【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、新型コロナウイルスの世界的な流行(パンデミック)の中で発足から3年を迎えた。

 

 

 予想のつかない感染症の拡大により、年初から未曽有の危機が続いた。新型コロナウイルスへの恐怖と人的・物的交流の縮小や中断は、世界に防疫危機と経済危機をもたらした。

 文大統領はこのような状況を「国難」と規定した。1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマン・ショックよりさらに困難な状況に直面したと判断したのだ。

 そのため、発足3年を迎えた文大統領の国政の中心には「国難の克服」があった。これは、4月20日に青瓦台(大統領府)で開いた首席秘書官・補佐官会議で「一にも二にも国難克服」と言及したことからもうかがえる。

 文大統領が最初に取った措置は、いわゆる「K防疫」だ。前例のない事態に各国がそれぞれの対策を取る中、文大統領は「先制的で透明性を大切にする防疫」を原則として提示した。

 新型コロナウイルスの感染拡大初期には中国人の入国制限問題、マスクの品薄などで混乱が発生したが、診断キット、ドライブスルー式ウイルス検査、自己診断アプリなどに代表される防疫モデルを提示し、新型コロナウイルスの感染拡大に乗り出した。

 ここに、医療関係者をはじめとする国民の積極的な協力が加わった。

 2月18日に初めて国内で新型コロナウイルスの感染者が確認されてから72日後の先月30日、国内の新規感染者はゼロを記録した。

 海外メディアはもちろん、各国の首脳からの「K防疫」に対する評価も相次いだ。

 トランプ米大統領は3月24日、文大統領に診断キットの支援を要請したのに続き、4月18日の電話会談でも「韓国の対応は最上の模範になった」と評価した。

 文大統領が各国首脳と31回にわたり新型コロナウイルス関連の電話会談を行ったことも、「K防疫の共有」の側面が大きい。

 

 このようなK防疫の成果は、4月15日に投開票が行われた総選挙で「スーパー与党」の誕生にもつながった。文大統領の支持率は上昇し、「国難克服」という民意は与党に国会総議席の5分の3である180議席を与えた。

 文大統領自身も、総選挙直後のトランプ氏との電話会談で「新型コロナウイルスの感染者数が大幅に減少するなど、状況が好転したことが総選挙の勝利に貢献した」との分析を示した。

 だが、文大統領や青瓦台は総選挙の圧勝にも低姿勢を保っている。防疫の峠を越えたが、新型コロナウイルスがもたらす経済萎縮、雇用の冷え込みなどを意識したものだ。 

 総選挙の勝利による与党内のパワーバランスの変化、ムードの転換などを理由に内閣改造の可能性がささやかれているが、青瓦台は「内閣改造はまだない」との立場を示している。新型コロナウイルスへの対応に全力を傾けるとの理由からだ。

 

 文大統領は総選挙の結果に対する談話で「偉大な国民の選択に対し、喜びを前に重大な責任を全身で感じる」と明らかにした。例のない「経済戦時状況」を念頭に置いたものだ。

 文大統領は、3月19日から事実上、毎週非常経済会議を開催した。第1回会議では社会的弱者のための50兆ウォン(約4兆3000億円)規模の非常金融措置を、第2回会議(3月29日)では企業の倒産を防ぐため100兆ウォン規模の緊急資金の投入を決定した。

 また、第3回会議(3月30日)では国民への緊急災難(災害)支援金支給、第4回会議(4月8日)では輸出企業のための36兆ウォン規模の貿易金融供給、第5回会議(4月22日)では「韓国版ニューディール」の推進を決定した。

 文大統領はK防疫とともに、「前例のない経済対策」を準備するよう指示。「K経済」モデルの提示に注力している。

 困難な分野や階層を支援するだけでなく、非対面産業、デジタル雇用など第4次産業革命と融合したモデルを構築し、国難克服以降の成長エンジンを創出するとの構想だ。

 これに関連し、文大統領は「ポストコロナ」構想に踏み込むと予想される。先月15日の閣議で「ポストコロナ時代を最初に準備して迎える大韓民国を作るため、国民が一丸となってほしい」と訴えた。

 文大統領の「ポストコロナ」構想は、膠着(こうちゃく)状態が長期化している南北関係にもつながる見通しだ。昨年2月にベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談の決裂で朝鮮半島平和プロセスが停滞する中、政府は突破口を模索してきた。

 文大統領は先月27日、2018年の南北首脳会談で採択した板門店宣言から2年を迎えて「最も現実的で実践的な南北協力の道を探す」とし、「新型コロナウイルスの危機が南北協力の新たな機会になり得る」と述べた。

 新型コロナウイルス克服のための南北協力は「差し迫った切実な課題」であり、これを家畜伝染病、南北境界地域の災害、気候変動に南北が共同対応する「生命(運命)共同体」として発展させるというのが文大統領の考えだ。

 これにとどまらず、南北鉄道連結、非武装地帯(DMZ)の国際平和地帯化、朝鮮戦争戦死者の遺骨発掘事業、南北離散家族の再会など、国際社会の対北朝鮮制裁に抵触しない南北協力事業の進捗、南北関係発展が米朝非核化対話の推進力へとつながる好循環構造を作るとの覚悟だ。

 ただ、米朝首脳会談の決裂以降、回復していない米朝間の信頼やトランプ氏の再選可否を決める米大統領選などさまざまな不確定要素が潜んでおり、「朝鮮半島平和ムード」がいつ再び到来するかは見通しが立たない。

 文大統領の任期は残り2年となった。22年3月9日の大統領選を前に、来年後半から本格的な選挙戦が始まると予想されることから、文在寅政権が主な国政課題に注力できる期間はあと1年余りとみられる。

 政権を安定的に支える「スーパー与党」の誕生とあわせ、残りの任期中に改革に拍車をかけるか、既存の課題に注力するかという文大統領の選択にも注目が集まる。

 ただ、新たな改革課題を推進すれば、新型コロナウイルス克服のための国力結集が弱まる懸念がある。昨年の検察改革の推進過程で、側近のチョ国(チョ・グク)前法務部長官を巡る疑惑によって世論が割れた経験があるためだ。

 このため文大統領としては政治家・政府高官らの不正を捜査する独立機関「高位公職者犯罪捜査処」の設置をはじめ、権力機関の改革など既存の改革課題に重点を置くことで、当分の間は超党派での協力を含めた「国難克服」の強化に集中するとみられる。