【ジャカルタ=一言剛之】第2次大戦で東南アジアの近海に沈没した日本や英国、豪州などの船舶を何者かが無断で解体し、船体の大部分を運び去る事例が相次いでいる。鉄スクラップの販売を目当てにした中国の業者の関与を疑う見方もあり、各国は「戦死者への敬意を欠く行為だ」と批判している。

 マレーシア東部、ボルネオ島のリゾート都市コタキナバルから北に約60キロ離れたウスカン湾に昨年1月、中国船籍のクレーン船が突然、姿を現した。国立マレーシア・サバ大学(UMS)などによると、海底には1944年に米潜水艦の攻撃を受けた日本の貨物船3隻が沈んでおり、船体の周辺では色鮮やかなサンゴや熱帯魚が見られ、人気のダイビング地点となっていた。

 ところが、クレーン船は貨物船の解体を開始。環境破壊を懸念する地元ダイバーや漁師の抗議に対し、船員は「UMSの依頼を受けた調査だ」と突っぱね、船体のほぼ全てを持ち去った。