【ブダペスト聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がイタリア、英国、ハンガリーを巡る9日間の欧州歴訪を終えて5日に帰国する。歴訪中はローマ教皇フランシスコとの会談で北朝鮮訪問を提案するなど、来年5月の退任を控え朝鮮半島平和への機運を高めようと尽力した。一方、バイデン米大統領とはローマで開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場で短く言葉を交わすだけに終わり、関心を集めていた日本の岸田文雄首相との対面も実現せず、米国、日本との首脳会談は次の機会に持ち越されることになった。

◇ローマ教皇に訪朝提案 実現には難題も

 文大統領は10月29日(現地時間)にバチカン(ローマ法王庁)で教皇と会談し、「教皇が訪朝して下されば朝鮮半島平和のモメンタム(勢い)となる」と北朝鮮訪問を公式に提案した。教皇は「招待状が来れば皆さんを助けるため、平和のために喜んで行く」と応じた。

 教皇は2018年に文大統領と会談した際にも訪朝提案に同様の返答をしたが、訪朝はいまだ実現していない。「平和の象徴」である教皇が訪朝すれば停滞している朝鮮半島平和プロセスを再び動かす契機となり得ることから、今度こそ実現するかどうかが関心を集めている。

 だが、教皇の訪朝には難題が多いとの慎重論もある。何より、新型コロナウイルスの非常防疫体制を維持している北朝鮮が訪問を許可するかどうかが鍵になる。文大統領の任期が6か月ほどしか残っていないことも、訪朝の機運が高まらない要因となり得る。

◇朝鮮半島平和へ任期末まで外交に奔走 大統領選などが変数に

 教皇の訪朝の実現可否とは別に、朝鮮半島の平和に向けた文大統領の外交は退任まで続く見通しだ。

 文大統領は、G20サミットの会場でバイデン大統領と会った際にも教皇に訪朝を提案したことを説明した。また、ドイツのメルケル首相、ハンガリーのアーデル大統領とそれぞれ会談した席でも朝鮮半島の平和を議題に上げた。

 欧州歴訪後も、文大統領は来年の北京冬季五輪を前に朝鮮戦争の終戦宣言構想を進展させるため外交に力を入れるとみられる。だが、争点である非核化の方法を巡って米朝間の隔たりを埋められなければ、そうした平和外交の取り組みも制約を受けそうだ。

 来年3月の大統領選が近づくにつれて文大統領の求心力がおのずと弱まることも、青瓦台(大統領府)としては気にせざるを得ない。

 青瓦台の朴ギョン美(パク・ギョンミ)報道官は北京冬季五輪を契機とした教皇の訪朝の可能性について、「(訪朝に向けた)さまざまな努力が行われている。時期に関しては予測が難しそうだ」と説明。「教皇はアルゼンチン、暖かい国の出身のため、冬には動くのが難しいと承知している」とも言及した。

◇韓日関係は進展なし 任期内の会談不透明

 今回の歴訪で、韓米首脳は2〜3分言葉を交わすだけに終わったが、青瓦台は対面の時間や形式は特に気にしていない様子だ。5月にワシントンで開いた韓米首脳会談が期待以上の成果を収めたことに加え、今回の歴訪でもバイデン大統領が主宰したサプライチェーン(供給網)に関する首脳会議に文大統領が出席するなどしており、韓米首脳間の親交は十分だとの判断がうかがえる。

 これに反し、韓日関係を見つめる青瓦台の視線は厳しい。

 文大統領と岸田首相は英グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合に出席したが、対面は実現しなかった。

 両首脳の日程が合わなかったこともあるが、両国間の懸案となっている強制徴用被害者と旧日本軍慰安婦被害者への賠償問題で平行線が続いていることが、こうした「すれ違い」の本質的な原因のようだ。機が熟していない状況で無理に会っても、成果は望めない。

 文大統領は来年5月に退任するため、岸田首相との会談は困難との見方もある。だが、青瓦台の高官は4日、「韓日関係の未来志向的な発展に向け努力していくという立場には変わりがない。首脳会談を含め、(日本との)対話に向け開かれているという立場だ」と述べ、会談の機会を探る姿勢を示した。