【ソウル聯合ニュース】2020年9月に黄海を漂流していた韓国の男性公務員が北朝鮮軍に射殺され燃やされた事件を巡る保革対立が激化している。海洋警察庁などは文在寅(ムン・ジェイン)政権だった2年前の中間捜査結果で男性が自ら北朝鮮に渡ろうとしたと発表したが、今月16日に男性が自らの意思で越境したと断定できる根拠が見つからなかったとして、同捜査結果を覆した。これを受け、保守系与党「国民の力」は文政権の対応を非難し真相究明を求め、文政権で与党だった革新系最大野党「共に民主党」は「政治攻勢」だと強く反発している。

 事件が発生した当時は文前大統領が北朝鮮との関係改善や朝鮮戦争の終戦宣言の推進に力を入れていた時期だったため、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は文前政権が南北の対話ムードを損なわないよう北朝鮮の顔色をうかがい、適切な措置を取らなかったと判断している。国民の力は文前大統領らへの捜査の必要性も示している。

 国民の力は大統領記録物に指定され、閲覧できなくなっている事件関連資料の公開を求めている。大統領記録物の閲覧には国会在籍議員の3分の2以上の賛成かソウル高裁長官の令状が必要だ。これに対し、共に民主党の禹相虎(ウ・サンホ)非常対策委員長は「国家安全保障に関連する諜報(ちょうほう)内容を政争のため公開する国がどこにあるのか」として、「協力する考えはない」と一蹴した。また、「親北のイメージ、北に屈服したというイメージをつくり出すための攻勢」とし、「一連の動きは野党を圧迫する意図と判断し、強力に対応するしかない」との姿勢を示した。

 国民の力は事件の真相究明のためのタスクフォース(TF、作業部会)を発足させ、21日に初会議を行う方針だ。タスクフォースの団長を務める河泰慶(ハ・テギョン)議員は自身のフェイスブックに「北の軍によって無慈悲に殺害された国民を(自らの意思で北朝鮮に渡った)『越北』に偽装し、人格を殺害した事件の真実を必ず究明する」と明らかにした。