筋トレ後の休息がキモ!筋肉痛は「筋繊維の修復」で治す

筋トレをして筋肉に大きな負荷をかけ続けると、筋線維には微細な傷が無数につきます。しかし、人間の細胞には修復機能が備わっているため、その傷は時間をかけて徐々に修復されていきます。この時に発生する痛みが「筋肉痛」です。筋肉痛は筋繊維が傷つくと発生するので、筋トレだけでなく、ふだんしないような運動をした時などにも発生します。

筋肉痛発生のメカニズムとは?

損傷した筋線維を修復するため、損傷した部位には白血球などの血液成分が集まり炎症が発生します。すると、ブラジキニン、ヒスタミンなどの刺激物質が産生されて、筋膜にある受容体に作用し、それが感覚中枢を介して「筋肉痛」という痛みとして感じます。

こうして筋肉が損傷を受けたという体験をすると、再び損傷を受けないために以前よりも強靭に、大きくなっていきます。これが筋トレをすると筋肉が増える理由であり、この現象を「超回復」呼んでいます。

「超回復」は完全休養が功を奏する

この超回復が完了するまでにかかる時間は、個人差や損傷の度合いにもよりますが、平均で2〜3日(約72時間)と考えられています。そのため、この期間は「完全休養」として、筋トレをせず、刺激を与えないようにすることが賢明です。

超回復期間は、筋肉へ直接刺激を与えることは避けましょう。筋線維が修復されている最中に刺激を与えると、筋修復が進まず、さらに新たな損傷を与えてしまうことから、筋量の減少を招くおそれもあります。とくに筋肉痛が発生しているような時は、ストレッチなども控えて、極力安静にすることを心がけるのがおすすめです。

また、筋肉の材料となるタンパク質が豊富な食品を多めに食べることも忘れてはいけません。

超回復の時間を短縮する方法

とはいえ、ツライ筋肉痛は早く治したい!と誰もが思います。超回復の時間を短縮するには、筋トレ直後のケアがとても重要。損傷を受けた筋肉は血流が滞り、疲労物質も滞留しています。これをできるだけ早く除去することで、超回復の期間を短縮できるのです。

おすすめはトレーニング直後の冷水浴、または、酷使した部位に冷たいシャワーを当てること。炎症を起こした筋肉を冷却することで血行が促され、疲労物質をすみやかに除去できます。また、筋肉の修復には睡眠が非常に重要です。トレーニングをした日はいつもより早めの就寝を心がけましょう。

トレーニング直後の栄養摂取に気を配ることもお忘れなく。筋肉の材料となるタンパク質の摂取はとくに重要です。筋肉の修復を促す栄養摂取法に関しては後述します。

筋肉痛にストレッチは逆効果?

ちなみに、筋肉痛がある時にストレッチを行っても、筋肉痛の早期改善効果は期待できないといわれています。それどころか、硬くなった筋肉を無理して伸ばすと、さらに硬くなってしまう可能性も。筋肉痛を早く治したい時は、ウォーキングなどの軽めの運動をして、血流を促すほうが効果的でしょう。

筋肉痛には「タンパク質」が必須!だが、過剰摂取には注意

タンパク質は、筋肉、内臓、血液、髪やヒフなど、体を形づくる材料となる成分で、体の約20 %はタンパク質で占められています。

タンパク質の主な働き

・ホルモンをつくる
・エネルギー源になる
・免疫力を維持する
・体の組織をつくる

筋トレなどで筋組織を破壊する運動を行った後、筋肉の材料となるタンパク質が不足していると、筋組織の修復がスムーズに行われず、筋量の低下を招きます。また、タンパク質は免疫抗体の材料にもなることから、風邪などの感染症にもかかりやすくなってしまいます。

肉はタンパク質の宝庫ですが……

タンパク質は糖質や脂質と異なり、制限なく摂っていいと思っている人も多いようですが、それは間違いです。過剰摂取は多くの弊害をもたらします。

まずは、摂りすぎたタンパク質は糖質や脂質同様、体脂肪として蓄積されるため、体重増加を招きます。とくに、動物性タンパク質を含む食品(卵や肉など)は、カロリーが高い傾向にあるため、脂肪分の少ない食品を選んだり、調理の時に油を必要以上に使わないといった工夫が必要。比較的カロリーの低い、植物性タンパク質を含む食品もあわせて摂れば、カロリーオーバーを防げるでしょう。

植物性タンパク質が豊富な食品

・大豆製品
・米
・豆類

動物性タンパク質が豊富な食品

・肉
・魚
・乳製品
・卵
・牛乳

また、肝臓と腎臓への負担も増えることから、必要以上のタンパク質摂取は避けるべきと考えましょう。

筋トレの前・中・後で摂取すべき栄養は変わる?

