なぜ社内不倫にハマってしまうのか。社内不倫にはどんなリスクがあるのか。取り返しのつかないことになる前に知っておきたい社内不倫のこと。多くの女性の法律相談に応えてきた、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の代表弁護士、中里妃沙子先生に教えていただきました。

社内不倫のきっかけとハマる理由 仕事熱心だからこそハマってしまう?

社内不倫とは、同じ会社に勤める同僚や上司部下の間での不倫関係のこと。男女の片方、あるいは両方が、既婚である場合に不倫になります。

恋に落ちるのに理屈はないのかもしれませんが、仕事熱心だからこそ、ハマってしまうのかもしれませんね。しかし、社内不倫の場合、この先のキャリアに大きな影響をおよぼす可能性もあります。

社内不倫にハマる理由とリスクを知って、正しく対処しましょう。

社内不倫になぜハマる?

1対1の業務やプロジェクトチームで密着

ペアで行動を共にするような仕事や、同じ目標に向けて努力するチームプロジェクトなどから、不倫に発展するケースは多いもの。

「あ、うん」の呼吸でサポートするためには、相手のことをよりよく理解しようと努めるし、サポートされる側は、かゆいところに手が届く仕事ぶりが居心地よい。いつしか恋愛感情を抱くようになっても何の不思議もありません。

残業が多く、家庭にいる時間が果てしなくゼロに近い

残業や休日出勤が極端に多い会社では、「職場が生活のすべて」になりがち。家庭は置き去りになり、結果、日々ともに過ごす仕事仲間から、新たなるパートナーを見出してしまうことも……。

家庭よりも職場の方が本当の自分を見せられる。いいところだけでなく、悪いところも見せられて、一緒に問題を乗り越えられる。そんな中で培った結びつきは強く、関係も深いものになりがち。このパターンの社内不倫は、一時の気の迷いではなく、離婚・再婚の道をたどることも多いようです。

好みの相手がたまたま職場にいただけ

自分の好みにドンピシャ! という相手が職場に配属されてきて、気になって気になって仕方がない……ということ、これはもう、ありますよね。

いずれの場合にしても、同じ職場の場合、出張や飲み会などで、距離が近づくのはある意味、自然な流れと言えるのかもしれません。

社内不倫のリスクとは?

社内不倫には、不倫全般にいえるリスクはもちろん、社内不倫だからこそ発生するリスクもあります。

社内不倫の法的リスク

社内不倫がバレてしまった場合には、次のような法的リスクがあります。

1)不倫相手の妻(または夫)から慰謝料を請求される

2)自分が離婚することになり、夫(または妻)から慰謝料を請求される

3)不倫相手が部下の場合、パワハラ、セクハラで訴えられる

中里弁護士 1. 不倫相手の妻から慰謝料を請求された場合
慰謝料の相場は100〜150万円です。「私たちは本当に愛し合っている。私たちは悪くない!」といった反省ゼロの態度を取って、もっと金額が大きくなったケースもありました。
 
2. 自分が離婚することになり、夫から慰謝料を請求された場合
あなたが不倫をしているのですから、あなた自身は離婚したくなくても、通常、夫(または妻)からの離婚請求に対抗はできません。また、不倫が原因で離婚となれば、家庭を失うだけではなく、慰謝料を請求される可能性も高いです。

3. 不倫相手の部下から、パワハラ、セクハラで訴えられた場合
社内不倫で怖いのは、不倫相手との関係清算に失敗した場合。とくに相手があなたの部下であった場合、不倫相手が腹いせに、「優越的な地位を利用して関係を強要された」とあなたをパワハラ、セクハラで訴える可能性があるのです。

パワハラ、セクハラで不倫相手から慰謝料を請求されることになれば、社内不倫の事実がある以上、対抗は難しいでしょう。パワハラ、セクハラといえば男性上司が思い浮かびますが、女性であっても、役職についている場合は要注意。不倫に限らず、関係の清算はきれいにすることが鉄則です。

