痩せたいけれどごはんを減らせない…そんな人こそ「キヌア」に注目!


「キヌア」といえば、スーパーフードの中でも一際オシャレなイメージ。自然派のカフェやデリで、サラダやマリネに使われているのをよく見かけます。もちろん「食べたことがある!」という人も多いでしょう。でも、キヌアのパワーを生かしきれている人は意外と少ないかもしれません。「ごはんの量を減らせなくて、なかなか痩せられない…」そんな人にこそ知ってもらいたい、キヌアの魅力と賢い食べ方を、たっぷりご紹介しましょう。

「キヌア」ってどんな食べ物?

キヌアは雑穀(正確には稲科ではないため擬穀類と呼ばれます)の一種。粟、ひえ、きび、などの親戚といえばイメージしやすいでしょう。原産地であるアンデス山脈では古くから貴重な食物とされ、南米アンデス地方の古代文明ではキヌアは主要食糧でした。「穀物の母」とも呼ばれ、人々の栄養源として重要な役目を担い、神聖な作物とされていたそうです。実を付けた穂は、品種により赤、黄、白、紫などに色づき、とても鮮やかで、一本の苗から大量の実を付けるのが特徴です。

また、キヌアはその栄養価の高さや環境適応能力、収穫効率のよさなどから、国連は2013年に「国際キヌア年」を設定。キヌアが世界の食糧確保、飢餓の解消に大きな役割を果たすことを期待したことから、キヌアの栽培を始めたり生産のための農業試験を行う国が増えています。キヌアは地球が誇る頼もしいスーパーフードなのです。

「キヌア」は糖質控えめ!ビタミンB群、ミネラルが豊富でアミノ酸バランスも優秀!

「キヌアは雑穀の仲間なら、もしかしたらカロリーも糖質も高いのかも…」そう思ってしまった人もいるでしょう。でもそれは誤解。カロリーや糖質量をチェックすると、カロリーも糖質も多く感じられるかもしれません。でも、キヌアを炊いて食べることを考えると、けして高カロリーでも高糖質でもないのです。そのからくりを解明し、さらにキヌアに含まれる栄養・成分をチェックしましょう。


キヌアは白、黒、赤の3色が主流。栄養の違いはないけれど、最もクセが無く食べやすいのは白色。

「キヌア」の気になるカロリー、糖質は?

キヌアと白米を比較

まずは、キヌアと白米のカロリーと糖質量をチェックしましょう。

炊く前(100g):カロリー/糖質量
キヌア:359kcal/62.8g
精白米:358kcal/77.1g

あら?カロリーも糖質も大差がない…。でも、どちらも生のままガリガリと食べることはありませんよね?
炊いた状態でのカロリーと糖質量を計算すると…

炊いた後(100g):カロリー/糖質量
キヌア:72kcal/12.6g
精白米:163kcal/35.1g

キヌアのほうが、断然カロリーも糖質量も少ない!

これは、炊いた後の膨張率によるもの。ごはんは普通に炊くと約2.2倍に膨らみますが、キヌアは5倍のサイズに膨らみます。つまり、白米の半分以下の量で同じかさになるから、炊いた状態ではキヌアのほうがカロリー、糖質ともにグンと減るわけです。

ちなみに、コンビニのおにぎり1個が約100gなので、比較すると、キヌアの糖質がとても少ないとイメージができますね。

「キヌア」に多く含まれる栄養素をチェック

キヌアは国連だけでなく、NASAも「宇宙食になる可能性を秘めている」ということで研究を進めるほど栄養価に優れています。他の穀類に比べると、ビタミンB群、ミネラルの含有量が多く、アミノ酸バランスが優秀!注目すべき栄養・成分を見てみましょう。

・カリウム
水分代謝を促し、冷えやむくみの改善に働くカリウムが豊富。同量の白米に比べると6.5倍のカリウムが含まれています。

・カルシウム
白米の約9倍のカルシウムを含有。同じ穀類で比較的カルシウムが多い粟と比べても、約4倍のカルシウムを含んでいます。

・マグネシウム
エネルギー産生や筋肉の合成、神経伝達に欠かせないマグネシウムも豊富。同量の白米に比べると2倍以上の含有量です。

・亜鉛
穀類にはあまり多く含まれない栄養素ですが、キヌアには比較的多く含まれています。亜鉛は細胞の新陳代謝を促すほか、免疫強化、女性ホルモンの分泌促進にも働く重要な栄養素です。

・ビタミンB群
ビタミンB1、B2、B6、葉酸など、エネルギー産生に欠かせないビタミンB群を満遍なく含んでいます。特にビタミンB1は、穀類の中ではダントツの含有量!

