、たくさんのママたちから協力を得ています。「母乳バンク」という制度があることを、子育て中の家族やママ友に話すことが、情報の拡散につながり、小さな一歩になります。

最後に、座談会に参加してくれたママの声をお伝えします。

「将来、大きくなった子どもへ、いろいろな人たちの力を借りて成長できたことを伝えたい」

(マイナビ子育て編集部)

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