【ソウル聯合ニュース】今年で朝鮮戦争勃発70年と休戦67年を迎えるが、朝鮮半島では依然「銃声のない戦争」が続いている。

 韓国と北朝鮮は「対決の時代」を終え、南北共同声明(1972年)、南北基本合意書(1991年)、南北共同宣言(2000年)、南北首脳宣言(2007年)、板門店宣言(2018年)、平壌共同宣言(同)と幾度となく反戦の機会を設けたが、これらの永続性が保障されず平和への道のりは依然遠くみえる。

 朝鮮戦争当事国の韓国と北朝鮮、米国、中国の指導者が終戦と戦争のない朝鮮半島を宣言する「終戦宣言」という壮大な目標への第一歩は踏み出すこともできずにいる。

 特に南北の軍当局間で合意した文書のうち実効性がある「安全装置」と評価されている板門店宣言履行のための軍事分野合意書(2018年)を通じ武力衝突の火種を取り除こうとした努力も、今月17日に北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部が同合意書の事実上の破棄を予告したため、水の泡となってしまう危機を迎えている。

 北朝鮮軍は開城工業地区と金剛山観光地区に軍部隊を、軍事分野合意書に基づき撤去した非武装地帯(DMZ)の監視所に兵力をそれぞれ再配備し、境界地域で軍事訓練を再開すると予告。和解・協力の象徴である開城の南北共同連絡事務所の爆破に続き、同合意書の無力化に向けた措置を示唆した。

 同合意書の破棄で地上と空中の緩衝区域がなくなり、これに伴い互いに敵対心が強まれば結局、南北は南北共同宣言以前の極限の対立時代に回帰することになるとの懸念が高まっている。

 極限の対立の時代に回帰した場合、世界で唯一の分断の「火薬庫」と目される朝鮮半島で偶発的な武力衝突とこれによる局地戦、ひいては全面戦争が起きる可能性はさらに高まる。現在、南北の戦力配備の状況をみても、そうした状況は十分予測可能だ。そのため軍事分野合意書のような安全装置が必要だという指摘が出ている。

 韓国国防部の国防白書によると、北朝鮮は地上軍と海軍はそれぞれ戦力の70%と60%を平壌〜江原道・元山以南に配備している。空軍の戦闘任務機(約810機)の40%は出撃後3〜5分で南北軍事境界線(MDL)を越えることができる場所にある。有事の際に多様な戦闘手段を利用し、奇襲的に南下できる特殊戦兵力20万人も主に前線軍団の軽歩兵師団に分散されている。

 北朝鮮軍の常備兵力は陸軍約110万人、海軍約6万人、空軍約11万人、戦略軍約1万人など計128万人余りに達する。韓国軍の常備兵力(57万9000人)の2倍に近い。韓国軍は2022年以降は50万人を維持する計画であるため、兵力の差はさらに広がる見通しだ。

 韓国軍もDMZ以南と黄海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)付近の地域に戦車や自走砲K9など各種戦力を緻密に配備している。有事の際はDMZに迅速に出撃できる場所に戦闘飛行団も配備した。

 DMZ内の南北の監視所にも高射銃や機関銃などの重火器が配備され、南北が互いに照準している。NLL一帯の南北の島々や海岸にも海岸砲や短距離ミサイルなどが集中的に配備されている。

 DMZ一帯は南北が60年近くにわたり体制の宣伝競争を繰り広げた放送施設が撤去され外観上は静まり返っているが、互いに銃を向けており、いつでも銃声が響く危険性を抱えている。

 休戦後、南北は通常兵器の確保競争に熱を上げた。南北の経済力の格差が開き始めてからは北朝鮮が核や中長距離ミサイルの開発に目を向け、その能力は高度化した。

 軍当局と情報当局は、北朝鮮が核兵器の製造が可能なプルトニウム50キロ余りを保有していると推測している。一つの核兵器を製造するためには最低4〜6キロのプルトニウムが必要で、10個前後を製造できる量だ。これに加え、年間最大40キロの高濃縮ウランを生産できる施設もある。

 これまで北朝鮮は準中距離弾道ミサイル(MRBM)、中距離弾道ミサイル(IRBM)、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発し、多弾頭の新型ICBMも近く公開すると予想される。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)3基を搭載できる新型潜水艦の進水も間近に迫っている。

 任浩永(イム・ホヨン)元韓米連合軍司令部副司令官は、北朝鮮軍が朝鮮戦争を機に連合戦力と戦うという教訓を得たとした上で「通常戦力では連合戦力に太刀打ちできないという教訓に基づき、核とミサイルの開発に集中した」との見解を示した。

 韓国も最新鋭ステルス戦闘機F35A、長距離空対地ミサイル「タウルス」を導入し、イージス駆逐艦、玄武(ヒョンム)2系の弾道ミサイルや長距離巡航ミサイル「玄武3」を開発した。

 垂直発射管6門と10門をそれぞれ搭載する3450トン級の潜水艦も建造される。北朝鮮のミサイルを探知し破壊するための韓国型ミサイル防衛(KAMD)も構築される。

 一方が「矛」を作れば、もう一方が「盾」を作るという悪循環が繰り返されている。軍事専門家たちは今後、サイバー分野での軍備競争がさらに激しくなると指摘する。

 任氏は軍備競争の悪循環を断ち、軍事面での信頼を構築するためには南北の兵力と軍事力の縮減が必要だとした上で「今のような、どちらか一方が絶対的優位を占めることができない状況では厳しい」との見方を示した。