【世宗聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は2日、発足後初となる税法改正案を発表した。今後5年間の税制の大きな方向性と、前政権で推進されていた増税ないし減税政策にどのような修正が加えられるかに関心が集まっていた。

 結果的に、宗教家への課税は当初の予定通り来年から施行し、粒子状物質(PM)対策の一環として検討していた軽油税の引き上げは中長期の検討課題として見送った。

 朴槿恵(パク・クネ)前政権で実施されたたばこ税の引き上げに関しては、先ごろ保守系最大野党の「自由韓国党」が引き下げを主張したが、反映されなかった。

◇宗教家への課税 予定通り来年から

 この日発表された税法改正案に、宗教家の課税に関連した内容は盛り込まれなかった。企画財政部の関係者は「発表内容にないということは、予定通り来年から宗教家への課税を施行するという意味だ」と説明した。

 所得税が免除されている宗教家への課税は、2012年2月から導入に向けた議論が始まり、15年12月に法制化されたが、宗教界の反発を懸念して施行が2年先送りされた。

 だが施行まで約半年を残した時点で、文政権で事実上の政権引き継ぎ委員会の役割を果たしてきた「国政企画諮問委員会」の金振杓(キム・ジンピョ)委員長が課税をさらに2年先送りすることを提案し、導入がさらに遅れるのではないかとの観測が出ていた。

 これに対し、金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相兼企画財政部長官は「税政当局は来年の施行を準備している」として導入の先送りを否定した。

 韓昇熙(ハン・スンヒ)国税庁長も人事聴聞会で「宗教家への課税はこれまでの意見の取りまとめと国会での議論を経て、2015年の国会で所得税法の改正によって決定した事項と認識している」として、これ以上の猶予は検討していないとの立場を示した。

◇軽油税の引き上げは見送り

 政府が大気汚染対策の一環として推進していた輸送用エネルギー相対価格の合理的調整、いわゆる「エネルギー税制改正」も今回の税法改正案には反映されなかった。

 朴前政権時代の昨年6月、韓国政府は粒子状物質管理の特別対策の一貫として租税財政研究院や環境政策評価研究院など四つの国策機関にエネルギー税制改編に関する研究を命じた。

 研究の結果、10種類のシナリオが全て軽油税の引き上げを前提としたものであることが伝えられると、政府が軽油税の引き上げを進めるのではないかとの見方が強まった。

 一方、企画財政部は軽油税を引き上げても粒子状物質の低減効果は期待に及ばないと説明し、これを否定した。

 ところが国政企画諮問委員会が「租税・財政改革特別委員会」を立ち上げて軽油税引き上げの是非を決定すると明らかにし、混乱を呼んでいた。

 その上、金委員長がメディアに「一度に一気に行うよりかは、数段階に分けて軽油全体の消費を減らしていく方向に進まなければならないと考える」と述べ、混乱が深まった。

 軽油税の引き上げ是非は下半期の租税・税制改革特別委員会で議論することになっており、今後意見の取りまとめなどを経て来年の税法改正案に反映するか決定されるとみられる。

◇たばこ税引き下げ言及なし

 朴前政権で与党だった自由韓国党が今回の税法改正案発表を前に主張したたばこ税の引き下げも、今回の税法改正案では言及されなかった。

 朴前政権は禁煙による国民の健康増進を名目に、15年1月からたばこに賦課する税金を2000ウォン(197円)引き上げた。

 しかし、政府が増税を目的にたばこ税を引き上げたとの批判も上がった。実際にたばこ料金の引き上げなどの影響で、昨年のたばこ消費税の徴収額は3兆7000億ウォンと前年に比べ23.4%急増した。

 自由韓国党の一部では文政権が打ち出した「富裕層増税」に対抗して「庶民減税」を掲げ、たばこ税の引き下げを推進すると表明したが、与党「共に民主党」はもちろん、野党3党からも批判を浴びた。

 また、「国民皆税主義」として必要性が提起された勤労所得税免税者の縮小策も今回の税法改正案からは除外された。

 税法改正に先立って租税財政研究院が主催した所得税控除制度の改善に関する公聴会では、労働者の46.5%(15年基準)と半数近くを占める勤労所得税免税者を減らすためのさまざまな方策が提示された。

 だが、文大統領は「増税しても、対象は超高所得層と超大企業に限定する」とし、「中間層や庶民、中小企業への増税は全くない」として免税者の縮小策を議論の対象から除いた。

 租税財政研究院の分析によると、制度改編がなくとも毎年労働者の賃金が約3%上昇すれば、免税者の割合は毎年1ポイント以上、5年後には7〜8ポイント減少し、30%台半ばに縮小すると推計した。

 これに対し、政府は今年の税法改正案では勤労所得税免税者の問題に触れず、推移を見守った後で今後の方策を検討する見通しだ。