【ベルリン=中西賢司】FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本は優勝候補ドイツを相手に劇的な勝利を飾った。日本が長年、「サッカーの手本」と仰いできた師匠格の強豪国では、番狂わせの逆転負けに衝撃と落胆が広がった。

 首都ベルリンのサッカーバー「タンテ・ケーテ」では23日、詰めかけた大勢のドイツサポーターが熱戦を見守った。75分からの連続失点で痛恨の黒星を喫し、ぼうぜん自失の表情で頭を抱えるサポーターたち。その一人、ニコラス・クラーさん(27)は「サッカーの伝統で勝るドイツが負けるなんて信じられない。失点後の守備陣が悪すぎた」と悔しがった。

 ドイツは日本サッカーが長く目標としてきた国だ。黎明れいめい期の1960年、日本代表コーチとして西ドイツから招かれ、基礎技術や戦術を指導したデットマール・クラマー氏は「日本サッカーの父」と呼ばれる。今大会の日本代表をみても、海外組19人のうち最多の8人がドイツのチームに所属する。

 公共放送ARDは、独リーグでプレーする堂安律、浅野拓磨の両選手が試合後半に投入され、見事に連続ゴールを奪った試合運びを「4度のW杯王者を、ブンデスリーガのパワーと戦術的なトリックで出し抜いた」と伝え、日本をたたえた。

 一方、独紙ウェルト(電子版)は、ドイツを「かつてのサッカー大国」と称し、「全ての自信を喪失した」「(今大会で)歴史的な恥をさらす恐れがある」と落胆ぶりを報じ、大衆紙ビルトもウェブサイトで「このミスが大敗北を招いた」と題して失点シーンなどのダイジェスト映像を掲載した。