筋肉痛を治す(筋繊維の修復)には、タンパク質に加え、糖質補給も必須。また、摂取タイミングも重要なポイントです。損傷した筋肉は想像以上のスピードで修復を開始します。それに間に合わせるためには、筋トレ後20〜 30分以内にこれらの栄養を摂取しましょう。

とくに筋トレ直後は、糖質とともに、分岐鎖アミノ酸(BCAA)をサプリメントで摂取し、その後の食事で、タンパク質が豊富な食品を食べます。これで筋修復がしっかり行われます。

筋トレ前・中・後の正しい栄養摂取プラン

筋トレ前(2〜3時間前)
・バナナ1本
・おにぎり1個
・ゼリードリンク1パック のどれか1つ

筋トレ前は、糖質をメインに摂取しましょう。筋トレに有酸素運動を組み合わせる場合や、トレーニング時間が1時間以上に及ぶ場合は、1時間前くらいにバナナ、またはゼリードリンクを追加補給するのがおすすめです。

筋トレ中
・アミノ酸(BCAA)1パック
・スポーツドリンク500mlをこまめにとる(ハイポトニックがおすすめ)

トレーニング中の糖質補給は必要ありません。水分補給はスポーツドリンクがおすすめです。タンパク質を補給するなら、筋肉の材料に素早く使われるアミノ酸(BCAA)を摂取しましょう。

筋トレ後(20〜30分以内)
・アミノ酸(BCAA)1パック または プロテイン(ホエイ)
・ゼリードリンク
・スポーツドリンク

筋トレ後は、20 〜 30分以内にタンパク質と糖質をしっかり摂取しましょう。水分補給も忘れずに行ってください。さらに、筋トレ後2時間後くらいに肉や魚など、タンパク質が豊富な食品をとると理想的です。

筋肉痛の回復力を高める食品

筋トレ後の食事では、筋疲労回復を助ける食品(下記参照)も食べましょう。鶏肉、マグロの赤身、カツオに含まれるイミダゾールジペプチドは、回復力を高める最強の栄養素。また、タンパク質の代謝をサポートする、ビタミンB6も忘れずに。

鶏肉(ムネやササミ) / 牛ヒレ肉 / 豚ヒレ肉 / マグロ / カツオ / バナナ / 緑黄色野菜 / カリフラワー / サツマイモ / キウイフルーツ / 赤ピーマン / レバー / アサリ / 大豆製品(厚揚げ)/ 青菜(ホウレン草) / かんきつ類

栄養バランスのとれた食事をすればサプリは必要なし

では、タンパク質はどのくらい必要なのでしょうか?日常的に運動をしていない人の1日のタンパク質推奨摂取量は、体重1㎏あたり0.8g 〜1.0g であるのに対し、筋トレのような筋肉を酷使する運動を行う人は、体重1㎏あたり1.2〜1.5g といわれています。これは、筋損傷などが激しいため、その修復により多くのタンパク質が必要だからというのが一つの理由です。

タンパク質の必要摂取量

・筋トレをした日は…… 体重1kgあたり1.2〜1.5g
・筋トレをしなかった日は…… 体重1kgあたり0.8〜1.0g

ただし、肉や魚などを食べられない、偏食で小食といった人以外は、基本的にはタンパク質をサプリメントで摂る必要はありません。毎食、タンパク質を含む食品を食べれば、筋トレをしたとしてもほぼ必要量が筋肉に補充されます。

筋トレをした日は、タンパク質を大量に摂ることを重視するのではなく、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。なぜなら、タンパク質はほかの栄養素と助け合って、はじめてその働きを発揮できるという特性をもつからです。

