【成功&失敗の法則】秋山翔吾(西武)はレアケース。オープン戦ブレイクの首位打者は活躍できない!?
 3月21日に行われたMLB日本開幕戦の試合をもってイチロー(マリナーズ)が現役を引退した。オリックス時代は1994年のブレイクから7年連続で首位打者を獲得し、MLBでも3000を超える安打を積み重ねたまさにレジェンドである。今回の『新発見! 野球太郎的成功&失敗の法則』では、そのイチローが日本球界で7年連続獲得した首位打者に関する法則を探ってみたい。

◎前年首位打者は首位打者になれない?

 イチローが7年連続で首位打者を獲得していたこともあり、複数年連続で首位打者となることは珍しくないように見える。しかし、実際はそうではない。イチローがMLBに移籍した2001年以降、複数年連続で首位打者を獲得したのは2002、20003年の小笠原道大(当時日本ハム)一人だけ。もう15年間にわたり複数年連続首位打者は誕生していないのである。

 本塁打王は2003、2004年のウッズ(当時横浜、現DeNA)、2007、2008年の村田修一(当時横浜)、2011年から2013年にかけてのバレンティン(ヤクルト)、2008、2009年、2011、2012年、2014・2015年の中村剛也(西武)と4人が複数年連続で獲得しているのとは対象的である。

 昨シーズン、セ・リーグはビシエド(中日)、パ・リーグは柳田悠岐(ソフトバンク)が首位打者を獲得した。この2人は「2年連続での首位打者獲得は困難」という法則を打ち破ることができるだろうか。

◎実績のないオープン戦首位打者は苦しむ?

 シーズン以外にも目を向けてみたい。オープン戦の首位打者にはなにか法則があるのだろうか。今シーズンは、DeNAの2年目・楠本泰史が首位打者を獲得。激戦区となっている外野のレギュラー争いに名乗りを上げた。

 俄然シーズンへの期待は高まるが、はたして近年のオープン戦の首位打者がシーズンで結果を残すことができているのか検証してみたい。

 昨シーズンは内田靖人(楽天)が首位打者だった。開幕スタメンにも抜擢されブレイクを期待されたが、1週間でファーム降格。シーズン終盤で少し調子を取り戻したものの、1軍の戦力になったとは言いがたい。2017年のシリアコ(DeNA)も開幕後は別人のようになってしまった。シーズンでの打率は1割にも届いておらず、非常に苦しんだ。

 2016年の鈴木大地(ロッテ)はすでにレギュラー格だったこともあり、フルシーズンを戦い抜き、打率.285とさすがの成績。

 大ブレイクとなったのが2015年の秋山翔吾(西武)である。それまでもレギュラーではあったが、目立った成績を残せず、現在のような日本を代表する打者とは言えない存在だった。しかし、オープン戦で打率.459と大爆発。その勢いのままシーズンも突き進み、シーズン最多安打となる216安打を記録。日本を代表する選手へのステップとなったのである。

 それ以前では、2014年の井上晴哉(ロッテ)、2013年の畠山和洋(ヤクルト)、2012年の松山竜平(広島)がいずれもオープン戦とは別人のように結果を残すことができていない。なお、畠山はこの年までに規定打席到達を3度経験していたが、井上、松山に実績はなかった。

 2011年の浅村栄斗(西武)はシーズンでも勢いを持続させ、この年にレギュラーを獲得。飛躍の年となった。

 こうして見ると、レギュラー格の成績を残していた鈴木と秋山は、オープン戦首位打者からシーズンでも結果を残している。が、実績のあった畠山は苦しんでいる。

 それまでの実績がなかった内田、シリアコ、井上、松山はシーズンで結果を残せなかった。しかし、浅村はレギュラーを獲得……。

 オープン戦はあてにならない、ということを表すかのように様々なパターンがあった。しかし、実績のなかった選手がオープン戦で首位打者となっても、なかなかシーズンの成績に結びつかない、確率が高いとはいえるだろう。

 開幕戦では2打数2安打2四球1死球と絶好のスタートを切った楠本は、浅村のように飛躍の年にすることができるか。今シーズンの結果に注目したい。

◎2011年以降のオープン戦首位打者の当該年成績
(※球団名は当時の所属球団)

2019年
楠本泰史(DeNA)
オープン戦:17試合/打率.388(53打数19安打)

2018年
内田靖人(楽天)
オープン戦:16試合/打率.386(44打数17安打)
シーズン:58試合/打率.198(177打数35安打)

2017年
シリアコ(DeNA)
オープン戦:17試合/打率.375(56打数21安打)
シーズン:12試合/打率.074(27打数2安打)

2016年
鈴木大地(ロッテ)
オープン戦:16試合/打率.400(45打数18安打)
シーズン:143試合/打率.285(501打数143安打)

2015年
秋山翔吾(西武)
オープン戦:11試合/打率.459(37打数17安打)
シーズン:143試合/打率.359(602打数216安打)

2014年
井上晴哉(ロッテ)
オープン戦:15試合/打率.435(46打数20安打)
シーズン:36試合/打率.211(95打数20安打)

2013年
畠山和洋(ヤクルト)
オープン戦:18試合/打率.393(56打数22安打)
シーズン:99試合/打率.219(360打数79安打)

2012年
松山竜平(広島)
オープン戦:19試合/打率.403(62打数25安打)
シーズン:48試合/打率.204(137打数28安打)

2011年
浅村栄斗(西武)
オープン戦:9試合/打率.441(34打数15安打)
シーズン:137試合/打率.268(437打数117安打)

文=勝田聡(かつた・さとし)