千葉市と都心を結ぶJR京葉線の新駅「幕張豊砂駅」が18日、千葉市美浜区の幕張新都心エリアに開業した。千葉県内のJR新駅は1998年の東松戸駅以来25年ぶりで、鉄道ファンらが真新しいホームで一番列車の到着を見守った。

 幕張豊砂駅は、蘇我―東京駅間を走る京葉線の18番目の駅として誕生した。目の前には大型商業施設「イオンモール幕張新都心」があり、屋根に覆われた駅と施設を結ぶ通路が今後、整備される。事業費は約115億円で、イオンモールが2分の1、県と千葉市、JR東日本が残りを負担する。

 この日は未明から入り口前に長い列ができるなど、多くの人でにぎわった。午前4時20分にシャッターが開くと、乗客らが一斉に改札内に入り、駅構内の様子を写真に収めた。

 午前5時6分には下り始発列車の出発式が行われた。入線した列車は客の乗降を確認した後、海浜幕張駅の前原奈緒子駅長の「出発進行」という合図で発車した。入り口横では記念式典も開かれた。テープカットに参加した熊谷俊人知事は、「新駅の開業により、幕張新都心を訪れる人が増えることを期待している」と語った。

 前日の午後6時半頃から列に並んだという千葉市花見川区のデザイナーの男性(45)は「以前から開業を楽しみにしていた。駅から商業施設へ行きやすく、交通手段の選択肢が広がる」と笑顔で話した。

 商業施設や高層ビルの建設が進む幕張新都心エリアは、交通の利便性向上が課題だった。エリアの西側地区に海浜幕張駅に次ぐ「第2の駅」ができたことで、いっそうの集客やにぎわいが期待できる。

 環境に配慮した駅舎の造りも注目される。屋根はガラス繊維に樹脂がコーティングされた膜屋根だ。太陽光を取り込みやすいため、昼間の電力消費を抑えることができる。壁やベンチに使われている県産木材は、東京五輪の選手村で使用されたものを再利用している。上下線でホームの高さが異なるのも特徴で、下り線が1階、上り線が2階という構造になっている。