卵はアレルギーの心配があり、赤ちゃんの離乳食でどうやって取り入れていけばいいのか、迷うご家庭も多いことでしょう。中でもニワトリの卵である鶏卵(けいらん)は、離乳初期から使える食材ですが、量や使う部分に注意が必要です。今回は離乳食での鶏卵の進め方について解説します。

赤ちゃんと鶏卵のアレルギーの関係

母乳やミルクだけで暮らしていた赤ちゃんも、離乳食を開始するとさまざまな食べ物と出会います。そんなとき、保護者の方の気がかりの一つが「アレルギー」ではないでしょうか。

「鶏卵」は乳児で一番多いアレルゲン

食物アレルギーの原因となるものはいろいろありますが、一番多いのが鶏卵で、全体の約4割(39.0%)を占めます。また、新たに食物アレルギーを発症する原因となった食物は、年齢・年代によって変化が見られますが、離乳期では鶏卵が一番多くなっています[*1]。

新規発症の原因食物(一部抜粋)

小学生以降になると、甲殻類(エビ・カニなど)・果物類・魚類などが増加してくる

なお、一度アレルギー反応を起こしたらずっと治らないということではなく、多くが小学校入学前までに治るとされています。また、にわとりの卵のアレルギーと魚の卵(いくらやたらこなど)のアレルギーは別物なので、それぞれ別に対応します。

鶏卵の開始は遅い方がいい? 離乳食の卵の開始時期

そんな、アレルギーが気になる卵について、離乳食ではどう進めればいいのでしょうか。

「アトピー性皮膚炎が心配な人はゆっくり始めるといい」とか、「早く始めた方が鶏卵アレルギーにならない」など、卵に関する様々な噂を耳にすると、混乱してしまいますよね。

「遅めに開始してアレルギー予防」に根拠なし

厚生労働省策定の「授乳・離乳の支援ガイド」では、卵は生後5〜6ヶ月の離乳初期から鶏卵(卵黄部分)を試してみることが勧められています。

離乳初期:つぶしがゆから始める。すりつぶした野菜なども試してみる。慣れてきたら、つぶした豆腐・白身魚・卵黄等を試してみる。 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」より

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

一方で、アレルギーを心配して、卵を食べさせ始める時期を遅らせようと考える人もいるようです。しかし、「授乳・離乳の支援ガイド」では、「赤ちゃんに食べさせる時期を遅らせて食物アレルギーを予防」ということに科学的根拠はないことが示されています。

食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はないことから、生後5〜6か月頃から離乳を始めるように情報提供を行う。 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」より

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

アレルギーを心配する気持ちはわかりますが、不必要に遠ざけるのではなく、適切な時期に始めていきましょうね。

卵アレルギーのリスクが高い子はどうする?

アトピー性皮膚炎(かゆみのある湿疹)がある赤ちゃんを対象に、生後6ヶ月から「微量の鶏卵を食べる群」と「除去する群」とに分けて1歳の時点でアレルギー反応を調べた研究では、鶏卵を食べた群の方がアレルギーの発症を予防できていました。

このことから、日本小児アレルギー学会では、卵アレルギーの発症を予防するためには、離乳食での卵の摂取を遅らせるのではなく、医師の管理のもと、生後6ヶ月から少しずつ食べさせることを推奨しています。

アトピー性皮膚炎を診断されている赤ちゃんは、保護者の判断で卵の摂取を控えたり始めたりするのではなく、アレルギー専門の医師に相談した上で、皮膚の治療と併せて進めていきましょう。

どんな順番で鶏卵を食べさせる? 離乳食での鶏卵の進め方

ここまで、鶏卵アレルギーや開始時期について見てきました。ここからは本題である「鶏卵は離乳食でどう進めていくか」について解説します。

まずは卵黄→慣れたら全卵の順に進める

食物アレルギーの主な原因物質は鶏卵、牛乳、小麦などに含まれるタンパク質です。

鶏卵は、おかゆや野菜に慣れてきたころに試します。ただし、最初から鶏卵全体を食べさせていいわけではありません。なぜならば、鶏卵アレルギーの主な原因となるのは卵白の成分だからです。

