本県漁業の主力の一つ・スルメイカを日本海で漁獲する中型イカ釣り船団が14日に今季も酒田港から出航する。温暖化による海洋環境の変化の影響か、船団による「船凍イカ」漁は記録的な不漁で、昨年度は131トン。近年で最多の2013年度より9割減となった。7隻の船団の一部は太平洋のアカイカ漁に転換せざるを得ない状況で、今季は3隻のみが日本海のスルメイカを狙い船を出す。

 県漁業協同組合によると、本県など日本海のスルメイカ漁は、小型船による沿岸での生イカと、中型船が好漁場の大和堆(たい)や北海道沖などで操業し、船上で急速冷凍させる船凍イカに大きく分けられる。総水揚げ量は例年、本県漁獲量全体の3〜4割を占めていたが、近年は不振が続き、23年度は2割を切り、24年度はわずか287トンで、全体の1割ほどにとどまる。特に、船凍イカは21年度以降の落ち込みが激しく、24年度は近年のピークだった13年度の1975トンより93%ほど下回る131トンだった。

 「今までにない大不漁だった」。本県中型イカ釣り船団の船団長を務める第86若潮丸漁労長の本間健さん(69)=酒田市若竹町2丁目=は昨季のスルメイカ漁をこう振り返る。「昨年はどこに行ってもイカの姿はほとんどなかった」という。

 全国いか釣り漁業協会によると、スルメイカ漁は自動イカ釣り機による疑似餌を使った一本釣り。アカイカは針が異なるものの、同じ機械や冷凍設備で対応可能だという。このため、船団のうち4隻は比較的漁獲量が期待できる太平洋でのアカイカ漁に切り替えた。秋頃まではアカイカを狙うとみられる。「太平洋から酒田港への水揚げは期待できない状況で、本県漁業の衰退にもつながりかねない」と関係者は危機感を募らせる。

 若潮丸を含め、本間さん率いる船団の3隻が酒田港から大漁旗をはためかせ、日本海の大海原を目指す。「船いっぱいにイカを取ってきてほしい」と周囲からの期待を背負う本間さん。「厳しい状況だが、地元酒田にたくさんイカを届けたい」と船出の時を待つ。

魚種転換、小型船でも

 本県などの沿岸でスルメイカを狙う小型イカ釣り船にも魚種転換の動きは出ている。県小型いか釣漁業協議会長の池田敏行さん(64)=酒田市高見台2丁目=は、昨季からケンサキイカ漁も始めた。水揚げはまだスルメイカの方が多いが、このままスルメイカが減少した場合、ケンサキイカへの本格的な転換もあり得るという。

 ケンサキイカは、スルメイカに比べて高値で取引され、温暖な海域を好み、日本列島の沿岸域からインド洋―西太平洋に広く分布。山口県や長崎県の沖合が主な漁場だったが「近年は温暖化の影響か北上し、本県沿岸部でも釣れる」という。アカイカ同様、スルメイカと同じ装置で漁獲できるという。

 アカイカ、ケンサキイカともに刺し身や加工品としての代替は可能だが「ゲソ天」や、肝を使った「塩から」は代替できないとの見方もある。