6月28日(日本時間29日)に今季16度目の先発マウンドに上がったヤンキース・田中将大。1−1で迎えた9回表、2死無走者、1ボール2ストライクまでこぎつけながら、レッドソックスの5番・ナポリに投じた96マイルのストレートをライトスタンドに運ばれ、9回2失点ながら今季3敗目を喫した。

 翌日の地元紙に「タナカ、9回に沈む」といった見出しが並ぶ中、ESPN電子版は「タナカの悪い判断がヤンキースに敗戦をもたらした」という見出しを掲載。それまで2三振のナポリに対し、変化球で追い込みながら、さらに変化球を要求するキャッチャー・マキャナンのサインに首を振り、ストレートを選択したことを疑問視する内容の記事だった。

「ナポリはスライダーやスプリットに全くタイミングが合っていなかった。タナカはこの夜も新人王、サイヤング賞候補にふさわしい投球を披露しながら、たった1球、たった1つの判断でヤンキースは試合を落とすことになってしまった」

 記事はバッテリーの証言に基づいてのサイン交換の詳細にも触れていた。

「マキャナン捕手は1−2と追い込んだ後、スプリットを要求したが、タナカはこれを拒否。マキャナンが次に要求したのはスライダーだったが、タナカはこれも首を振って拒否。彼はファストボールを投げたかったのだ。そして、実際に彼はファストボールを投じた。1つ問題があったのは、打者のナポリはファストボールが投げられることを望んでいたことだ。決勝弾となる一発を放ち、ベンチへ戻ったナポリは叫んだ。『おれにファストボールを投げてくれたぞ! バカじゃなかろうか!?』と」

 テレビの音声に拾われていたことで、ちょっとした物議を醸したナポリの発言だったが、結果的に田中の選択が間違っていたことを証明する形になってしまった。

 マキャナンは「タナカの投球に間違いなどと言う文字はない。彼が投げる全てのボールは正しいのだ」とかばったが、ESPNは「いくらコースを狙ったとしても、あの場面でナポリにファストボールを投げることの正当性は見つからない」と詰めを見誤った田中、バッテリーを糾弾するかのような厳しめの記事を展開。ESPNはここまで田中を絶賛する傾向が強い媒体だったこともあり、少々意外だった。

 ファンが記す掲示板ものぞいてみたところ、記事に同調するコメントも見られたものの、田中をかばうコメントのほうが目についた。

「結果論なら誰だって言える!」

「最後に変化球で仕留めるための布石となるファストボールだったのだから選択ミスとはいえないだろう」

「問題は1点しかとれないヤンキースの打線だろ!? 9回2失点なんだから普通なら勝ち投手だよ!」

 この日でデビューからの連続クオリティ・スタート(6回以上を投げ、自責点3以内におさめる)をメジャー歴代1位タイとなる16まで伸ばした田中。敗戦で快挙がやや霞んだ格好となったが、特に大きく騒がれなかったのは、「タナカならクオリティ・スタートくらい朝飯前だろう」と思っているファンがいかに多いか、ということの証明でもあろう。
(文=服部健太郎)


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