【ソウル聯合ニュース】来月発足する韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政権が韓日関係の改善に意欲を示しており、尹氏が28日まで日本に派遣中の「政策協議代表団」も日本の政財界関係者と前向きに協議している。専門家の間では、1965年の国交正常化後最悪と言われるまで冷え込んだ韓日関係が、この政権交代を機に新たな転機を迎える可能性が高いとの見方が出ている。特に経済界で関係好転への期待が強く、早くも日本市場攻略へ動き出した韓国企業もある。

◇韓国焼酎やアパレル 日本市場攻略に拍車

 韓国酒類大手のハイト真露はこのほど日本で、主力製品の焼酎「チャミスル」のテレビCM放送を開始すると同時に新製品を発売した。日本の若者を中心に韓国焼酎が人気を得ていることから、マーケティングと営業を強化し日本市場のトレンドをけん引したい考えだ。

 電子商取引(EC)でファッションモールを運営するムシンサは昨年日本法人を設立した。さらに、日本ですでに成功を収めているファッション通販サイト「DHOLIC」の運営会社ディーホリックコマースを買収して市場攻略に拍車をかける構え。

 英紙フィナンシャル・タイムズは尹次期大統領が「未来志向的な韓日関係」確立を表明したとし、韓流ブームに政治情勢の変化が加わる中で韓国企業が日本市場攻略を本格化すると分析した。

 日本の消費者は自国製を好む傾向が強く、サムスン電子や現代自動車など世界で活躍する韓国企業ですら参入が容易でない。一方、ハイト真露は1988年に日本に進出して以降、98年に当時の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が発表した「韓日共同宣言」、韓流ブームなどによる韓日友好関係の進展を背景に、着実に足場を固めてきた。

 ところが2012年8月、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島訪問をきっかけに韓日関係は悪化。その後10年にわたり歴史問題が足かせとなっている。日本では「嫌韓」が広がり、ハイト真露の売り上げも一時急減した。韓国でもこの5年間の文在寅(ムン・ジェイン)政権下で反日感情が強まった。 

 両国の経済関係だけでなく、民間のさまざまな交流も停滞した。

 韓国の財界内外からは、次期政権の発足が、史上最悪とされる韓日関係改善のきっかけになるとの期待が膨らんでいる。主要4企業グループのある関係者は、「国家間、とりわけ韓日関係はそれぞれの政権の性格や理念的に目指す方向性が大きな影響を及ぼす」とした上で、「金大中・小渕宣言を機に薫風が吹いていた24年前のように両国関係に新たなルネサンスが到来してほしい」と語った。

◇尹氏の政策協議団 岸田首相と面会

 尹氏が日本に派遣した政策協議代表団は26日、首相官邸を訪れ岸田文雄首相を表敬した。岸田氏は「ルールに基づく国際秩序が脅かされている国際情勢において、日韓、日米韓の戦略的連携がこれほど必要な時はない」「日韓関係の改善は待ったなしだ」などと強調したと、日本の外務省は伝えている。

 代表団が24日に韓国を出発した時点では岸田氏との面会は決まっておらず、日本の自民党タカ派からも面会の必要性はないとの意見があった。だが、訪日した代表団は林芳正外相、萩生田光一経済産業相、岸信夫防衛相、そして岸田首相と相次ぎ面会した。

 昨年1月に日本に赴任した韓国の姜昌一(カン・チャンイル)大使もまだ岸田氏、林氏には会っていない。日本が韓国に対するかたくなな姿勢を崩さなかったためだ。一方、代表団に対する日本政府の雰囲気は文政権に対するものとはがらりと変わったと、専門家は分析する。

 代表団は岸田氏をはじめとする日本政府側に、両国関係改善に向けた尹氏の意思を伝えた。また、新型コロナウイルス禍で縮小した両国間の人的交流の回復に向け、20年3月から停止されている査証(ビザ)免除入国の再開なども要請したようだ。

 旅行業界の関係者は「韓国政府は金浦―羽田線の運航再開が6月1日から可能か調べているようだ」と話した。同路線が再開し、日本政府が韓国からの入国者に求めている指定宿泊施設での3日間待機を解除した場合、ビザ免除入国の再開も見えてくるとした。