1996年にアメリカ・ニューヨークの小さな劇場で誕生したミュージカル「RENT」。さまざまな若者たちの悩みや葛藤を描き、今までのミュージカルでは敬遠されていた貧困、ドラッグ、エイズなど社会的な題材を取り上げた名作だ。日本では2015年公演から約2年ぶりの上演となり、新キャストも迎え、さらなる期待が寄せられている。
ミュージカル「RENT」開幕前日の7月1日(土)、公開ゲネプロを東京・シアタークリエで開催した。

 公開ゲネプロでは、ロジャー役は「超新星」ユナク(Wキャストは堂珍嘉邦)、ミミ役はジェニファー(Wキャストは青野紗穂)、エンジェル役は平間壮一(Wキャストは丘山晴己)モーリーン役は上木彩矢(Wキャストは紗羅マリー)が務めた。

 鉄骨に囲まれ、どこか寂れた雰囲気の舞台に、ロジャー役のユナクがぽつんと腰かけているところからストーリーは始まる。マーク役の村井良大も登場し、金は無いが夢を追う若者たちが家賃(レント)すら払えない現状を嘆き、叫びたつアップナンバー「Rent」でオープニングを飾った。

 かつてはマークやロジャーの仲間だったベニー役を演じたのは、「CODE-V」NALAW(ナロ)。お金持ちのお嬢様と結婚したことで今までの立場とは逆転し、マークたちから家賃を徴収しようとする憎まれ役だ。日本での舞台は今回が初挑戦となるNALAWだったが、初めてとは思えない堂々としたパフォーマンスとパワフルな歌声を会場いっぱいに響かせた。

 明るく前向きに物事を捉えようとするマークに対して、自分の気持ちを閉じ込めて外に出ることを拒み続けているロジャー。そんなロジャーが階下に住むSMクラブのダンサー ミミと出会い、心を通わせていくシーンでは、キャンドルに火を灯しながら「Light My Candle」を歌い、ロマンチックな雰囲気に。

 ミュージカル「RENT」のキーパーソンともいえるストリートドラマーのエンジェルはドラァグ・クイーンのド派手な衣装で登場し、華麗なドラムパフォーマンスと情熱的なダンスで観客を魅了した。

 セクシーな衣装を着たミミが「Out Tonight」を歌いながらロジャーを誘うが、自分がエイズ感染者ということで、なかなか自分の気持ちに素直になれずにいる葛藤をユナクが熱演。その後のロジャーとミミのデュエット曲「Another Day」では、歌詞の中に何度も出てくる「No Day But Today(=今日という今を生きる)」という強いメッセージを観客に投げかけた。

 パフォーマンスアーティストであるモーリーンと打ち上げパーティーをライフ・カフェで行い、「La Vie Boheme」を歌いながら、貧しくても自由に生き続けるアーティストの誇りと喜びを爆発させた。そして、このシーンの途中でロジャーとミミがお互いにエイズ感染者であることを知って第1幕は終了する。

 第2幕は、「RENT」を象徴する楽曲「Seasons Of Love」をキャスト全員で歌うとこからスタート。ソリスト2名を筆頭に圧巻のハーモニーを披露し、観ているだけでグッとくる感動の場面だ。曲の終盤では観客に手拍子を煽り、ユナクやNALAWもキャスト同士で目を合わせながら、会場全体をひとつにして盛り上げた。

 ロジャーとミミ、エンジェルとコリンズが見守るなか、モーリーンと恋人のジョアンヌがお互いの気持ちを激しくぶつけ合う「Take Me Or Leave Me」では、自分が抱える嫉妬や葛藤をすべて吐き出して、相手への愛情を再認識する重要なシーンとなった。

 その後、ミミとすれ違い、ミュージシャンとして大切にしてきたギターを売り、ニューヨークから逃げるようにサンタフェへと向かうロジャー。しかしミミのことを忘れられず、悩みもがき苦しみながら、ミミへの想いを込めた曲を完成させる。

 そんな中、マークもようやく手に入れたプロデューサーの仕事に疑問を感じ、自分が撮りたいものは他にあると気づく。マークとロジャー、それぞれが自分の大切なものに気づき、叫びたつ曲「What You Own」では、回転する鉄骨の舞台装置の上に立つ2人が前だけを向きながら、力強く魂を込めた歌声を披露した。

 最後はキャスト全員でフィナーレを迎え、大きな拍手に包まれながら公開ゲネプロの幕を閉じた。若者たちの熱い思いがひしひしと伝わり、今を生きる大切さを改めて教えてくれるミュージカル「RENT」。今年の夏は家族や友達、大切な人と一緒に観てはいかがだろうか。