なお、あなたのほうから、腹いせに不倫関係や秘密をばらしたりすると、名誉棄損で訴えられる可能性があるので気をつけましょう。

社内不倫で会社から何らかの処分を受けるリスク

社内不倫がバレたとき、会社が取る対応としては、降格や地方への異動などが考えられます。

中里弁護士 会社が、社員の不倫に対し、どのような対応をとるかどうかは、会社によって大きく異なります。

社内不倫がバレたことをきっかけに、女性も男性も地方に異動になったことがありましたが、これはめずらしいケース。まるでなかったことのように「完全スルー」の会社がほとんどで、降格や地方への異動は、意外に少ないというのが私の印象です。

夫、妻、夫の不倫相手が同じフロアにいるのに、そのまま誰も異動なしという結果に終わった事例もありました。これには驚きましたが、優秀な社員だったり、さまざまな社内事情がからんだりすると、異動もそう簡単ではないのかもしれません。

とはいえ、これは不倫があくまでプライベートの範囲にとどまる限りでのこと。不倫関係が業務に支障をきたしていると判断される場合は、何らかの処分を受ける可能性は当然高まります。また、明確な処分は免れても、あなた自身の社内の信頼や、業績評価、将来の出世など、キャリアに悪影響を及ぼす可能性は、否定できません。

また、不倫相手が部下で、あなたをパワハラ、セクハラで訴えた場合は、正式な処分の対象となり得ます。

社内不倫で仕事を失うリスク

会社からの処分はなくても、同じ職場に居づらくなることは十分考えられる事態です。

中里弁護士 会社からの処分はなかったけれども、気持ちにけりをつけるため、あるいは居づらくなって、会社を辞めることになるというケースもあります。社内不倫から離婚、再婚に至った場合には、どちらか一方は会社を辞めるというケースが多いように思います。

いずれにせよ、社内不倫の場合、会社を辞めることが自分にとってどれくらいリスキーかということは、考えておきたいですね。

社内不倫で家庭崩壊のリスク

社内不倫によって夫婦関係が破綻すれば、離婚することになるかもしれません。

中里弁護士 社内不倫が家族にバレて家庭崩壊、離婚。その後、不倫相手との関係も終わってしまい、結局何も残らなかった……というケースは多いです。前述のとおり、あなたが不倫をしているのですから、あなた自身は離婚したくなくても、通常、夫(または妻)からの離婚請求には抵抗できません。

どんなに不倫に盛り上がって「私たちは純粋に愛し合っている。この恋はホンモノ」と思っても、恋愛感情の多くは、3年ほどで冷めてしまいます。そして、恋の炎が燃え上がっているときに、なかなか正しい判断はできません。

自分にとって本当に大切な人を失ったこと、とりかえしのつかないことをしてしまったことに、後になって気づいても手遅れです。

社内不倫で失敗しないためにできること

社内不倫、プラトニックなら安全?

社内に気になる人がいる、上司に誘われているような気がするという程度の段階なら、今が踏みとどまるチャンス。一度でも関係を持ってしまうと、ずるずる泥沼にはまり、取り返しのつかないことになるかもしれません。

中里弁護士 法律的に、「不貞」とは、1度でも肉体関係があった場合を指します。まだ、肉体関係がないのなら、今が踏みとどまるチャンスと言えます。

ただし、プラトニックでも「過度な交際」なら話は別。「肉体関係はないけれど、将来を固く誓い合っている」というような場合、本当にそうなら不貞行為はないわけですが、2人の交際によって婚姻関係が破綻したと認定されれば、ある程度の慰謝料が認められる可能性があります。

社内不倫、社内でのリスクを最小化するには?