とくに、ビタミンやミネラルが体の組織の材料としてスムーズに使われなくなった時、栄養素のなかでもタンパク質と相性のよいものを一緒に摂取することで、各栄養素の働きをフルに活かせます。その代表的な栄養素が、糖質、ビタミンB 群、鉄、カルシウム。これらを過不足なく摂ることで、タンパク質が体内でよりスムーズに利用されます。

また、3食に分けて摂るなど、小分けに摂ることで利用効率を高められることもわかっています。ぜひ意識してみてください。

タンパク質と一緒に摂りたい栄養素を含む食品

炭水化物(糖質)
穀類(白米、麺など) / イモ類

ビタミンB群
豚赤身 / 鶏ムネ肉 / 鶏ササミ / カツオ / マグロ / バナナ / 緑黄色野菜


ホウレン草 / レバー / アサリ / 赤身魚・肉 / 大豆製品 / 卵

カルシウム
乳製品(チーズ、ヨーグルトなど) / 小魚 / ひじき / 大豆製品 / 小松菜

筋肉が落ちるはウソ?アクティブレストで筋肉痛を治す

筋トレをして筋肉痛になったり、筋肉にダルさが残ったりするのは、負荷を与えた部位の筋線維が損傷を受けたり、疲労物質が滞留することが原因です。しかし、これを放置しておくと、筋肉の成長は滞ってしまいます。それどころか、筋量が減少する可能性すらあります。

筋肉痛が治っても、せっかくの筋トレが逆効果になるような悲劇は避けたいものです。損傷した筋線維を修復し、蓄積した疲労物質をすみやかに除去することで、よりよい筋肉を作りながら筋肉痛を治すことができます。これが正しい休息なのです。

休息=ゴロゴロする、ではない

具体的には、筋トレ後に「アクティブレスト」をします。じっとしている休息ではありません。これは積極的休息とも呼ばれ、体を適度に動かして、血流を促し、疲労物質を除去できる休息法のことです。

ただし、心拍数が上がりすぎる運動は控えましょう。ジョギングなどを行う場合は、スポーツウオッチを装着して、心拍数を120 〜130拍/分程度に抑えるのがおすすめ。心拍数が上がりすぎると、筋肉に疲労物質がたまり、疲労感が助長されてしまいます。

筋トレ後におすすめのアクティブレスト

・20分間くらいかけての入浴
・ウォーキング
・ストレッチ
・ゆっくりペースのジョギング、サイクリング

また、休みすぎは厳禁です。体調不良や筋肉痛がひどいといった時以外は、休息日は原則1日とします。せっかく鍛えた筋肉が元の状態に戻ってしまわないように、時間を空けすぎないようにしましょう。

筋トレ後の一杯はアリ?飲酒(アルコール)は基本NG

筋トレ後に飲む一杯が最高!という人もいますが、じつは過度な飲酒は筋肉の合成を妨げることがわかっています。

筋タンパクの合成を促す働きをもつ「タンパク質キナーゼ(mTOR)」という酵素は、アルコールを摂取すると活性が低下してしまうのです。その結果、筋タンパクの合成が滞り、筋トレ後に損傷した筋肉の修復がスムーズに行われなくなります。さらに回復力が低下するだけではなく、筋量の低下にも直結します。

またアルコールは、筋肉の成長に欠かせないテストステロンの分泌量を減らし、さらにコルチゾールというホルモンの分泌を増加させることも確認されています。コルチゾールは本来、抗ストレスホルモンとも呼ばれるとおり、ストレスから体を守るために分泌される物質。そのいっぽうで、筋肉を分解し、脂肪の合成を促進する働きをもつため、過剰に分泌されれば、筋トレの大きな妨げとなってしまいます。

こうした理由から、筋トレ後の飲酒は控えるのがおすすめです。もし飲酒をするとしても、できるだけアルコール度数の低い酒を選ぶようにしましょう。

筋トレをすれば、筋肉痛になるのは避けられません。しかし、それ自体は悪いことではなく、よりスムーズに回復することで、より効果的な筋トレにつなげることができます。健康な体づくりのためにも、正しい筋トレの回復を心がけましょう。

出典:『無敵の筋トレ 成功の法則』(監修:横山格郎/トレーニングマーケター)
ライター:YOLO編集部(友廣)