24年度の南北経済協力予算28%削減 「北人権センター」建設へ=韓国
同案によると、来年度の統一部の予算案は一般会計が今年度比5.0%増の2345億ウォン、南北協力基金は同27.9%減の8742億ウォンで、一般会計と基金を合わせた総支出予算は同22.7%減の1兆1087億ウォン。統一部の全体予算は17年に約10%減少したことがあるが、ここまで減額された例はない。
南北協力基金の予算が1兆ウォンを割り込むのは18年(9593億ウォン)以来6年ぶり。同予算は南北関係の浮き沈みや執行率によって上下があるものの、08年から16年までは1兆ウォンを上回り、17、18年も約9600ウォン台と1兆ウォンに迫っていた。
来年度の協力基金の分野別予算は▼人道問題の解決に5896億5000万ウォン(19.2%減)▼開城工業団地など南北経済協力に2623億9000万ウォン(42.3%減)▼南北社会文化交流に159億5000万ウォン(25.9%減)▼統一政策に39億4000万ウォン(7.7%増)――などとなっている。
北朝鮮からの反応がなく、南北交流が途絶えた現状が協力基金の編成にも反映された形だ。22年度には協力基金として1兆2714億ウォンを編成したが、実際の執行額は779億ウォンにとどまった。
統一部の当局者は、記者団に対し「交流・協力は条件が整えば十分に行っていく考えがあるが、北が人道支援にも否定的なため実現が困難だ」と指摘した。
このような状況に加え、非武装地帯(DMZ)の平和利用のためのDMZ国際フォーラムや接境地域共同委員会事業など、文在寅(ムン・ジェイン)前政権が協力基金で推進した事業も大部分が縮小または廃止される。
一般会計の分野別予算は▼脱北者の定着支援に823億6000ウォン(6.8%減)▼北朝鮮情勢分析に220億1000万ウォン(35.6%増)▼人道問題の解決に193億6000万ウォン(187.5%増)▼統一政策に154億9000万ウォン(1.8%減)▼統一教育に150億9000万ウォン(9.6%減)――などからなる。
統一部の当局者は「来年の予算案は北の人権改善、北の実情に関する正確な情報提供、脱北者や拉致被害者などに主眼を置いた」と説明した。
同部は北朝鮮人権問題の展示・体験スペースである「国立北朝鮮人権センター」(仮称)の建設に来年104億ウォンを投入する。総事業費260億ウォンを投じ、26年初めの開館を目標に事業を推進する計画だ。場所はソウル市内の国有・公有地数カ所を候補に、政府内で協議を進めている。
国際的に北朝鮮人権問題に関する議論を広げるため、「北朝鮮人権国際対話」を年3回開催する予算も反映された。拉致被害者問題、韓日チャンネル構築事業にも着手する。
脱北者の定着を支援するため支給する定着基本金は、今年度より100万ウォン増の1000万ウォン(単独脱北者1人当たり)に引き上げられる。
商業衛星の映像を購入して北朝鮮の主要地域・施設に関する分析力を強化し、北朝鮮の実情を国内外に知らせるためのコンテンツ制作・普及事業も開始する。
一方、文在寅前政権時代に推進された重点事業は相次いで廃止される見通しだ。
超党派で統一について議論するための社会的対話事業をはじめとする「統一政策プラットフォーム」事業は今年で終了する。
南北交流・協力関連の民間団体、民族和解協力汎国民協議会や民族統一協議会などを支援する「民間統一運動活性化」事業も公募事業に転換する。
今後の国会での審議で、組織改編案と開城工業地区支援財団の解散案または構造調整案が反映されれば、予算はさらに削減される可能性がある。