産後数ヶ月経って生理が再開したけれど、妊娠前よりも生理痛が強くなったと感じている人が中にはいるかもしれません。産前と産後で生理痛に変化があった場合、その原因は何でしょうか? 産後再開した生理の痛みへの対処法や注意点についてお話しします。

そもそも生理痛はなぜ起こるの?

生理が憂鬱な理由のひとつ、「生理痛」。そもそも生理痛はどうして起こるのでしょうか?

ある程度の痛みは正常な生理である証拠

生理の時に、多少の痛みがあるのは自然なことです。大人の女性の70〜80%には軽度の生理痛があると言われています[*1]。

生理の直前から生理中には、子宮内膜から「プロスタグランジン」という物質が分泌されます。プロスタグランジンは、色々な臓器の「平滑筋」という筋肉を収縮させます。

そのため、生理の直前〜生理中は子宮が収縮します。子宮が収縮することで生理の血は子宮外に押し出されますが、同時に下腹部や腰は痛みます。これが「生理痛」です。

ひどすぎる痛みは「月経困難症」のことも

ただし、生理痛は、さまざまな要因により、重くなることがあります。

日常生活を送れないほどに生理痛が強すぎたり、腰痛や頭痛、気持ちの悪さ、吐き気、貧血、食欲不振などの症状を伴う場合は、「月経困難症」と言います。

月経困難症は、プロスタグランジンがたくさん分泌され過ぎて起こることが多いと言われています。

この原因で月経困難症になる人は10〜20代に多く、激しい痛みが1日前後の比較的短い期間に集中して起こることが多いようです[*2]。

また、生活習慣やストレスによって月経困難症になることもあります。その場合は、食生活や睡眠のとり方などを見直すと改善することもあります。

不安感が強かったり精神的に不安定であったりすることで、痛みが強まることもあります。

その他、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮形態異常などの病気によって起こる月経困難症もあります。

出産の前後で生理痛には変化があるの?

さて、生理痛の強さは個人差が大きいものですが、出産によって変わることもあるのでしょうか。

出産により痛みの程度が変わる人もいる

出産によって生理痛に変化があったかどうかについては、こんな研究があります[*3]。

産後1.5年までに生理が再開した2,073人に生理痛の程度などを聞いたところ、産後の生理痛は「全くなし」18.3%、「軽度」53.7%、「中等度」24.4%、「重度」3.7%という割合だったそうです。

そのうち妊娠前に月経困難症があった人(96人)では、37人(38.5%)は産後再開した生理でも中等度以上の生理痛を感じていましたが、59人(61.5%)は産後、「全く痛みがなくなった」か、あったとしても「軽くなった」と答えています。

一方で、もともと月経困難症がなかった1,959人の中では、472人(27%)が産後に再開した生理で中等度以上の痛みを感じていると回答していました[*3]。

なお、マイナビウーマン子育て「産前と産後で生理痛の程度に変化があったかどうか」聞いたところ、最も多かったのは「変わらない(68%)」でした。ただ、「以前に比べて軽くなった(21%)」「強くなった(11%)」という回答もありました。

Q.産前と産後で生理痛の程度に変化はありましたか?

※マイナビウーマン子育て調べ  調査期間:2020年9月24日〜30日 調査人数:121人(21歳〜40歳以上の女性)

もともと生理痛の強さは個人差が大きいものですが、産前産後で生理痛に変化があるかどうかについても、人によってだいぶ異なるようです。

産後に生理痛が重くなったら何が原因?

産後に生理痛が重くなったとしても、何が原因かすぐにはわかりません。

月経困難症についての説明でお話ししたように、様々な原因から強い生理痛は起こるからです。子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気で痛みが強くなっていることもあれば、育児の緊張感や不安感、ストレスから強くなることもあります。

まずは生理のたびに、どのような痛みか、いつごろ起こり、いつまで続くのかをチェックしてみてくださいね。

産後の生理痛、どんなときに注意が必要?

こんなときは受診して!

