2年連続3位でクライマックスシリーズ(以下CS)に出場した広島。今年はシーズン序盤で首位に立ち、ここ数年で増えてきたファンを大いに盛り上げた。このファンの多さと成績アップで、さらに書店の野球本コーナーに並ぶ赤い本が増えてきたように感じる。昨年のCSファーストステージで甲子園球場をカープファンで赤く染めていった光景が書店でも見られるわけだ。

 出版不況、といわれる中にあって一大人気のカープ本。『るるぶ広島カープ』、『ぴあMOOK WE LOVE CARP』 、『別冊カドカワ 総力特集広島カープ』など、普段、野球本も出していない出版社から立て続けにカープ関連雑誌が発売され、数が多すぎてどれから読めばいいのかわからない、という悩みを抱えてしまっても不思議ではない。

 その中から、書店でもまだ入手しやすく、ノンフィクション、フィクションを織り交ぜ、カープファン入門編として最適な本を5冊を紹介したい。


◎「投手王国」のDNAを知りたいなら……
『カープ“投手王国”再建へ』

 著者は、2010年〜2012年までの3年間、広島の投手コーチを務めた大野豊。広島東洋カープの歴史を語る上でも欠かせない伝説の左腕だ。自身の現役時代と2度の投手コーチの経験を踏まえ、長年「投手王国」といわれ続けてきたカープ投手陣の「これまで」と「これから」を語った本になる。

 本書がありがたいのは、前田健太や野村祐輔、今村猛、バリントンなど、現在の広島投手陣たちの強みや課題を知ることができるとともに、江夏豊・北別府学・川口和久・津田恒美・佐々岡真司・黒田博樹といった、カープ黄金時代を築き、継承してきた伝説の投手たちについても詳細に綴られている点だ。「自分がいる世界や組織の歴史を学べ」とは落合博満の言葉だが、なぜ15年間Bクラスだったのか、なぜ資金もない地方の一球団がかつて黄金時代を築くことができたのかを知るヒントになるはずだ。

 そして歴史を知ることができれば、その系譜を受け継ぎ、球界を代表するピッチャーにまで登りつめたマエケンの存在価値も、さらに高まるのではないだろうか。

◎なぜカープファンはこれほどまでに熱狂的なのか?
『カープファンは日本一』

 トランペット、ジェット風船、スクワット応援……プロ野球の応援に欠かせないこれらが全て「カープ発祥」ということをご存知だろうか? 冒頭でも述べたように、近年では敵地スタンドも赤く染め、さらには「カープ女子」なる言葉まで生み出した「カープファン」のパワー。その背景に迫った、まさに「カープファンの教科書」ともいえる一冊が本書になる。

 資金難にあえぐ中、猛練習と創意工夫を重ねるチーム同様、ファンもチームを応援するために知恵を絞り、愛情と情熱で全国の野球ファンを席巻してきた流れを知ることができる。その努力の成果は、昨年のWBCにおいて、セ・パ12球団の応援組織が集結して「日本代表応援団」を結成するうえで、中心的役割を広島応援団のメンバーが務める形で現れたのだ。

 本書では「カープ発祥」の応援スタイルが生まれた背景を知ることができるとともに、選手別の応援歌が記されているのがとても実用的。カープファンを目指すなら、まずこの一冊がオススメだ。

◎カープ女子ブームの先駆け!
『球場ラヴァーズ』シリーズ

 プロ野球を「応援席」、「ファン」の視点から描いたのがカープ応援漫画『球場ラヴァーズ』シリーズ。

 もともとは、イジメにあっていた女子高生(その後女子大生)・松田実央が、広島カープを応援することで生きる希望を見つけていく『球場ラヴァーズ〜私が野球に行く理由〜』として2010年から連載スタート。その後、野球が嫌いな女子大生・太田日南子を主人公にした『球場ラヴァーズ〜私を野球につれてって〜』、広島出身のキャリアウーマンにして熱狂的カープガール・基町勝子を主人公にした『球場ラヴァーズ〜だって野球が好きじゃけん〜』と、カープの躍進とともにその世界観がどんどん拡がっている。

 著者である石田敦子自身が広島出身で生粋のカープファンだけに、たる募金や市民球場ネタ、前田智徳や津田恒美への熱い思いなどなど、カープにまつわるエピソードやうんちくが充実。

 そして、実際のペナントレースと連動して物語が進むので、東日本大震災が起きたとき、そしてカープの16年ぶりのAクラス入りでカープファンは何を考えたのか? という点を考えるキッカケにもなるはず。広島カープを知る上での最初の教科書としてもオススメの作品だ。