妊娠したい場合、排卵のころに合わせてセックスをしたら、その後気になるのが「着床」したかどうか。排卵、受精、着床という流れはよく注目されますが、「着床の後」には何が起こるのでしょうか。ここでは無事、着床したら赤ちゃんはその後どのように育っていくのか、あらましを紹介します。

この記事の監修ドクター 窪 麻由美先生
Fika Ladies‘ Clinic フィーカレディースクリニック(東京都中央区日本橋)副院長。順天堂大学医学部附属浦安病院非常勤助教。東京女子医科大学卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属静岡病院などを経て、2009年に順天堂大学大学院医学研究科を卒業、博士号を取得。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医、女性のヘルスケアアドバイザー

着床後は何が起こるの?

受精卵が子宮内膜にくっつき、もぐり込んでいくのが「着床」です。着床すると「妊娠が成立した」と言えるようになります。着床によって子宮にもぐり込んだ受精卵は、その後どんなふうに変化していくのでしょうか。

胎児になる部分とそれ以外がどんどん育っていく

受精卵は受精した直後は1つの細胞ですが、そこから細胞分裂を繰り返し、時間が経つとともに細胞の数がどんどん増えていきます。この細胞分裂は、卵管から子宮に移動する間に起こるのですが、子宮にたどりつくころの受精卵は「胚盤胞(はいばんほう)」という状態になっています。

「胚盤胞」は、将来、赤ちゃんになる細胞(内細胞塊)と胞胚腔という液体の溜まった部分を、胎盤やへその緒になる細胞(外細胞塊)が包み込んだ構造になっています。子宮内膜への「着床」は、この状態で起こります。着床は、受精から5〜6日後ごろに始まり、12日ごろに完了します。

着床したあとは、さらに細胞分裂が進むとともに、将来、体のどの部分になるかの区別がますます細かく分かれていきます。内細胞塊は、外胚葉、中胚葉、内胚葉という3種類に分かれていきますが、それぞれ、おもに表皮・神経、骨・筋肉や心臓・血管など、消化管へと成長していきます。

胚盤胞の中で胎児の元になる細胞が分裂・成長していくのと同時に、外側では胎盤をつくる準備も進んでいます。

妊娠検査薬で陽性が出るようになる

妊娠検査薬は、尿の中にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンがあるかどうかで、妊娠の可能性を調べるものです。hCGは通常、妊娠していないときや男性では分泌されませんが、胚盤胞が着床して、胎盤がつくり始められるとそこから分泌されるようになります。

着床が起こるのは生理開始予定日の数日前ですが、この段階で妊娠検査薬を使っても、hCGの分泌量が少なすぎて、実際は着床しているのに陰性と表示される可能性があります。通常の妊娠検査薬は、生理開始予定日の1週間後から使えるようになります。

【医師監修】妊娠検査薬の反応はいつから?検査時期と注意点
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1187

妊娠はどうやって進むの?

胚盤胞が子宮に着床すると、そこからすごい勢いで胎芽(妊娠8週未満の胎児の呼び方。10週未満とする場合もあります)は成長していきます。

妊娠期間は初期、中期、後期に分かれる

妊娠期間は初期、中期、後期で分けて考えることが多いです。妊娠が進むにつれて、赤ちゃんや妊婦さんの体はどんどん変わっていき、どんなことに気をつけたら良いのかも変化していきます。初期、中期、後期は下記の期間と決められています。

・妊娠初期:妊娠1ヶ月〜妊娠4ヶ月の第2週まで(妊娠0週〜13週まで)

・妊娠中期:妊娠4ヶ月の第3週〜妊娠7ヶ月まで(妊娠14週〜27週まで)

・妊娠後期:妊娠8ヶ月〜妊娠10ヶ月まで(妊娠28週〜39週まで)

・出産予定日:妊娠40週0日(満280日。妊娠41週6日までは正期産)

なお、妊娠週数の数え方は少し独特なので、最初のころはとくに混乱しやすいかもしれません。この記事の最初で「着床すると妊娠したと言える」と説明しましたが、妊娠週数は着床から数えるわけではないからです。

妊娠0週は、実は妊娠する前の最後の生理が始まった週のことです(世界保健機関WHOによって定められています)。この時点では赤ちゃんになるはずの卵子はまだ排卵すらされていません。妊娠2週の始めに「排卵」、その直後に「受精」し、受精から5、6日後に「着床」し始めて……という流れで妊娠は始まるのです。

つわりに悩まされることが多い初期、体調が安定してくる人もいれば、つわり以外のマイナートラブルが出てくる人もいる中期、大きなお腹による負担と出産が近づき現実味を帯びることで、心身ともによりデリケートになりがちな後期など、出産予定日までにはさまざまな出来事が起こるでしょう。

もちろん、不調だけではなく、妊娠中期になると胎動を感じる人が増えるし、体調が安定してくると、赤ちゃんの名前を考えたり、衣類などを準備したりする余裕も出てくるでしょう。

このように、妊娠が進むにつれて気になることはどんどん変わっていきます。くわしくは以下の記事も参考にしてみてください。

【医師監修】妊娠初期に気をつけるべき事とは?症状と食事や生活について
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3420

【医師監修】妊娠中期に起こる5つの症状の注意点と対処法
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1668

【医師監修】妊娠後期の注意点!7つのマイナートラブルと対処法
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3422

まとめ

着床直後には、子宮での赤ちゃんの成長はすでに始まっています。予定通りであったとすれば、最後の生理開始日から満280日で赤ちゃんは生まれてきますが、着床は、その赤ちゃんが子宮に根を下ろし、妊娠が始まった記念すべき時。ここから始まる、長いようで短い妊娠期間を大切に過ごすためにも、この時期に胎内で何が起こるのかを十分理解しておきたいですね。

(文:マイナビウーマン子育て編集部/監修:窪 麻由美先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]病気がみえるvol.10産科, 6p, メディックメディア, 2018.

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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