ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。

執筆者プロフィール 鈴木朋子さん
ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー
スマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。
著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。

みなさんのお子さんはゲームをしますか? かつてはゲーム専用機やPCを使って楽しんでいたゲームですが、今やスマホで簡単に遊べるようになりましたね。同時に、ネットに繋がるオンラインゲームが一般的になっています。

ゲムトレが2022年5月に発表したゲームに関するアンケート調査によると、小学生が遊んでいるゲームタイトルで人気なのは「フォートナイト」で、2021年度の調査では1位(22.3%)、2022年度の調査では2位(19.82%)とのこと。

小学生が一番遊んでいるゲームタイトル(2021年5月 出所:ゲムトレ)

小学生が一番遊んでいるゲームタイトル(2022年5月 出所:ゲムトレ)

フォートナイトは、オンラインで繋がった仲間と一緒に他のプレイヤーと戦うバトルロイヤルゲームです。スマホだけでなく、Nintendo Switchなどのゲーム機でも遊べるため、小学生にも人気があります。フォートナイトは、ボイスチャット機能を使って、仲間と話しながら協力してプレイできる点も魅力です。

ボイスチャット機能を持つオンラインゲームはほかにも多数あり、小学生から大人まで幅広い層に楽しまれています。ボイスチャット機能がなぜ使われるかといえば、対戦型のオンラインゲームは仲間と組んで戦った方が有利に進められるためです。そのため、ユーザーはゲーム内でほかのプレイヤーと繋がり、会話をしながら戦います。ボイスチャットを使えば、プレイヤー同士がまるで一緒にいるように、戦い方について指示したり、アイテムについて情報交換したりできます。ゲームをしているうちに親しくなっていき、日常的な雑談もしながら楽しむこともあるでしょう。

音声での会話は、文字の交流とは異なり、人の温かみを感じやすく、親しみを持ちます。テキストチャットを送るときよりも、通話の方がリラックスして心を打ち明けることがありますよね。さらに協力してゲームをすることで相手を信頼し、相手がゲーム上手であるとか、知識が豊富であるというだけで尊敬の念も抱きます。

オンラインゲームやボイスチャットのリスクとは

一方で、ゲーム内で知り合った相手との事件も起きています。2022年6月、大阪府警は11〜14歳だった少年計6人にわいせつな行為をした疑いで33才の男を逮捕しています。彼らはオンラインゲームで知り合い、少年たちは「食事代の代わりに体を触られた」と話したそうです。

さらに、容疑者のスマホにはわいせつな動画や画像が残されていたとのこと。このように、ネットで知り合った人から性被害を受けるというと女子のイメージを持つかもしれませんが、男子でも危険な目に合っています。

おそらくオンラインゲームで知り合い、親しくなった時点で実際に会うことを求められたのでしょう。まさか、楽しくゲームをしていた相手に襲われるとは思わなかったと思います。ボイスチャットを使っていたかは明らかではありませんが、おそらく最初の個人的な交流はゲーム内のテキストチャットやボイスチャットだったと思われます。

ゲームで協力してプレイする相手には、親近感を持ちます。相手と話しているうちに、自分の住んでいる県、家族構成、習い事などの個人情報を知り合いに話すのと同じように明かしてしまいます。声を聞かせている時点で、おおよその年齢と性別も知られます。

また、ゲームをするときにイヤホンマイクではなく、スピーカーとマイクでボイスチャットをすることもあります。家族が呼び掛けた本名で「身バレ」してしまうこともあるでしょう。電車の音など、生活音から住んでいる場所がわかったり、プレイ時間から「何曜日の何時頃は親がいないんだ」なども知られてしまいます。ゲームをしっぱなしでも怒られないとか、普段の外出はどうしているかなどから、あまり締め付けない家庭なのだと判断されることもあるでしょう。

知らない人と出会うことでの被害だけでなく、ゲームのアカウントを盗まれる可能性もあります。「ゲーム内の通貨をあげるから、パスワードを教えて」などとだまされる形でパスワードを教えたことにより、アカウントを乗っ取られてしまうのです。課金していたアイテムや積み重ねてきたレベルが、すべて奪われることになります。もしかすると、こうしたトラブルは同世代同士の方が起きやすいかもしれません。

オンラインゲームやボイスチャットでのトラブルを防ぐには

オンラインゲームのボイスチャットでトラブルに遭わないようにするには、まずゲームの設定でボイスチャットをオフにすることです。テキストチャットをどうするか悩ましい点ですが、テキストチャットだけでの交流であれば、ボイスチャットよりはトラブルが少ないと思います。もし子どもが「ボイスチャットを使いたい」と主張したら、知り合いの人とだけボイスチャットを許可してもよいでしょう。ゲーム内に「フレンドのみ」などの設定があったら、活用してください。

ゲームの設定を見直して、不要な機能を使わないようにします(出所:オンラインゲーム「荒野行動」の設定画面を著者が撮影)

そしてボイスチャットをするなら、「今からボイスチャットをします」と家族に宣言してからスピーカーとマイクを使って行わせるようにしましょう。場所はリビングなど、家族から会話が聞こえる部屋に限定します。家族はその間、むやみに話しかけないようにします。

家族がいるところでボイスチャットをする理由は、うかつな会話をしていたら注意ができるからです。個人情報を聞かれている、または話している際には、すぐにボイスチャットをやめるように言いましょう。

また、最近は小中学生のマナーの悪さも問題視されています。

暴言を吐いたり、プレイヤーに対して執拗に攻撃するなどして、一緒にプレイしていた大人から注意されることもあります。課金してくれるよう、ほかのユーザーにねだる子も多いそうです。もし我が子の発言に問題があったら、リビングなどで様子を見ていればすぐに止めることができます。相手が逆上すると大きなトラブルに発展しかねません。ゲーム内での仲間外れもよく起きています。顔が見えない相手でも、誠意を持って接するように話しておきましょう。

そして、ゲームで仲良くなった人がいても、子どもだけで会いに行かないように言い聞かせることも大切です。相手が同じ年頃だとしても、そこから知らない大人達へと繋がっていくこともあります。どうしても会いたいようなら、親が同伴して、人がたくさんいるところで会いましょう。

まとめ

コロナ禍で外出ができないときでも、ゲームをすれば仲間に会えて、話もできる――。ボイスチャットは楽しい機能ですが、使い方次第では刃(やいば)になります。ゲームの設定をもう一度見直し、プレイヤーとの接し方についてもぜひお子さんと話し合ってみてくださいね。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)

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