鼻づまりなどで赤ちゃんが苦しそうに口呼吸をしていると、とても心配になりますよね。赤ちゃんが口呼吸を続けているとどうなるのでしょうか? 詳しく説明していきましょう。

赤ちゃんの基本的な呼吸の特徴

赤ちゃんは、普通どのように呼吸しているものなのでしょうか。

赤ちゃんは「鼻呼吸」が上手

人は本来「鼻呼吸」をしています。特に、新生児期は口で母乳やミルクを飲みながら息をしなければならないので、低月齢の赤ちゃんは鼻呼吸は上手にできる一方で、口呼吸はうまくできません。しかし、何かのきっかけで「口呼吸」を覚えることもあります。

赤ちゃんはどんなときに「口呼吸」する?

赤ちゃんが口呼吸となるきっかけには、何があるのでしょうか。

鼻づまり

赤ちゃんも風邪などによる鼻炎が原因で鼻がつまってしまうと、鼻呼吸がしにくくなり、一時的に口呼吸になることがあります。

風邪であれば、治れば鼻水もおさまるので鼻呼吸に戻るでしょう。また、赤ちゃんの場合、アレルギー性鼻炎はあまり多くないようですが、もしアレルギー性鼻炎であった場合は鼻水が長引く可能性もあります。

口や唇の動きが未発達で口が開いてしまう

離乳前の赤ちゃんは、唇がぴったりと閉じず、前から見ると舌が見えるのは普通のことです。その後、離乳食が始まると、いろいろな形態の食べ物を口に入れ、噛み、飲み込む必要があるので、自然と唇や舌でいろいろな動きができるようになります。

唇をきちんと閉じるには、このように唇や舌の動きの発達が重要です。また、前歯が生えると舌はそれ以上前に出なくなり、下あごの成長とともに口の中に舌が収まりやすくなることもあって、成長とともにきちんと口を閉じていられるようになります。

ただ、こうした口の中やその周囲の機能のどこかがうまく発達しないことで口を閉じることができず、そのまま口呼吸をするようになる赤ちゃんもいます。

扁桃肥大

のどや鼻の奥にある「扁桃」と呼ばれる、リンパ組織が通常よりも大きくなった状態のことを「扁桃肥大」といいます。扁桃肥大になると、鼻から空気が流れ込みにくいため、口呼吸になりやすくなります。

ひどいときには、口呼吸だけでなく、眠っている間に呼吸が一時的に止まる「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こしたり、呼吸困難で哺乳がうまく出来なくなる場合もあります。

口呼吸のデメリット

赤ちゃんが口呼吸をするのは、ここまでで説明したような原因があって、鼻呼吸をしにくいからです。しかし、口呼吸を続けていると、体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

感染リスクが上がる

鼻には鼻毛が生えています。これは、空気中に含まれる細菌やウイルスなどの侵入を防ぐフィルターの役割をしています。しかし、口呼吸をすると病源体の含まれた空気が直接体内に入ってしまいます。これは感染リスクが高まるということを意味します。

口の中が乾燥する

口呼吸をすると口の中が常に乾燥します。すると唾液の作用が弱まり、むし歯や歯肉炎などのトラブルを引き起こす可能性が高まります。また、唾液の分泌が少ないと口臭の原因にもなります。朝起きてすぐは口が臭うのも、眠っている間は唾液の分泌が少ないからです。

顔つきや歯並びにも影響

意外なようですが、口呼吸は顔つきにも影響します。口呼吸によって口を開け続けると、口の周りの筋肉が十分に発達せずにだんだん顔つきが変化して、ぼんやりとした表情になってしまうのです。この状態が続くと、そのうち口を開きながら食事をする「クチャクチャ食べ」をするようになったり、発音が不明瞭になったりすることもあります。

歯並びにも大きく影響します。口呼吸が習慣になっている人は、舌の位置が口の中の上側にはおさまらず、だらんと下がっていることが多いです。すると上あごに適切な圧力がかからないのできちんと発達しにくくなります。

これが歯並びにも影響を及ぼし、出っ歯(上顎前突。じょうがくぜんとつ)になったり、歯がバラバラの方向に生える「乱ぐい歯」になったり、上の前歯と下の前歯の間にすき間が生じる「開咬(かいこう)」を引き起こしたりしります。

このように、口呼吸は歯並びに影響を与えますが、出っ歯など歯並びが悪いと口をうまく閉じることができないので口呼吸になるという悪循環も起こります。

どんな呼吸のときに気をつければいい?

赤ちゃんに鼻詰まりがあって息をするのが苦しそうなら、まずは小児科か耳鼻咽喉科を受診しましょう。また、赤ちゃんの歯に異常が見られたら、小児歯科で相談しましょう。。

そのほか、口呼吸に限らず、赤ちゃんの呼吸の仕方が「いつもと違う」場合、何かのトラブルが起こっている可能性もあります。次に説明するような様子が見られたら、できるだけ早く受診しましょう。

こんなときは大至急病院へ

赤ちゃんの呼吸は大人よりも速めです。安静にしているとき、大人は1分間に12〜18回呼吸しますが、新生児は1分間に40回くらいの呼吸で、それ以降の1歳までの呼吸数は30〜60回、1〜3歳は24〜40回です[*1, 2]。もし、1分あたりの呼吸が10回未満だったり、逆に60回を超えた状態が続いていたりしたら、大至急病院や救急を受診してください。

ほか、次に挙げる症状がある場合も、急いで救急車を呼びましょう[*3]。

赤ちゃんの呼吸がおかしいとき、救急車を呼ぶ目安

・胸がへこむ呼吸をしている

・くちびるが紫色をしている

・呼びかけても反応がない

・声が聞き取れないほどかすれている

・ヒューヒュー、ゼエゼエしていて苦しそう

まとめ

新生児は基本的に鼻呼吸なのですが、離乳が始まり、しゃべるようになると口呼吸を覚えることがあります。口呼吸ばかりしていると、感染リスクが高まったり、歯並びが悪くなったりとデメリットが多いため、なるべく鼻呼吸中心になるように戻してあげたいものです。鼻がつまっているときなどは、なるべく早く小児科や耳鼻科を受診して鼻呼吸がスムーズにできるようにしてあげましょう。

(文:今井明子/監修:丘 逸宏先生)

※画像はイメージです

この記事の監修ドクター 順天堂大学医学部付属練馬病院 小児科 丘 逸宏先生
北里大学医学部卒業後、順天堂医院小児科、もりおかこども病院、国立成育医療研究センター消化器科を経て現職に至る。小児消化管を専門に日々超音波や内視鏡などを駆使して診療にあたっています。

参考文献
[*1]「初心者のための新生児・小児のフィジカルアセスメント 呼吸 小児編」こどもと家族のケア vol.14 no.1
https://www.nissoken.com/jyohoshi/cc/zai/mihon_1904.pdf
[*2]時事メディカル「乳幼児の呼吸器系の発達」
https://medical.jiji.com/medical/033-0004-99
[*3]「こどもの救急」日本小児科学会
http://kodomo-qq.jp/index.php?pname=seki

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます