コロナ禍の長期化に伴い、企業が従業員に支払う休業手当を助成する国の制度「雇用調整助成金」を利用する企業が、交通や観光などを中心に上場企業のうち約2割に上ることがわかった。政府は助成の上限額を引き上げるなどして企業の雇用維持を後押ししてきたが、感染収束は見えず利用は増えると見込まれ、今後は財源の確保も課題となりそうだ。

民間調査 703社3633億円

 東京商工リサーチの調査によると、今年3月末までの1年間に雇用調整助成金を決算などに計上したか、申請が判明した上場企業は703社で、全体の18・3%を占めた。計上額の合計は3633億円に達した。

 業種別の利用率は、飲食業が含まれる「小売業」が38・2%でトップ。航空や鉄道といった「運送業」が35・2%、宿泊を含む「サービス業」が26・5%と続いた。利用額の多い企業はANAホールディングス(337億円)、「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランド(182億円)などの順だった。

 政府は昨年、雇調金の1人当たり支給額や助成率を引き上げる特例措置を設けたが、今後は段階的に縮減する方針だ。5月から、緊急事態宣言を適用中の地域などを除き、雇用調整助成金の日額上限額を1500円引き下げて1万3500円に、助成率は最大100%から最大90%に縮減している。厚生労働省は、7月以降は「雇用情勢が大きく悪化しない限り、さらに縮減する予定」という。