【ソウル聯合ニュース】韓国政府は来月初めから、新型コロナウイルスの防疫体制を「段階的な日常回復(ウィズコロナ)」に転換する。商業施設の営業制限や行事・私的な集まりの人数制限など感染者抑制のための防疫措置を段階的に緩和し、重症患者の管理に重点を置いて経済・社会活動との両立を図る。

◇感染者抑制も社会・経済に打撃

 韓国は昨年1月20日に国内で新型コロナの感染者が最初に確認されて以降、感染拡大の封じ込め戦略やマスク着用など国民の協力が奏功し、感染者と死亡者を抑えることに成功を収めたと評価される。

 韓国の人口100万人当たりの累計感染者数は今月11日時点で6466人、致死率は0.8%と、米国(13万2302人、1.6%)、英国(11万9623人、1.7%)、ドイツ(5万1827人、2.2%)、日本(1万3523人、1.1%)などの先進国と比べ低水準だ。

 だが、厳しい感染防止対策が取られたことで自営業者や小規模事業者は苦境にあえぎ、一般国民の間にも疲労感が漂い、対策の効果は時間がたつにつれて薄れた。医療の面でも、新型コロナ対応に資源を集中したことで医療全体の負荷が増し、医療・防疫関係者がバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥るなどさまざまな問題が生じた。

 国内では他国に比べて低調なワクチン接種率、流行「第4波」の継続、デルタ型の変異ウイルスのまん延などによりウィズコロナへの転換議論がなかなか進まなかったが、最近になって接種率が急上昇したことで、海外事例を基にした日常回復の論議が急進展。今月13日、具体的な方策を話し合う官民合同の「新型コロナ日常回復支援委員会」が発足した。

◇早ければ来月1日からウィズコロナ 段階的に規制緩和

 すでに米国や英国、イスラエル、フランスなどの主要国がウィズコロナ政策を取っているなか、韓国政府は早ければ来月1日からウィズコロナへの移行を始める。今週末には国民の70%が新型コロナワクチン接種を完了する見通しで、防疫体制転換の前提条件は満たされる。

 政府は接種率を基に日常の回復を段階的に進めていくことを検討している。接種率が70%、80%、85%と上昇するのに合わせて商業施設の営業や大規模行事の開催、私的な集まりに関する規制を徐々に緩和していくという方法だ。

 政府は、公演やスポーツ試合の会場など不特定多数が利用する施設への出入りに用いる「ワクチンパス」を接種完了者に発行する予定にしている。屋内でのマスク着用ルールはこの先もしばらく継続するとみられる。

◇新たな変異ウイルス出現への備えも必要に

 政府はこの先、1日当たりの新規感染者が4000〜5000人に上る可能性もあると見込むが、その状況でもウィズコロナ路線を維持する方針だ。ワクチン接種が進んで重症化率が大きく下がったことから、政府は感染者の在宅治療(自宅療養)を基本とし、容体が悪化した場合は病院で治療を受ける重症者中心の管理策を打ち出した。

 感染者が急増する中で自宅療養がきちんと機能しなければ、ウィズコロナ政策の継続は困難になる。病院での治療を適期に受けられるようシステムを構築し、感染者が無断で自宅を離れて感染源とならないようにすることが今後の課題だ。飲み薬の供給が本格化すれば入院なしでの治療が可能になり、自宅療養はさらに増えると見込まれる。

 日常の回復を阻みかねない新たな変異ウイルスの出現に備えた対策も求められる。最近まで政府の中央事故収拾本部で新型コロナ対応に当たった釜山大医学部の尹泰皓(ユン・テホ)教授は「感染力が強いだけでなく、ワクチンへの抵抗力が高く、致死率も高い新たな変異ウイルスが登場し、社会的に受け入れられる感染者をはるかに超える流行が続いた場合、追加の遮断措置が必要になるだろう」と話している。