小児科の処方薬をもらったり、ちょっとした薬を購入したり……みんながいつも利用している薬局&ドラッグストア。森戸先生はぜひ「上手な付き合い方」を知ってほしいそう。

なぜ病院では薬をもらえないの?

(photoAC)

ひと昔前は、病院や診療所(クリニック)内で薬を受け取ることが多かったものです。でも、医薬分業が進んだ今では、医療機関で処方箋をもらい、近隣の薬局に処方箋を渡して薬を受け取ることが多いですね。

医薬分業のメリットとしては、①医師だけでなく薬剤師も処方をチェックすることでより信頼性が増す、②いくつかの医療機関で出された薬を同じ薬局で受け取ることができる、③処方箋や保険証などがあれば代理人でも薬を受け取ることができる点が挙げられます。

小児科で処方箋をもらったら、どこかの薬局へ出してください。たまに医療機関で薬局を指定することがあるようですが、それは違法です。確かに小児科の近くのほうが、小児向けの薬(シロップやOD錠)などが揃っていることも多いのですが、取り寄せなども可能なので、ご都合のよいところで大丈夫です。

処方箋の期限は、発行日を含めて4日間。期限を過ぎてしまった場合は、薬局で相談してみてください。薬局によっては処方した医師に連絡し、確認をとったうえで処方してくれることもあるからです。ただし、絶対に処方しないという決まりの薬局や医療機関もありますから、もらった処方箋はなるべく早くに薬局に持っていきましょう。

最近は処方箋のインターネット受付を行っている薬局も増えてきました。直接行かなくても、すぐに処方を依頼することができるので、体調の悪い子供を連れている時は特に助かりますね。その後、都合のいい時間に処方箋とお薬手帳、必要に応じて保険証や乳幼児医療証などを持って薬局に受け取りに行きましょう。

処方された薬は、他の子供に飲ませないようにしてください。また、対症療法の薬は症状が収まったら飲まなくても構いません。しかし、薬のなかには途中で服用を止めると耐性菌(抗菌薬の効かない菌)ができる薬、プロアクティブ療法のステロイド薬や便秘薬など指定通りに続けることが大事なものもありますから、かかりつけ医に使い方をよく聞いて用法・用量を守りましょう。

OTC医薬品も上手に使って

体調不良でも大した症状ではない場合、薬局やドラッグストアで症状に応じたOTC(Over The Counter)医薬品を購入して使うのもいいでしょう。

というのも小児科にかかるとなると、親子ともに仕事や園・学校などを遅刻・早退しないといけなかったり、行き帰りや待ち時間で疲れたり、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの他の病気に感染しないか心配だったりする場合もあるだろうからです。

「処方薬のほうがよく効く」という説もありますが、そんなことはありません。商品名や有効成分量こそ少し違うものの、同じような薬が市販されています。例えば、整腸剤は薬局で購入してもいいでしょう。おなかを下しているときはウイルスや細菌を追い出しているので下痢止めはおすすめしません。水分と整腸剤をあげるのが、標準治療です。

そのほか子供が風邪をひいて熱があったり、つらい症状があったりして、すぐに小児科に行けない場合は、薬局で子供用の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)を購入して飲ませてあげても大丈夫です。一方、総合感冒薬(風邪シロップ)の中でも抗ヒスタミン薬の入っているものは、けいれんを引き起こす恐れがあるため、熱性けいれんを起こしたことのある子などにはおすすめできません。

また、皮膚トラブルも軽いものであれば薬局で対処可能です。保護剤のワセリン、保湿剤のヘパリン類似物質、セラミドを配合したクリーム、かゆみや炎症を抑えるステロイド、抗真菌薬なども市販されています。そのほか花粉症やアレルギー性鼻炎などの点鼻薬や点眼薬、便秘の時に使う浣腸もあります。

薬剤師さんに質問してもOK

薬局にもドラッグストアにも、薬のプロである薬剤師さんがいますから、何か疑問なことや相談したいことがあれば聞いてみてください。いつもただ処方箋を渡して説明を聞くだけ、レジで会計をしてもらうだけ……という人は多いようで、私はすごくもったいないと思います。

薬局で処方薬を出してもらう際に、例えば薬の形状(液体、錠剤、粉、口内で溶けるOD錠など)や1日の服用回数を変更したほうがお子さんに飲ませやすそうであれば、薬剤師さんに相談してみてください。薬の処方自体を変えることはできませんが、場合によっては薬剤師さんから処方した医師に相談して、薬の形状や服用回数を変更してくれることもあります。

一方、OTC医薬品を購入するときも、今の症状にどの薬が適当なのかわからないときなどは相談してみてください。お子さんの年齢や症状、使いやすい薬の形状などを伝えると、適した医薬品を案内してくれるはずです。例えば、解熱剤を買う際に飲み薬が苦手なら坐薬をすすめてくれる、という感じです。旅行用の薬、常備薬を選ぶ時にも大変助かると思います。これは大人の薬の場合も同じですね。

なお、この冬は新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスが同時に流行するかもしれないといわれています。インフルエンザによる発熱時には、大人も副作用の少ないアセトアミノフェンがいいので、事前に常備薬として購入しておくといいでしょう。

そして、処方薬でもOTC医薬品でも、薬剤師さんに子供への薬の飲ませ方を相談してもいいでしょう。薬の種類や形状によって、例えばゼリー状オブラート、オブラート、アイスクリームや牛乳など、どんなものに混ぜたり合わせたりすると飲みやすいか、何と混ぜてはいけないかという知識を持っている人も多いからです。薬局やドラッグストア、そして薬剤師さんと上手に付き合っていきましょう。

(編集協力:大西まお)

森戸やすみ 先生
小児科医
森戸やすみ 先生

小児科専門医/どうかん山こどもクリニック院長。
一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。

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