最初のうちは卵白を避けてまず卵黄のみから始め、離乳中期(7〜8ヶ月)ごろから白身を含めた卵全体(全卵)に進めます。

離乳初期(生後5〜6ヶ月ごろ):卵黄を耳かき1杯からスタート

おかゆに慣れ、野菜にも慣れたころ、鶏卵をスタートします。

かた茹でた鶏卵の卵黄部分のみを使って、最初はごく少量(耳かき1杯ぐらいの量)で様子をみましょう。その後、卵黄1個分を超えないぐらいまで徐々に量を増やしていきます。

離乳中期(生後7〜8ヶ月ごろ):卵黄に慣れたら卵白部分を混ぜる

初めのうちはかた茹での卵黄のみで進め、生後8ヶ月ごろに卵黄1個分まで食べられるようになったら、卵白部分を混ぜていいでしょう。最終的な量として全卵1/3個程度を目安とします。

離乳後期(生後9〜11ヶ月ごろ):全卵1/2個が食べられるように

このころには全卵の半分まで食べられるようになります。しっかり火を通す調理をしましょう。

離乳完了期(生後12〜18ヶ月ごろ):全卵1/2〜2/3個が目安

これまで同様、鶏卵にはしっかり火を通し、量は2/3個ぐらい食べられるようになります。

卵は良質なタンパク質源で、ビタミン、ミネラルを含む栄養価の高い食品です。特に母乳の子に不足しがちな鉄やビタミンDの供給源でもあるので、離乳食に上手に取り入れましょう。

鶏卵の離乳食、Q&A

離乳食での鶏卵について、疑問をまとめました。

離乳初期、生卵の状態で卵黄を取り分けてもいい?

離乳初期は必ずかた茹でした上で卵黄部分を取り出して使いましょう。生卵の状態で卵黄を取り出して調理しても、卵白と完全に分離しているわけではないので、離乳初期には適しません。

なお、かた茹でしてから時間が経つと卵白の成分が卵黄のほうに少し移行するので、早めに卵黄のみ取り出して使います。

卵黄ならばアレルギー反応は起きない?

卵黄は卵白に比べるとアレルゲンにはなりにくいものの、おう吐などの消化器症状が出ることがあります。耳かき1杯程度の量からスタートし、様子を見ながら徐々に増やして行きましょう。

市販の卵料理の中で、気をつけたほうがいいものは?

離乳初期だけでなく、生卵や半熟卵はアレルゲンになりやすいので、しっかり火を通すことが大切です。

茶碗蒸しやプリンなどは、加熱温度が低かったり、加熱せずにかためていたりする製品があるので、1歳以降にしておくと安心です。

マヨネーズは生卵を使っている製品がほとんどです。卵黄のみを使っているタイプであっても生の状態で取り分けているため、卵白が入っている可能性はゼロではありません。離乳期にマヨネーズをたくさん食べることはないかもしれませんが、初めて食べるときは特に少しだけにしておくといいでしょう。

まとめ

卵(鶏卵)は、おかゆや野菜に慣れたら、離乳初期から取り入れることができます。まずはかた茹での卵黄部分をごく少量から始めましょう。離乳中期からは卵白も使えるようになるので、十分に加熱した上で、時期ごとの量の目安を確認しながら進めていきます。

アトピー性皮膚炎など鶏卵アレルギーのリスクが高い赤ちゃんは、アレルギー専門医などと連携をとってどのように進めていくのかを決めましょう。

鶏卵は肉、魚、大豆料理と並んで、体づくりの基礎となる栄養源です。いくつかのポイントを押さえながら、おいしく楽しく取り入れていきましょうね。

(文:村山真由美/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

この記事の監修者 川口由美子 先生(管理栄養士/母子栄養指導士)
一般社団法人母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師。大学時に小児栄養学を学んだのち、育児用品メーカーでベビーフード開発を経て栄養相談、離乳食レシピ執筆、講演会に携わる。2児の母。現在は、母子栄養協会にて離乳食アドバイザー®他、専門家を養成している。
◆一般社団法人母子栄養協会HP:https://boshieiyou.org/

参考文献
[*1]日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2016 第3章 疫学・自然歴」
https://www.jspaci.jp/allergy_2016/chap03.html

日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「『鶏卵アレルギー発症予防に関する提言』の解説 」
https://www.jspaci.jp/uploads/2017/10/69f6d7cc633708191f30fdad9b699c96.pdf
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
食物アレルギー研究会「鶏卵アレルギー」
https://www.foodallergy.jp/tebiki/keiran/#:~:text=鶏卵アレルギーは卵白の,摂取には注意する。