産後、肌の調子が変わったと感じる人は少なくありません。シミが消えない、そばかすが増えたみたい、ということもそのひとつ。これはいったい何が原因で起こるのでしょうか。また、対処方法はあるのでしょうか。産後のシミ対策に必要なことを考えてみましょう。

妊娠を機に肌は変わる

妊娠中から、肌には変化が起こっています。妊娠中は、シミやそばかすが増える、肝斑(頬や鼻、額周りの茶色い斑点)が濃くなるといったことだけでなく、乳首や乳輪などの色が濃くなったり、正中線(おへそあたりから恥骨までの体の中央の線)が黒ずんだりといったことも起こります。

妊娠中にシミができやすくなるメカニズムは?

肌の色素が濃くなりやすい原因は、実はまだよくわかっていません。原因のひとつとして有力視されているのが「ホルモンバランスの変化」で、これによってメラニン色素が沈着しやすくなるのではないかといわれています。

産後のシミは濃くなる? 薄くなる?

こうして妊娠中にできたシミや体の色素沈着は、出産後はどうなるのでしょうか?

産後に気になるシミの種類

妊娠中や産後に気になるシミですが、大きく分けて2つの種類があります。

紫外線によるダメージからできるシミ

ごく一般的に、私たちが「シミ」と呼んでいるものの正式名称は、「老人性色素斑(または日光黒子)」で、皮膚にメラニン色素が蓄積されてできます。

老人性色素斑は、皮膚表面からの盛り上がりがなく褐色で、顔や手の甲、腕など日光が当たりやすい部位によくできます。大きさは通常直径5〜10㎜ほど、円形や楕円形で、ポツンとできる場合もあれば、そばかすのようにたくさんできる場合もあります。

老人性色素斑は、繰り返し日光を浴びることによって起こるもの。妊娠中や産後の皮膚だけにできるシミではなく、誰にでもできるシミです。

肝斑(かんぱん)

頬など、顔に左右対称に現れ、30代ころからできやすくなります。

肝斑の原因は、はっきりとわかっておらず、妊娠、避妊薬、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)、遺伝、化粧品、薬品、甲状腺や肝臓の病気、精神状態、日焼けなどさまざまな要因が関係すると言われています。

中でも、ホルモンバランスの変化が影響してできるというのはよく言われていることです。妊娠時だけでなく、避妊薬やホルモン補充によっても、肝斑は増えることがあります。

摩擦や炎症によって起こると言われることもありますが、直接の原因というより、これらによって悪化するのではないかとされています。

産後数ヶ月でシミが消えることも!

妊娠中にできたシミ、特に肝斑は、出産後数ヶ月で消えることもあります。

でもやっぱり消えないシミも……

産後消えていくシミもあれば、そのまま残ってしまうものもあります。産後シミが消えない原因にはどんなことが考えられるのでしょうか。

原因1/肌の老化

意外と盲点かもしれませんが、妊娠がわかってから出産までには1年近くの時間がたっています。肌も確実に年齢を重ねているのです。

原因2/睡眠不足の影響

産後は、赤ちゃんに合わせて生活サイクルが変化するので、睡眠不足になりがち。睡眠不足は肌に悪影響を及ぼします。

睡眠中には肌の新陳代謝を促す「成長ホルモン」が分泌されますが、睡眠不足の状態では新陳代謝の周期が乱れ、古い角質がはがれ落ちにくくなるなどの変化が起こります。

また、睡眠不足になると肌の潤いやハリなどを保つ「女性ホルモン(エストロゲン)」の働きも悪くなります。

原因3/スキンケアがなかなかできない!

産後、赤ちゃんのスキンケアは一生懸命していても、自分のスキンケアまで手が回らない!ということはよくあります。特に保湿が十分にできなかったり、きちんと日焼け止めを塗らなかったりすると、肌は乾燥や紫外線によるダメージを受けます。

そうしてダメージを受けた肌は、その内部を守るため、いちばん表層の角層細胞を急いで作ろうとします。このため新陳代謝のスピードは速まります。「ターンオーバーが速くなるのは良いんじゃないの?」と思うかもしれませんが、「速まる」ということは「充分な時間をかけずに角層細胞を作らなければならない」ということ。そんな状況で作られた角層細胞は「未成熟」で、肌にうるおいを保ったり、外界からの異物が肌に侵入しないよう守ったりする機能(バリア機能)も低いと言われています。

また、シミ部分の角層細胞には多くのメラニンが含まれていますが、未成熟な角質細胞は自然にはがれ落ちる力も低下します。そのため、古くなってもうまくはがれ落ちず皮膚表面に残るので、シミが目立つようになります。このように、適切な肌の新陳代謝が行われないことも、シミを濃くする原因となっています。

産後のシミ 対策のポイントは?

