東日本大震災で、岩手県釜石市の 鵜住居 うのすまい 地区防災センターに避難して津波の犠牲になったのは、市が正しい避難場所の周知を怠ったためなどとして、犠牲者2人の遺族が市に計約1億8400万円の損害賠償を求めた訴訟で、盛岡地裁の小川理津子裁判長(中村恭裁判長代読)は21日、遺族側の請求を棄却する判決を言い渡した。

 震災発生時、市の推計では同センターには196人が避難し、このうち死者・行方不明者は162人で、死亡した女性2人(当時71歳と31歳)の遺族計6人が提訴していた。

 遺族側は、市が津波発生時の「1次避難場所」ではないセンターで避難訓練を行い、正しい避難先を十分に周知しなかったため、住民らが勘違いしてセンターに逃げ込み、犠牲になったなどと主張していた。

 判決では、「避難訓練でセンターを利用したことは望ましいとは言い難い」としたが、「市は全戸配布の冊子などで正しい避難場所を周知しており、住民に誤解を与えたとはいえない」と判断。また、遺族側の「市職員がセンターに避難誘導した」という主張に対しては、「住民自らの判断で避難した」と認定した。

 判決を受けて記者会見した釜石市の野田武則市長は、「主張が認められたと考えている」としつつも、「多くの人が亡くなっており、行政としてもっとやるべきことはあった」と対応の不備を改めて認めた。

 原告のうち当時31歳の女性の遺族は「162人の命の重みを考えない不当な判決だ」とのコメントを出し、控訴する方針を示した。