先日、幼児乗せ自転車が転倒し、3歳のお子さんが道路に落ちてトラックにはねられるという大変痛ましい事故がありました。こういった子供の事故を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。小児科医の森戸先生に教えてもらいました。

前座席は後部座席よりも6倍ケガをしやすい

ヘルメットとシートベルトは必ず着用してください。(※画像はイメージです/photoAC)

幼児乗せ自転車の転倒によって3歳男児が亡くなった事故は大変悲しくつらいニュースでした。親御さん、ご本人の無念な気持ちを思うといたたまれません。

もともと子供を自転車に乗せると、とても重く不安定になりやすいので注意が必要です。特に後部座席にひとりだけ乗せるのと違って、前後に子供を乗せるとなるとバランスを取るのも一苦労。でも一方で、多くの親は忙しく、子供を育てながらの家事や買い物、仕事などの用事を済ませるためには、全て徒歩という訳にもいかないでしょう。だから幼児乗せ自転車を見かけない日はありませんし、日々の生活になくてはならないものだとも思います。

では、どうやって事故を防止したらいいのでしょうか。

消費者庁のウェブサイトにある「子どもを事故から守る!事故防止ポータル」というページには、様々な情報が掲載されていますが、その中に「幼児乗せ自転車を安全に利用するために」というチラシがあります。そこには、①自転車に乗せる前にヘルメットを被せる、②被せたらあごひもを締める、③乗せたらシートベルトを締める、と書かれています。単純なようですが、これが一番大事なことです。前座席は後部座席よりも、6倍ケガをしやすいことも書かれています。ぜひ見てみてください。

そのほか子供を乗せたら、決して目を離さないことも大事だと思います。子供を乗せた自転車を店の前にとめて、親御さんだけが買い物に行く姿を目にすることがありますが、子供はじっとしていませんから、大変危険です。実際に、親御さんが離れた時に自転車ごと転倒したお子さんがケガをしている姿を見かけたことがあります。お子さんを何度も自転車に乗せたり降ろしたりするのは大変だと思うのですが、どうか自転車に残さないようにしていただけたらと思います。

「不慮の事故」は減らすことができる

医療が発達する前、子供の死因は感染症が多くを占めていました。ところが、現在では先天的な病気や悪性新生物(がん)、不慮の事故が多くなっています。実際に厚生労働省「人口動態統計(2016)」の子供の死因順位によると、不慮の事故は0歳で4位、1〜4歳と5〜9歳で2位、10〜14歳でも3位です。

消費者庁/平成30年版消費者白書より

残念なことに、先天奇形などの障害や病気を個人の努力で減らすことはできませんが、不慮の事故は減らすことができます。実際、多くの人が昔より気をつけるようになった結果、子供の事故は減っていますし、今後も減らすことができるでしょう。

さて、年齢別に多い事故を見ていきましょう。まだ動きまわれない0歳では、窒息が最も多いです。寝具(敷布団)は体が沈み込まないものを選び、掛け布団やよだれかけなどが顔にかからないよう注意しましょう。1〜4歳では溺水と窒息、5〜9歳で溺水が多いのですが、交通事故も多くなることがわかっています。お風呂に水を溜めたままにしない、車ではチャイルドシートをつける、屋外で見失わないようにするなどに注意しましょう。

消費者庁/平成30年版消費者白書より

「知っておくだけ」でも全然違う

子供は、前日までできなかったことが急にできるようになります。だから、例えばまだ寝返りができないと思って高い台の上に乗せた子が、急に寝返りをして転落することがあるのです。また、子供は大人が想像もしないことをします。例えば、急にフォークを持ってコンセントの穴に差し込んで感電してしまう、突然一人で屋外へと出かけてしまう、なんてことが実際にあります。

小児科学会のサイトに「Injury Alert(傷害速報)」というページがあり、様々な事故事例があるので、ぜひ見てみてください。子供の事故があまりにも多種類に渡っていて予測が難しいこと、誰でも決して他人事ではないことがわかっていただけると思います。

私たちは、子育てにも毎日の生活にも慣れが生じるため、そして疲れている日もあるので、つい「自分だけは大丈夫」「うちの子は大丈夫」と思い込んでしまうことがあります。でも「絶対に大丈夫」ということはありません。昨日まで何もいたずらをしなかった子が、急に洗剤を口に入れてしまうこともあります。小さな子が勝手に公園やお手洗いに行っても無事なこともありますが、運悪く途中で事故にあったり、誘拐されてしまったりすることもあるでしょう。

ですから、最も大事なことは、子供が年齢や発達段階で、どんな事故に遭いやすいのかを知っておくことです。ぜひ一度、ご両親で前述の消費者庁のウェブサイトにある「子供の事故防止ハンドブック」を読んでみてください。

親も人間ですから、24時間365日、決して目を離さないという風にはできません。もしかしたら、うっかりしてしまうことがあるかもしれません。それでも、どんなことが危険なのかをあらかじめ知っておいて普段から気をつける習慣を身につけておくことで、並びに言葉が通じる年齢の子供には事故の危険についてわかりやすく説明することで、命に関わるような事故を少しでも減らすことができるだろうと思います。

この記事の執筆者 小児科専門医 森戸やすみ 先生
東京生まれ。小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。
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(編集協力:大西まお)