【ソウル聯合ニュース】韓国ドラマやK―POPなどの「韓流」は中国人の日常に深く入り込み、経済、文化面で韓国と中国をつなぐ一つの軸を担っている。1992年に韓中が国交正常化して以降、まずはドラマが中国で人気を集め、K―POPも厚いファン層を形成して活気を帯びたが、昨年半ばに韓国が米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備を決定したことに反発した中国が韓流の締め出しに動き、韓流コンテンツ業界は大きな打撃を受けている。業界では、今の危機をチャンスと捉え、韓流のパワーと柔軟性を養うべきだとの指摘もある。

◇ドラマが韓流の火付け役に

 中国国内での韓流の火付け役はドラマだった。1993年、チェ・ジンシル、チェ・スジョン主演のドラマ「ジェラシー」が中国に販売されて以降、この25年間に中国の衛星チャンネルで放送された韓国ドラマは100作品を超える。2000年代前半のドラマ「秋の童話」や「宮廷女官チャングムの誓い」は中国で特に大きな人気を集めた。

 中国の国家新聞出版広電総局が韓国をはじめとする海外ドラマの放映を制限したため、06年から12年にかけては韓流が停滞したものの、中国国内で動画配信サイトが注目を集めるようになり、韓国ドラマは再び勢いを取り戻した。

 ドラマ「相続者たち」(13年)は中国動画サイト大手の愛奇芸で独占配信され、主演のイ・ミンホらが中国で知名度を高めた。キム・スヒョンとチョン・ジヒョン主演の「星から来たあなた」(13年)の人気が大陸を覆い、さらに16年にはソン・ジュンギ、ソン・ヘギョ主演の「太陽の末裔 Love Under The Sun」が中国に上陸し、韓国ドラマブームがピークに達した。在中韓国文化院の院長は「韓中国交正常化以降、文化面で広範囲に関係が深まり、韓国ドラマを見たことのない中国人はいないほどになった」と話している。

◇THAAD巡るあつれきでしぼんだ韓流

 盛り上がっていた中国国内の韓流ブームは、昨年7月に韓国がTHAADの配備を決定したことがきっかけで急速にしぼんだ。同11月には、国家新聞出版広電総局が中国国営中央テレビと衛星放送での韓国関連の番組放送を全面禁止し、動画サイトの配信も制限したとする文書が出回り、韓流コンテンツを締め出す「限韓令」が事実であることを示した。

 中国の地下鉄駅や街頭でよく見かけた、ソン・ジュンギやチョン・ジヒョンが出演したスマートフォン(スマホ)や化粧品の広告は姿を消し、中国人モデルに差し替えられた。韓国ドラマや韓国人が出演したバラエティー番組も放送されなくなった。

 「太陽の末裔」のように、中国と合作し、同時放送する予定だったドラマは計画が白紙化した。中国に進出した韓国の制作会社やプロデューサーも仕事を失った。

 昨年9月以降、中国で韓国のアイドルの公演が許可されたケースはほとんどない。BIGBANG(ビッグバン)やEXO(エクソ)ら韓流スターの中国でのコンサートやファンイベントは大半が中止となった。

◇韓流コンテンツの海賊版や模倣番組が横行

 さらに深刻なのは、限韓令の隙をついて韓流コンテンツの著作権侵害が広がっていることだ。「青い海の伝説」「マンツーマン」「鬼(トッケビ)」(いずれも原題)などは中国に販売されていないにもかかわらず、大きな人気を集めた。中国人が海賊版を違法視聴したためだ。中国のテレビ局が韓国のバラエティー番組を無断で模倣するケースも相次いでおり、韓国人の怒りを買っている。

 こうした海賊版と模倣番組の横行は、韓流コンテンツ業界に大きな損害を与えている。巨大市場の中国に進出するチャンスを奪われ、著作権と財産権を露骨に侵害されているにもかかわらず、解決する手立てはない。

◇「量より質の対中ビジネスを」

 だが、韓流パワーが限韓令によって完全に封じ込められているわけではない。BIGBANGのG―DRAGON(ジードラゴン)のソロアルバム「クォン・ジヨン」は今年6月、中国音楽配信サービス大手のQQミュージックでデジタル版が10人民元(約160円)で販売され、公開初日に約76万2000枚のセールスを記録した。

 中国最大手の音楽サイト、音悦TaiではEXOやEXID(イーエックスアイディー)など韓国のアーティストがチャート上位に名を連ねており、今年1月には韓国グループのAOA(エーオーエー)が2曲を同時にチャート入りさせた。

 こうした中、今こそ韓流のパラダイムを転換すべきとの指摘もある。韓国コンテンツ振興院の北京事務所長は「これまでは韓国の映画やドラマをどれだけ中国に販売したかという規模重視のビジネスモデルだったが、これからは格式のある高級ビジネスを目指すべきだ」と述べ、量より質に重点を置いた事業展開が必要だと助言した。