【ソウル聯合ニュース】韓国大統領室は2日、日本の岸田文雄首相が7、8両日に韓国を訪問し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と首脳会談を行うと発表した。岸田首相の訪韓により首脳間の相互訪問「シャトル外交」が完全に復活し、韓日関係の「価値に基づく連帯」への再編に弾みが付く見通しだ。

 当初、岸田首相の訪韓は夏ごろになるとみられていたが、大幅に早まった。尹大統領は徴用訴訟問題に対する韓国主導の解決策を発表した直後の3月16〜17日に訪日して首脳間の交流再開の糸口をつかみ、先月の衆参両院の補欠選挙に勝利して主導権を強めた岸田首相が早期の訪韓で応える形だ。

 韓日は、共有する価値に基づくいわゆる「自由陣営」の連帯を加速させる必要性をともに認識している。

 韓国と日本はいずれも東アジアを代表する民主主義国であり、米国の主要同盟国として域内で重要なポジションを占める。韓国政府は米国が主導する同盟の連帯に積極的に加わる姿勢を示しており、こうしたスタンスを先月下旬の韓米首脳会談で鮮明に打ち出した。

 価値を同じくする日本とも戦略的な連携強化を急ぐ必要があるとみて、政府は韓国の財団が日本の被告企業の賠償を肩代わりする徴用問題の解決策を3月に発表し、日本との協力拡大の足かせとなってきた歴史問題の解決に動いた。

 韓国内には、これに対する日本の呼応が不十分だとして、岸田首相が今回の訪韓時に謝罪を表明するなど歴史問題で進展した態度を見せるべきだとの声があるが、尹大統領の訪日から2カ月足らずでの訪韓となることから、今すぐの誠意ある謝罪は期待し難いとの観測も出ている。

 歴史問題で日本の呼応を引き出すことに集中するより、現在必要な両国の連携や未来志向の協力に焦点を当てようとする雰囲気も政府内にある。趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長は1日にニュース番組で、「(日本との間には)過去の問題もあるが、現在と未来のこともあるため、全体的にバランスを取っていくことが重要だ」と指摘した。

 こうしたことから、会談では北朝鮮の核脅威に対する韓日、韓米日の安全保障協力の発展やサプライチェーン(供給網)・先端技術での協力などが議題になる可能性がある。

 韓国外交部の高官は1日、記者団に「北の脅威(への対応)はもちろん、経済安保、先端技術協力、グローバルアジェンダなど、あらゆる部分で中核的価値を共有する韓米日の協力が重要になっている。そうした観点からも岸田首相がシャトル外交の復活を考えているようだ」と語っていた。