今回のテーマは「妊婦のノンアルコール飲料」。妊娠中には控えたい成分を含んでいる食品や飲料があるのはよく知られるところです。しかし中には「これはOK? それともNG?」と悩ましいものもありますね。「ノンアルコール飲料」はどうでしょうか? 専門医や飲料メーカーの見解などをまとめます。

この記事の執筆・監修ドクター 松峯美貴先生
医学博士、東峯婦人クリニック副院長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(ともに東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします!どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。
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ノンアルコール飲料とは?

日本の酒税法で“お酒(酒類)”は「アルコール分1度(1%)以上の飲料」と定義されています。ですからアルコールの含有量が1%未満の飲料はお酒ではない、つまり「ノンアルコール飲料」ということになりますが、一般的に清涼飲料水などとは区別し、成人向けに外観・味・香りなどをお酒に似せて開発されているもののことを指します。

ただし最近は全くアルコールを含まない、アルコール分0%のノンアルコール飲料もあり、アルコール分1%未満の製品と混在しています。

妊娠中はなぜアルコールNG?

そもそもなぜ妊娠するとアルコールを控えなければいけないのでしょうか? アルコールの影響はママと赤ちゃん、両方に生じる可能性があるのでそれぞれ紹介します。

妊娠経過への影響

妊娠中にママがアルコールを摂取することにより、妊娠経過の悪化(流産や死産など)を招く危険性が指摘されています。

赤ちゃんへの影響

アルコール(エタノール)とその代謝産物のアルデヒドは胎盤を通り、赤ちゃんに影響します。

「胎児性アルコール症候群」と呼ばれる発達遅延、先天異常(発育遅延や、精神発達の遅滞につながる中枢神経障害、頭蓋骨や顔面ほかさまざまな形成異常)を引き起こすとされ、飲酒した時期と赤ちゃんの障害の関係は、次の通りとされています[*1]。

◆妊娠初期:特異的な顔貌などさまざまな形成異常が生じやすい

◆妊娠中・後期:発育遅延や中枢神経障害が生じやすい

「胎児性アルコール症候群」による特異的な顔貌や低体重などは、赤ちゃんが成長するととともに次第に目立たたなくなるものの、発達障害やうつ病などの精神科的問題が、成長過程で明らかになってくることもあるとされています[*2]。

「つまり妊娠期間中だけでなく、生まれた赤ちゃんの成長過程にも影響を及ぼす可能性があるということです。赤ちゃんだけでなく、ママ自身の体調への影響として、うつ症状が悪化するなど精神症状や病気につながるリスクも示されています。妊娠中の飲酒はやめましょう」(松峯先生)

妊娠中のアルコール、どのくらいなら大丈夫?

最近の研究で、飲酒の妊娠への影響に関しては、どの時期であっても、どのくらいの用量であっても、ママと赤ちゃん、両方に悪影響が出る可能性があるとされています[*3]。

「何ml以下の飲酒量であれば胎児に影響がない」というような安全な量や時期は存在しないのです。

安全な量は不明で、アルコールをほぼ含まない飲料と微量のアルコールを含む飲料が混在している事実から、ノンアルコール飲料にも注意が必要と言えるでしょう。しばらくの間だけのことと割り切って、避けられるなら避けておくのが賢明かもしれません。

アルコール0%のノンアルコール飲料は?

アルコールが含まれていないのでアルコールによる影響はありませんが、他の清涼飲料水と同様、摂取カロリーや糖分など成分に気をつけ、飲みすぎない注意が必要です。

「アルコール0.00%のノンアルコール飲料といえども、製造メーカーは、薬と併用の際は医師に相談するよう注意喚起をしていたり、子供の飲用は控えるよう促したりしています。そのような製品の開発意図を理解して、適切な利用を。心配なことがあったら主治医に相談しましょう」(松峯先生)

メーカーの見解は?

ノンアルコール飲料のウェブサイトの一部では次のような広報がされています。

【公式】アサヒビール株式会社|ノンアルコール商品についてのFAQ Q.妊娠中や授乳期に飲用しても大丈夫? A.アルコール0.00%の炭酸飲料ですので、問題ありません。

出典:https://www.asahibeer.co.jp/non-alcohol/faq/

【公式】サントリーホールディングス株式会社|のんある気分 よくあるご質問A&Q Q.妊娠中や授乳期に飲用しても大丈夫でしょうか? A.アルコール0.00%なので、アルコールによる影響はありません。 アルコール以外による、個人の方への影響はわかりかねますので、 心配な方は医師へご相談ください。

出典:https://www.suntory.co.jp/rtd/non-al/qa/

【公式】サントリーホールディングス株式会社|オールフリー よくあるご質問A&Q Q.オールフリーは、妊産婦(妊婦)・授乳中の女性が飲んでも大丈夫ですか? A.「オールフリー」はアルコール0.00%のため、アルコールによる影響はありません。ビールテイストの清涼飲料です。原材料(製品に表示)をご確認いただき、心配な点がある場合は医師にご相談ください。

出典:https://www.suntory.co.jp/beer/allfree/faq/

まとめ

妊娠中の飲酒は母子ともに悪影響があり、安全な量や時期はないとされています。「ノンアルコール飲料」は法律上ではお酒に該当しませんが、一部の飲料ではお酒に近い度数のものもあります。そのことからノンアルコール飲料については表示をよく確かめる、他の成分にも留意する、などの注意が必要です。妊娠中も友人の結婚式など酒席に参加する機会もあるでしょう。そうした場合は、パーティの雰囲気を楽しむにとどめ、アルコールの含まれていないものを選んで飲みましょう。

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1] 日本産婦人科医会「飲酒、喫煙と先天異常」
http://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/insyu.htm
[*2] 厚生労働省「e-ヘルスネット 胎児性アルコール症候群」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-015.html
[*3] Williams JF et al. Fetal Alcohol Spectrum Disorders. Pediatrics 2015:136:e1395-1406 PMID:26482673(Committee Opinion)
産婦人科診療ガイドライン産科編2017
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2017.pdf
医学書院刊「ほんとうに確かなことから考える妊娠・出産の話」

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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