生理のたびに痛みが強すぎて寝込んでしまったり、普段通りの生活を送れないと感じたら、月経困難症の可能性があります。早めに産婦人科に相談しましょう。

市販の鎮痛剤があまり効かない場合も診察してもらうといいですね。

生理痛が強い月と、生理痛が弱かったり感じない月がある場合も、病気が隠れている可能性を考えて受診しておきましょう。

なお、生理中は痛みとともに、生理の血の量が多過ぎないか(過多月経)かどうかも注意しておきましょう。

次のチェックポイントに1つでも当てはまるなら、受診しましょう。

□ 昼用ナプキンをつけても、1時間以内に生理の血があふれる

□ 生理の血にレバー状の血の塊が混じる

□ タンポンとナプキンなど、2種類の生理用品を併用しないとあふれる

□ 昼でも夜用ナプキンを使う日が3日以上ある

□ 貧血と言われたことがある

□ 生理中は、めまいや動悸、疲れやすさなどの症状が出る

□ 生理が8日以上続く

生理痛のホームケア

生理になったら、痛みを我慢しないで少しでも楽に乗り越える工夫をしましょう。

痛み止め薬を使う

痛みが始まったと感じたり、痛みが来そうだと気づいたら、できるだけ早く痛み止め薬を飲みましょう。

痛み止め薬を飲むとプロスタグランジンの分泌が抑えられるため、痛みそのものも小さくなることがあるのです。また、痛み止め薬が効き始めるまでには時間がかかるため、本格的に強い痛みを感じてから飲んでもつらい状態を我慢することになってしまいます。

授乳中のママは、産婦人科で授乳中でも使える痛み止め薬を処方してもらいましょう。

なお、痛み止め薬を月に1〜2回飲んだとしても薬が効きにくくなったり害が起こることはありません。安心して早めに飲んでくださいね。

生理が近づいたら適度な運動を

生理前には、骨盤の血流の流れがとどこおります。そのため、生理痛が強くなることがあります。

血流の流れを改善するためには、生理が近づいたら適度な運動を行うのがおすすめです。

生理の開始予定日の1週間くらい前からウォーキングやジョギング、スイミング、ヨガ、エアロビクスなどを行っておくといいですね。育児で運動する時間が取れない場合も、全身の屈伸運動などを毎日するだけでも効果的です。

漢方薬が効くことも

生理痛の改善には、漢方薬も効果があると言われています。

女性ならではの不調の改善に効果的な漢方薬は、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散など様々なものがあります。医師に処方箋を出してもらうと、健康保険の対象にもなります。

ストレスを避け体調を整える

精神的なストレスや不安感・緊張感が強い場合、生理痛が強くなることがあります。ストレスを避け、できるだけ気分転換する時間を作ってリラックスするのがおすすめです。

生理前〜生理中は十分に栄養を取り、しっかり眠って過労を避け、体も心も元気な状態で生理を迎えるようにしましょう。また、体や下腹部を温めることで子宮の強い収縮を防ぐのもポイントです。

まとめ

生理痛はホルモンによって子宮が強く収縮したり、ストレスや強い不安感・緊張が続いていたり、生活リズムが乱れているなどの理由で起こります。また、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などの病気が隠れていることもあります。

産後にはホルモンの分泌が変動するため、妊娠前に比べて生理痛が強くなる人も入れば弱くなる人もいます。半数近くのママは産後も生理痛の強さは変わらなかった、という調査結果もあります。

いずれにしても、生理が強すぎる場合は我慢しないで産婦人科で診察を受け、病気がないかどうかチェックしておきましょう。授乳中でも飲める痛み止め薬を処方してもらうこともできるので、早めに相談してくださいね。

また、痛み止め薬を早めに飲む、生理の1週間前から適度な運動をする、体調を整えリラックスして過ごすなどの対処法もおすすめです。心と体を整えて、生理のつらさを乗り越えていきたいですね。

この記事の監修ドクター 窪 麻由美先生
Fika Ladies‘ Clinic フィーカレディースクリニック(東京都中央区日本橋)副院長。順天堂大学医学部附属浦安病院非常勤助教。東京女子医科大学卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属静岡病院などを経て、2009年に順天堂大学大学院医学研究科を卒業、博士号を取得。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医、女性のヘルスケアアドバイザー

(文:大崎典子/監修:窪 麻由美先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」
http://w-health.jp/
[*2]「女性の生涯健康手帳」日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/public/health_week/images/techo_2014.pdf
[*3]渡邉善ら:月経関連疾患に対する遺伝・環境・生活習慣の関連および妊娠分娩経過による影響
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-26861305/26861305seika.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます