【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の朝鮮中央テレビがこのほど、南東部の景勝地・金剛山の夏の絶景を大々的に紹介したことが分かった。金剛山観光地区は南北経済協力事業が中断して久しく、北朝鮮は韓国側施設の撤去を本格化する一方で独自の観光事業に力を入れているようだ。

 

 朝鮮中央テレビは7日夜の放送で、「緑陰が濃くなりつつあるこのごろ、天下の絶勝、金剛山は滝の季節が真っ盛り」としながら、5日に撮影したという九竜瀑布や飛鳳瀑布などの映像を流した。金剛山の美しさとあちこちにある滝の景色の素晴らしさを伝えた。

 北朝鮮の国旗をあしらったユニフォームとキャップ姿の金剛山観光案内士の女性が観光客を案内する様子も映し出された。観光客が北朝鮮住民なのか外国人なのか説明はなかった。観光客はがっしりとした体つきで、北朝鮮では着用が禁じられているジーンズをはいている。

 北朝鮮で誰もが視聴できる朝鮮中央テレビが金剛山を大きく取り上げたのは、住民向けに金剛山観光を活性化したい北朝鮮の思惑があるとみられる。

 新型コロナウイルス対策として国境封鎖を強化していた2020年12月、金徳訓(キム・ドクフン)首相は金剛山観光地区を視察した。朝鮮中央通信は、朝鮮労働党が名勝地を開発して人民の文化的な欲求を満たそうとしていると説明していた。

 新型コロナの防疫政策が緩和されれば、金剛山で外国人向け観光事業を拡大する可能性もある。北朝鮮は新型コロナ禍前まで、朝鮮金剛山国際旅行社などの旅行会社を通じて外国人観光客を誘致するなど、外貨稼ぎの主力となる観光産業の活性化に努めてきた。

 一方、韓国と北朝鮮の金剛山観光協力は容易でない。2008年7月に金剛山で韓国人観光客が北朝鮮兵に射殺される事件が起きて以降、南北の金剛山事業は中断したままだ。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(党総書記)は19年2月の米朝首脳会談が物別れに終わった後、同年10月に金剛山を視察し、「見るだけでも気分が悪くなるみすぼらしい南側の施設をすべて取り除け」と指示。北朝鮮は韓国に20年2月までに韓国側施設を撤去するよう要求した。

 北朝鮮は今年に入り韓国側施設の解体作業などを本格化した。3月に韓国の現代峨山が所有する海金剛ホテルを、4月には韓国のリゾート運営会社アナンティのゴルフリゾートを撤去する様子が衛星写真にとらえられた。

 先月からは韓国側施設の金剛山文化会館、温井閣の東館と西館、九竜ビレッジの撤去または解体に着手したとみられている。朝鮮戦争などで生き別れになった南北離散家族のための面会所も撤去あるいは改装作業が始まった可能性がある。

 韓国統一部は北朝鮮のこうした行為は南北合意の明白な違反で、韓国側の財産権を違法に侵害するものとの立場を示している。南北共同連絡事務所を通じて北朝鮮に説明を求めているが、北朝鮮は対話に応じていない。