ふるさと納税を巡る大阪府泉佐野市と総務省の対立は30日、制度からの除外以来1年1か月を経て泉佐野市の逆転勝訴という形で決着した。判決は、国の手続きの不備を認定する一方、なりふり構わぬ方法で多額の寄付を集めた市の行為も批判。千代松 大耕 ひろやす 市長は記者会見し、同省に早期の制度復帰を求める方針を明らかにしたが、他の自治体からは戸惑いの声も上がった。

 「ほっとしている。早期に復帰し、ふるさと納税制度の発展に貢献していきたい」。30日夕、泉佐野市役所で記者会見した千代松氏は意気込みを語った。

 市は、肉やビールなど豪華な返礼品で多額の寄付を集め、自粛を求める同省の再三の通知も無視。同省との対立は深刻化し、当時の総務相が「身勝手」と市を名指しで批判する事態に発展した。

 同省が市を除外したのは、こうした行為を問題視したためだったが、30日の最高裁判決は、法規制前の行為を判断材料に除外したことを違法と認定。法規制前に同省が自粛を求めていた通知は「助言」で、従わなかったことを理由に不利益処分をすることは、地方自治法に抵触する可能性があるとも言及した。

 市が敗訴した1月の大阪高裁判決から一転し、市の主張を全面的に認める内容で、千代松氏は「地方分権と言いながら、多くの自治体が国の一方的な通知で悔しい思いをしてきた。地方自治の新しい一歩につながる」と評価した。

 判決では、市の行為を「社会通念上の節度を欠いていた」と批判。「眉をひそめざるを得ない」とする林景一裁判官の補足意見もつけられた。

 千代松氏は「(批判は) 真摯 しんし に受け止めたい」とする一方、「法律の枠の中で競争してきた」と反論。新制度で返礼品は「寄付額の3割以下の地場産品」に限定されるが、「復帰できれば、法令を守り、培ったノウハウを生かして存在感をアピールしたい」と語った。

 市によると、制度開始以降の11年余りで集めた寄付金は総額870億円。ピーク時には返礼品の経費に寄付金の約7割を使ったが、積み立てた基金は今も約50億円残っているという。

 一方、除外で以前のように寄付金を集められなくなり、総務省から特別交付税も大幅に減額された。ふるさと納税の現在の指定期間は9月末までで、市は残りの期間の参加を求め、10月以降の参加も申請を行う。

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 判決について、泉佐野市とともに除外された静岡県小山町と佐賀県みやき町は「コメントする立場ではない」と述べるにとどめたが、和歌山県高野町の平野嘉也町長は「歓迎する」と話した。

 平野町長は、総務相が制度への参加自治体を指定する仕組みについて「全国の自治体に不安を広げた」と批判。泉佐野市とともに制度復帰を同省に求めていく考えを示し、「総務省は広い視野で制度を発展させてほしい」と述べた。

 一方、戸惑いも広がる。

 総務省の通知に従ってきたある自治体の担当者は「通知を無視しても制度に参加できるという判決は、従っていた自治体からすれば、不公平と思うところもある」と疑問を呈した。ふるさと納税で多額の税収が流出している都市部の自治体は「あれだけめちゃくちゃなやり方をしたのに、復帰するかもしれないことに驚いている。今度は基準を守ってほしい」と話した。

 新制度で寄付が激減した中部地方の自治体の担当者は「自治体は国の方針に振り回されてきた。しっかりしてほしい」と注文した。

「市は反省するべき」

  のぼる 秀樹・名城大教授(地方自治)の話「泉佐野市の勝訴だが、判決は市の行為の批判もしている。市は手放しで喜ぶのではなく、制度を混乱させたことを反省すべきだ。地方自治の観点から総務省と地方が裁判で争うのは望ましくなく、話し合いでの解決が必要だった。一連の争いは感情的なケンカのような側面もあった。今後は協調し、よりよい制度作りに向けて注力していくことが求められる」