7月19日〜28日(高知県立春野総合運動公園野球場ほか)

投打の主役・岸潤一郎、最終章飾れるか
高知を舞台に魅せる職人と野生児の競演

投手編
最後の「岸潤一郎vs酒井祐弥」

 岸潤一郎(明徳義塾)と酒井祐弥(高知)。1年秋からともに名門校でエースの重責を背負ってきた2人。剛球ストレートと多彩な変化球を駆使する現代タイプの岸に対し、酒井は腕を思い切り振り、カーブ、スライダーを中心に組み立てるクラシカルスタイルを貫いた。両者が勝ち進めば、最終決戦は高知大会決勝戦。昨年を上回る感動ドラマを期待したい。

トップフォームを思い出せ!

 最後の夏にトップフォームを取り戻したい投手たちもいる。2年夏に140キロ超えを連発した185センチ・谷悠大(高知中央)。その後は制球を乱す場面が続いたが、県総体では復活の胎動を感じさせた。1年夏から登板を続ける180センチ・島田淳(高知商)もスライダーのキレが戻ってきた。

 また、昨年センバツでは右翼手だった久保田周(土佐)は、腕の位置を下げるなどベストの状態を模索中。右ヒジ痛に悩む東野幸哉(高知東工)や、右ヒジ手術明けの片岡昂太郎(高知東)といった大型右腕たちも再起をかける。

 彼らだけでなく、冬に自重体幹トレーニングを重ね、4校連合躍進の原動力となった左腕・松浦友人(中村高校西土佐分校)のような、地道な努力を続けた選手が最後に実を結ぶことを願いたい。

打者編
打席でもすごいんです

 センバツ以降、岸潤一郎(明徳義塾)がホームラン量産態勢に入った。そのいずれもが「打った瞬間」と、本人も納得の完璧な当たり。夏は「スラッガー・岸」にも注目だ。

 県総体では土佐バッテリーが打撃面で凄みを発揮している。1回戦で久保田周が春野球場右中間最深部に叩き込むと、準々決勝では4番・捕手の南武志が高知球場左翼席奥ネットにぶつける3ラン。推定飛距離120メートルを超える2人の大アーチは、観客のみならずネット裏の県内高校野球関係者の度肝を抜いた。

職人肌集団の中で輝く「野生」

 今年の高知県は職人肌系野手が多い。捕手ではクレバーリードで春以降成長を続ける大塩浩史(高知商)。下半身主導の送球を身につけた川上翔大(高知)は二塁送球タイムが2秒を切った。

 内野手では明徳義塾一、二塁間コンビ。一塁手・西岡創太はシンデレラストーリーを歩む打撃の職人。二塁手・森奨真は守備に加え逆方向への打撃も芸術的だ。脚運びのよい遊撃手・掛水歩(伊野商)も注目の選手だ。

 外野手ではスピードスター・多田桐吾(明徳義塾)に、バットコントロールの正確な横山拓哉をはじめとする中村の左打者勢。スイングスピードを兼ね備える右打者・矢野克磨(高知工)、甲藤竜之祐(高知東工)らが代表格だ。

 そんな職人たちの中で輝くのは野生的選手。棈木裕亮(明徳義塾・捕手)は鉄砲肩で岸を助ける。高知中央の遊撃手・坂田直輝は黒豹ベースランニングで魅せる。感覚的なグラブさばきの遊撃手・土居弘洋と勝負強さは天下一品の外野手・上田隼也は昨春センバツベスト4の高知コンビ。左中間奥深くへ鋭いライナーを飛ばす股川翔任(岡豊)も見逃せない。

大会展望
5年連続濃厚な明徳義塾

明徳義塾の5年連続甲子園出場が極めて濃厚。戦力的に抜きん出ている上に、参加31チームの中で第1シードでもある。唯一甲子園まで4試合で済むアドバンテージに、第2シード・高知と第3シード・高知中央が準決勝までに潰し合うことが拍車をかける。敗れるパターンがあるとすれば、エース・岸が打ち込まれるか、岸を温存した試合で大量失点を喫した時。または打線が沈黙した場合だが、これには2回戦・準々決勝の対戦相手が「捨て石」になる覚悟が必要である。

『週刊野球太郎』では、プロスカウト注目の有望選手情報、試合みどころ&結果レビュー、ご当地監督名鑑、ラガーさんほか高校野球観戦マニア集合など、夏の高校野球観戦をもっと楽しくする連載が盛りだくさん!