【ソウル聯合ニュース】韓国革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が、最側近の暗号資産(仮想通貨)に絡む疑惑の広がりで再びリーダーシップの危機に陥っている。

 李氏本人の司法リスクの長期化に加え、同党の2021年党大会で代表に選出された宋永吉(ソン・ヨンギル)氏の陣営関係者らが宋氏当選のため同党国会議員らに金をばらまいた疑惑が持ち上がり、足元では李氏の最側近の金南局(キム・ナムグク)議員が巨額の仮想通貨を保有していた問題が物議を醸した。この状況に、党内の非李在明系を中心に党執行部の総退陣を求める声が再び頭をもたげている。来年の総選挙での若者票離れを懸念した一部の中道派もこれに加勢する雰囲気だ。

 今年2月には、背任や収賄の容疑で逮捕状が請求された李氏に対する逮捕同意案が国会で否決されたものの、共に民主党から逮捕に同意する「造反者」が一定数出たことから党内に衝撃が走った。この時も李氏のリーダーシップが問われたが、今回の党内分裂の気配は当時よりも深刻だというのが党内の大方の認識だ。

 金氏は22年1〜2月、「P2E(プレー・トゥー・アーン)」ゲームで獲得できる仮想通貨「WIMIX(ウィミックス)」を当時の相場で約60億ウォン(約6億円)分保有していたが、仮想通貨の取引実名制が導入される直前の同年2〜3月に全量を処分したとされる。保有・処分の過程でいかなる違法もなかったと釈明したが、同問題を巡る論争は広がった。

 その金氏を李氏がかばったことが執行部の煮え切らない態度と後手の対応につながり、危機を増大させたとして、執行部の責任を問う声が持ち上がっている。

 同党の非李在明系の趙應天(チョ・ウンチョン)議員は16日、ラジオ番組のインタビューで、金氏について「自他共に認める李代表の最側近だ」と指摘したうえで、「そんな人物の不正への関与(が取り沙汰されて)からすでに10日近く過ぎたが、(執行部は)はっきりした態度を取っていない」と批判した。

 別の非李在明系の重鎮議員は聯合ニュースに、金氏が14日に共に民主党からの離党を表明したことを巡り、「李代表は金議員の離党を阻み、すぐに懲戒手続きに入るべきだった」と語った。李氏の側近に対する温情主義のせいで、「懲戒回避を目的とした離党は除名、または5年間復党できない」とする党の規定を確実に適用する機会を逃したとの指摘だ。

 非李在明系の一部では、事態の責任を取り、李氏はもちろん親李在明系が多い党最高委員も含めた執行部の総退陣を求める主張が出ている。だが、非李在明系の多くは現時点で執行部の進退に触れることには慎重だ。これといった代案がない中での執行部の不在は内紛を広げるだけだという現実的な懸念が背景にあるとみられる。