・食物繊維
穀類の中では比較的多く含まれています。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を両方ともバランスよく含んでいるのが特徴。

・アミノ酸
タンパク質の素となるアミノ酸の中でも、体を構成する必須アミノ酸はバランスが大事。穀類は、肉や魚介、卵、大豆食品に比べてアミノ酸のバランスが劣っていることが多いのですが、キヌアは必須アミノ酸をすべて含む優秀なタンパク源。牛乳に匹敵するほどのアミノ酸バランスだと言われています。

・フィトエストロゲン
「フィトエストロゲン」という女性ホルモンに似た作用を持つ機能性成分を含有。更年期障害予防、骨粗しょう症予防等に期待されています。

「キヌア」と「アマランサス」の違いは?

スーパーフード売り場ではキヌアとよく似ている商品があります。それがアマランサス。アマランサスはキヌアと同じ南米原産の雑穀(擬穀類)の一種で、日本でも江戸時代から東北地方を中心に栽培されており、「仙人穀」(せんにんこく)や、赤色が特徴の「赤粟」(あかあわ)などと呼ばれ、古くから貴重な栄養源とされていました。現在では岩手県、秋田県、長野県などで栽培されており、国産品として流通しています。近年では鮮やかな赤紫色の「アマランサススプラウト」も登場しているので、スーパーでぜひチェックしてみてください。


左がキヌア、右がアマランサス。

キヌアとアマランサスの見た目はそれほど異なりませんが、アマランサスのほうが粒が小さく、キヌアが直径約2mm、アマランサスは約1mm。一般的なザルにアマランサスを入れて洗おうとすると、網目を抜けて流れてしまうほど小さいのが特徴です。

「キヌア」と「アマランサス」の栄養をチェック

乾燥(100g):キヌア/アマランサス
カロリー:359kcal/358kcal
タンパク質:13.4g/12.7g
脂質:3.2g/6.0g
糖質:62.8g/57.5g
カリウム:580mg/600mg
カルシウム:46mg/160mg
マグネシウム:180mg/270mg
鉄:4.3mg/9.4mg
亜鉛:2.8mg/5.8mg
ビタミンB1:0.45mg/0.04mg
ビタミンB2:0.24mg/0.14mg
葉酸:190μg/130μg
パントテン酸:0.95mg/1.69mg
食物繊維:6.2g/7.4g

どちらも栄養価はとても優秀!細かく見ると、キヌアよりアマランサスのほうがミネラル類が多く、特にカルシウムは約3.5倍、鉄は約2倍、マグネシウムは約1.5 倍も含まれています。一方、キヌアは、ビタミンB1が約11倍!B2、葉酸もアマランサスを上回っています。

含まれるアミノ酸バランスを比較すると、どちらもバランスは非常によく、タンパク源としても優れています。注目すべきは、抹消血流を促したり、睡眠の質を高めるとされる「グリシン」というアミノ酸の含有量。乾燥100gで比較すると、グリシンの量はキヌアが680mg、アマランサスは1700mg。アマランサスのほうがズバ抜けて多いのがわかります。

「キヌア」の効果は?

1.代謝アップ・体脂肪減少

キヌアに多く含まれるビタミンB1、ビタミンB2は、糖質、脂質の代謝に不可欠。十分な量を摂ることでエネルギー産生がスムーズになり、体脂肪減少につながります。

2.血糖値の急上昇予防

キヌアは白米に比べて糖質が少なく、食物繊維が多いため、糖質の摂取量を減らすとともに腸内での糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を予防する働きが期待できます。ただし、食べ過ぎると糖質量は増えてしまうので、適量を摂ることが大切です。

3.遅延型アレルギー対策

キヌアにはグルテンが含まれていないので(グルテンフリー)、グルテンアレルギーの食事療法に活躍します。

※ちなみに、グルテンアレルギーとは、小麦に含まれるグルテンを原因とする遅延型アレルギーのこと。遅延型アレルギーによって体の中に炎症が起こると、疲れやすくなったり、集中力が続かなくなるなどの不調に襲われることがあります。かつてはアスリートが最高のパフォーマンスをするために用いられることが多かった食事療法ですが、近年ではアレルギーの検査も広く行われるようになり、一般の人にも用いられるようになっています。

4.運動機能の向上

アミノ酸バランスに優れたタンパク源として筋肉の合成に役立つほか、マグネシウムやカルシウムといったミネラルの働きによって、神経伝達がスムーズになります。筋肉への情報伝達も円滑になり、運動機能が向上。

5.生理時の不調改善

生理の前になるとイライラしたり落ち込んだりという症状が起こりやすくなります。キヌアに含まれるビタミンB群、マグネシウム、カルシウムは、神経伝達に欠かせない栄養素。また、女性ホルモンに似た働きをするフィトエストロゲンを含むため、乱れがちな女性ホルモンの働きを整える効果も期待できます。

「キヌア」の一日の摂取量は?