それでは、産後のシミを濃くしないためには、どうしたら良いのでしょうか。

(1)紫外線対策を怠らない

外出時に、赤ちゃんを優先して、つい自分は何もケアせずに出かけたりしていないでしょうか。妊娠中と同様に、産後もUV対策は必須です。。

できてしまったシミは、それ以上濃くしないことが大事。光にさらされると周囲の皮膚よりも色が暗くなるので、日焼け対策をしましょう。

産後に気を付けたい日焼け対策

・日差しの強い時間帯の外出を避ける

晴れた日なら、午前11時〜午後3時ごろまでは、できるだけ日陰で過ごします。

・帽子や衣服、サングラスをする

外出時はつばの広い帽子をかぶり、紫外線防止の衣類を着たり、UV対策レンズのサングラスをかけることも有効です。

・日焼け止めクリームをこまめに塗る

日焼け止めは、日常生活ではSPF5・PA+、外出時はSPF10・PA++、海水浴など晴天下ではSPF20・PA+++、熱帯での屋外活動ではSPF30以上・PA+++を目安に選びます[*1]。

なお、日焼け止めは、塗る時に十分な量を使うこと、またこまめに塗り直すことが大切です。顔の場合は一回に使うのは「真珠の玉2個分くらい」[*1]。これを全体に伸ばします。また、朝一度塗って終わりではなく、3時間に1回くらいは塗り直します。なお、夜には専用のクレンジングなどできちんと洗い落としましょう。

(2)保湿ケアをしっかりと

ここまでで説明したように、乾燥した肌はトラブルが起きやすいもの。どんなに紫外線対策をしても、保湿をしなくてはシミが薄れにくくなってしまいます。お風呂上りはもちろん、乾燥が気になったらこまめに保湿するようにしましょう。

なお、妊娠前のスキンケアをそのまま使っていませんか? 乾燥がひどいようなら、産後の今の肌に合うものを探してみましょう。また、生活パターンの中で手軽に保湿できるアイテムを選んだり、使い勝手の良い容器に移し替えたりといった工夫で、こまめに保湿することもいいでしょう。

(3)肌の新陳代謝のためにも生活リズムを整える

肌は、その人の生活の質があらわれる部分かもしれません。産後、赤ちゃんの睡眠サイクルに合わせて、こまぎれ睡眠になるのはしかたないとしても、休める時はできるだけ休息を取ることを忘れないでくださいね。

まとめ

妊娠中にシミができることは珍しくありません。産後、消えたり薄くなってくれれば良いのですが、そのまま残ってしまったり、むしろ濃くなって悩んでいるママもいますよね。残念ながら、シミを簡単に消す方法はないのですが、紫外線対策や保湿、十分な睡眠をとることは忘れないでください。妊娠中にできたシミが薄くなるよう、また新たなシミを増やさない習慣を身につけていきましょう。

この記事の監修ドクター 直林奈月先生
赤心堂病院産婦人科勤務(埼玉県川越市)
高知医科大学卒業後、太田⻄ノ内病院、高知大学医学部附属病院、船橋二和病院を経て現職。 産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、母体保護法指定医師、女性ヘルスケアアドバイザー

(文:関川香織/監修:直林奈月先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本皮膚科学会:皮膚科Q&A Q13サンスクリーン剤の使い方
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa2/q13.html
・徳島県医師会 老人性色素斑
https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/717-245
・日本形成外科学会 形成外科診療ガイドラインシリーズ 皮膚疾患
  https://jsprs.or.jp/docs/guideline/keiseigeka1.pdf
・英国皮膚科医協会 MELASMA(肝斑)
http://www.bad.org.uk/for-the-public/patient-information-leaflets/melasma

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます