【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が2日に発射し、朝鮮半島東の東海の南北軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)の南側に落下したミサイルは当初伝えられていた弾道ミサイルではなく、地対空ミサイルだったことが9日、明らかになった。

 北朝鮮は旧ソ連が開発した地対空ミサイルSA5を地対地の形で発射し、一般的な短距離弾道ミサイル(SRBM)の放物線の軌跡を描くようにしたため、韓国軍も当初はSRBMと判断していた。60年ほど前に開発された旧型の地対空ミサイルを地対地として使うことは戦術的な意味を大きく低下させるため、北朝鮮で武力誇示に用いる手段が底をついているとの見方もある。

 韓国国防部や軍合同参謀本部、国防科学研究所(ADD)によると、北朝鮮が2日に発射したミサイルは最高高度約100キロで190キロほど飛行し、韓国北東部の江原道・束草の東57キロの海上に落下した。海軍が6日に同ミサイルの残骸を引き揚げ、ADDなどが分析した結果、ミサイルの種類はSA5と判明した。SA5は液体エンジンを使用し、弾道ミサイル・スカッドBの7〜8割の推力を出すとされる。

 北朝鮮は韓国側を狙ってこのミサイルを発射し、意図的にNLLの南側に落下させたとみられている。別の方向に発射し、韓国側へと飛行の方向を変えることはできないミサイルだ。

 また、地対空の形で撃った場合は北朝鮮のレーダーとミサイルが交信する信号が捉えられるが、今回はそれがなく、地対空ミサイルは交戦相手がいない場合や通り過ぎた場合に一定の位置で自爆することになっているが自爆せずに飛行した。こうしたことも、意図的に韓国側に向けて地対地ミサイルを発射したことを裏付ける。

 注目されるのは、地対空ミサイルを地対地の形で撃ったことだ。SA5は地対地の形で発射し、放物線の弾道曲線を描くと最大300キロの飛行が可能とされる。ただこの場合、戦術的な効果は大きく落ちる。飛行中に地対空に切り替えることはできず、精度も本来の地対地ミサイルより劣る。

 地対空ミサイルを地対地として使用した背景を巡っては、さまざまな見方が出ている。一部には、SA5が開発から半世紀以上が過ぎた旧型であることから一種の「在庫処分」だったとの観測がある。

 韓国軍の探知・追尾の混乱を狙ったとの見方もあるが、たとえそうだとしても、軍が発射当初にミサイルの種類までは正確に当てられなかったものの飛行軌跡は全て捉えていたことを踏まえると、さほど効果はなかった。

 韓米が先月末から今月初めまで大規模な空軍合同訓練を実施し、北朝鮮に圧力をかけている中、住民の動揺を抑え内部の結束を図る必要があったが、新型ミサイルが足りなかったため旧型の地対空ミサイルを地対地として発射したとの分析も出ている。

 北朝鮮は今年だけで、さまざまな固体燃料の新型SRBM、中距離弾道ミサイル(IRBM)、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を計80発以上、発射した。これによりミサイルの保有量が急減した可能性がある。