探査機はやぶさ2を目標の人工クレーター付近へと導く役目は、小惑星リュウグウに5月に投下された直径約10センチの球状の着地用目印「ターゲットマーカー」が担った。開発に携わったNEC航空宇宙システム(東京都府中市)の小笠原雅弘さん(64)は11日、宇宙航空研究開発機構( JAXA ジャクサ )の施設(相模原市)で着地成功を見届け、「大役を無事に果たしてくれた」と喜びを語った。

 初代はやぶさが目指した小惑星イトカワの着地に向け、開発が始まったのは1997年。目印を狙い通りに置けるよう、落としても跳ねない性能が求められた。「チームの誰も開発経験がない性能で、途方に暮れた」と小笠原さん。低反発のウレタン素材などを検討したが、宇宙環境に耐えられる素材は乏しかった。

 そんな時、娘のおもちゃ箱に入ったお手玉を偶然見つけた。放り上げたお手玉は、跳ねずに手のひらにすっと収まった。「これだ」。落下時の衝撃をうまく吸収するお手玉の仕組みをヒントにすることで一気に開発が進んだ。目印の中には、特殊なプラスチックのビーズを詰めた。

 開発から約3年、世界で唯一の着地用目印が完成。2005年に初代はやぶさの着地を支え、11日には、はやぶさ2の再着地を成功に導いた。