「キヌア」は分かりやすくいうと雑穀の仲間ですが、ごはんや小麦とは異なるので、食べる量は神経質になる必要はありません。炊くと約5倍に膨らむので、少量で満たされる量を食べられるでしょう。白米に比べて糖質、カロリーは少ないとはいえ、食べ過ぎると結局はカロリー過多、糖質オーバーになるのでNG。一食あたり20g(炊いた状態で約100g)を目安にしておくと安心です。

「キヌア」の調理方法とおいしい食べ方

プチプチとした食感がクセになるキヌア。そのまま使えるレトルトパウチの商品もありますが、乾燥タイプを買って自分で料理をしたほうが経済的!食べ物は継続してこそ効果を得られるので、ぜひ、自分で料理をしてみてください。難しいことは一切ありません。簡単な調理方法をご紹介しましょう。


炊いたり、ゆでたりしてから冷蔵保存しておけば便利。冷蔵で3日間、冷凍で1カ月保存可能。
自然解凍でも、電子レンジ解凍でもOK。

1.炊飯器で炊く

キヌアは、大豆と同じ苦み成分のサポニンが表面に含まれています。洗うと泡立つのはサポニンが付いている証。ボウルなどに入れて泡立たなくなるまでよく洗い、網目の細かいザルで漉せば、苦みのない味に仕上がります。キヌアは白米より膨張率が高いので、キヌア1合で白米2合以上の量の炊き上がりに。キヌアの香りが苦手…という人は、白米に混ぜて炊くのがおすすめ。米の香りでキヌアの匂いは気にならないでしょう。

・炊き方の基本
キヌア1合をよく洗って水気をきり、炊飯釜に入れる。
水250mlを加え、塩ひとつまみ、酒大さじ1を加えて普通に炊く。

・白米に加えて炊く
白米1.5合、キヌア0.5合をよく洗って水気をきり、炊飯釜に入れる。
2合の目盛りまで水を加え、普通に炊く。

2.ゆでる

ゆでることで表面のサポニンがお湯に溶け出し苦みを除くことができます。多めにゆでておけば、冷蔵室で約3〜4日間保存できます。サラダやスープなどにチョイ足しできて便利ですね。

・ゆで方の基本
多めの湯を沸かし、キヌアを入れて15分ほどゆでる。そのまま蓋をして10分ほど蒸らしたら、網目の細かいザルや晒しなどを使ってお湯を捨てる。

いつもの食事に「キヌア」をプラス 1.ごはんの代わりに

ちょっとハイレベルな食べ方ですが、糖質制限にはぴったり!キヌアは白米より糖質が少ない上に食物繊維が豊富。おまけにプチプチ食感のおかげで噛む回数が自然と増え、満腹感があります。食べ過ぎ予防にもおすすめです。白米とのブレンドごはんでも糖質制限には貢献できます。もちろん、ごはんの代わりに炒飯やおかゆ、リゾットなどに活用するのもいいアイデア!

2.サラダやマリネに

炊飯器で炊き上げたキヌアや、ゆでたキヌアは、サラダやマリネと相性抜群。キヌアは少しくぼみのある形をしているので味の絡みがよいのも特徴。調味料と和えて、粒々食感を楽しめるドレッシングにするのもいですね。

3.スープや煮込みにプラス

野菜と一緒に煮込んでも、仕上げにトッピングしてもOK。プチプチとした食感がいいアクセントになり、満足感もアップします。いつもの味噌汁やミネストローネにキヌアをプラス、というのもあり!

4.炒めものにプラス

キヌアは他の食材と同じように扱ってOK。たとえば、冷蔵庫にキャベツと卵しかない…という時にも、キヌアをプラスすれば栄養価をアップさせることができます。


キヌア入りガスパチョ。トマトジュースに刻んだキュウリ、玉ねぎ、セロリとキヌア、塩とオリーブオイルを混ぜるだけ。


蒸し鶏、パクチー、紫玉ねぎ、キヌアをレモン汁、塩、黒コショウで和えてサラダに。ナンプラーを少し加えればエスニックサラダに。

写真:藤村のぞみ(食材、料理写真)
ライター:藤岡操(栄養士)