【ソウル聯合ニュース】2020年に黄海を漂流していた韓国の男性公務員が北朝鮮軍に射殺され燃やされた事件を巡り、韓国で情報機関が関連記録を削除したとの疑惑を巡る捜査が進められている。

 男性の遺族側と当時の野党で現与党「国民の力」は文在寅(ムン・ジェイン)前政権が北朝鮮との関係などを考慮し、男性が自らの意思で北朝鮮に渡った事件に仕立て上げ、都合の悪い情報や報告書は削除するよう指示した可能性を疑っている。

 法曹界によると、ソウル中央地検は国防部の国防政策室政策企画課長を呼んで事情聴取した。地検は情報機関・国家情報院(国情院)の朴智元(パク・チウォン)前院長を告発した国情院関係者も聴取したもようだ。

 国防部と国情院は同事件の関連記録が削除された疑惑の中心にある機関だ。事件当時に作成された北朝鮮の傍受記録や記録に基づいてまとめられた報告書などを無断で削除した疑いが浮上している。

 国防部は男性が射殺された後、軍事統合情報処理システムに上がった一部の機密情報だけに「必要な措置」を取ったと主張している。情報が職務上の関連性のない部隊に拡散することを防ぐため削除したもので、傍受記録の原本は削除していないとしている。

 国情院が告発した朴前院長は事件に関する報告書の削除を指示していないと反発している。一方、国情院は内部調査で、朴前院長が報告書の削除を指示したとの職員の証言や文書などを確認したもようだ。

 地検の捜査は関連記録の削除を巡る真相究明に焦点が当てられるとみられる。大々的な家宅捜索が行われる見込みで、疑惑が事実と確認された場合、捜査は関連記録を削除した動機の解明に移るとみられる。

 事件発生翌日、青瓦台(大統領府)で関係閣僚会議が開かれた直後に国防部の情報が削除されるなど、青瓦台の関与も疑われている。捜査の進展次第では捜査の矛先が文政権の上層部に向く可能性もある。