仕事はきっちり、敵をつくらない

中里先生もおっしゃるように、社内不倫が会社にバレても、業務に支障がなければ、表向きにはおとがめなしということは多いもの。常日ごろ以上に仕事はきっちりこなし、結果を出しましょう。

また、ひとたび社内不倫がウワサになったとき、あなたを嫌いな人が足をすくいにくることも。日ごろから、社内に不必要に敵を作らない心がけも重要です。

社内不倫の相手とは絶対揉めないように

社内不倫の相手と別れ話がこじれたとき……これは大きなリスクになります。相手が社内で地位のある相手なら、あなたの評価を下げられたり、望まぬ異動を強いられたりするかもしれませんし、相手が部下なら、セクハラ、パワハラで訴えられる可能性は高いです。また、結果的に、相手と揉めたことが原因で、業務に支障が出てしまうこともあるでしょう。

とにかく揉めない、関係を清算するときはきれいに別れる、これが社内不倫の鉄則です。

社内不倫、バレたらどうする?

すぐに謝る

もし、夫(または妻)に「バレたかも?」という気配を感じたら、問い詰められる前に自分から「今回のことはごめんなさい」と「何」を明確にしないで謝ってしまうのはひとつの手です。

具体的なことに言及しないまま、とにかく謝り倒して、二度としないと誓って。すると、意外に相手も「今回のことってなに?」と、詳細は問い詰められなかったりするもののようです。

「おわびに何かプレゼントさせて」「次の休みはあなたの好きなところへ行こうよ」など楽しい計画を提示し、うまく煙に巻くことができたら、これを機に、不倫には終止符を打ちましょう。

しらを切りとおす

誠意ある対応とは言いがたいのですが、よほどの証拠を押さえられていない限り、しらを切り通す。つじつまが合っていようがいまいが、「違う」と言い続ける。

乱暴なやり方と思われるかもしれませんが、そもそも合理的な理由は説明できないわけですから、はなから「うまいこと説明しない」と開き直るのも、ひとつの方法です。

そして、今の家庭を守りたいのなら、「バレたのはよいきっかけ」と受け止め、きっぱり関係を清算することです。

中里弁護士 不倫はしょせん危ない綱渡り。適度に交際していればまだバレる危険も少ないのに、どうしても「エスカレートする時期」というものがあるようです。

そうなると、帰宅が遅い日が多くなる、携帯を肌身離さず持っている、四六時中スマホでメッセージをチェックしているなどなど、わかりやすく、あやしい行動が増えるもの。結局、配偶者にバレるのは時間の問題なのです。

なかには「完璧なストーリーで偽装する(ウソで固める)」という人もいますが、これを矛盾なくこなすには、かなりの頭脳が必要。凡人には無理と考えた方がよいでしょう。

社内不倫に悩むあなたへ、弁護士からのアドバイス

これまで多くの女性からの法律相談にあたってきた中里弁護士から、社内不倫に悩む女性へ、アドバイスをいただきました。

中里弁護士 人の気持ちに、他人がストップをかけるのはむずかしいことです。その恋がひそかに進行する不倫ならなおのこと。

でも、夫がいる、子どもがいるという場合、責任があることを忘れないで。

社内不倫の相手が真実の愛の相手だったとしても、順番が間違っていることは紛れもない事実。責任をきちんと果たさなければ、真実の愛もへったくれもないのです。

まとめ

社内不倫には、さまざまなリスクがあります。

自分にとって大切なものを失うことのないよう、いっときの感情に流されないようにしたいですね。

この記事の監修者 中里妃沙子 弁護士
丸の内ソレイユ法律事務所 所長。東京弁護士会 所属。 離婚、相続、会社法務、労務管理、債務整理、交通事故、債権回収、賃貸借契約など幅広い分野に取り組むとともに、新聞、雑誌、テレビ、WEBメディアでも活躍。とくに離婚・男女問題については年間300件以上を法律事務所として受任し、豊富な実績を誇る。
◆丸の内ソレイユ法律事務所:http://maru-soleil.jp/
◆女性のための離婚相談:https://www.rikon-soleil.jp/

(文:暮らしのチームクレア 小川睦美/監修:中里妃沙子/漫画:ニタヨメ)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、弁護士に取材、および、その監修を経た上で掲載しました

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