【ソウル聯合ニュース】韓国国務調整室の朴購然(パク・グヨン)第1次長は8日の定例記者会見で、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出への対応に関する政府系シンクタンクの研究報告書が公開されなかったことに関し「(報告書には)汚染水放出の影響に対する自然科学的な深層分析は含まれていなかった」と説明した。また「日本による放出開始時点や、国際原子力機関(IAEA)と韓国政府の検討結果が示される前の研究だったため、政府は報告書の提言を大略的な方向という水準で政策決定の参考にした」と述べた。

 報告書は韓国海洋水産開発院と韓国環境研究院、韓国法制研究院、韓国原子力研究院が共同で「原発汚染水への対応戦略樹立に向けた基礎研究」として昨年9月にまとめたが、公表されなかった。革新系最大野党「共に民主党」は先ごろ、同報告書の一部内容を示しながら非公開文書として扱われたことを問題視した。

 朴氏はこの報告書の研究目的を「汚染水放出の社会経済的、環境的な影響を最小限にし、国民の健康と安全を確保するための対応戦略を講じること」だったとした。

 報告書は▼国民経済に及ぼす影響に対応するための体制構築▼科学的な対応能力の強化▼国際連携と政策基盤の強化――を主要な戦略として提示したという。報告書の提言のうち、水産物の消費促進イベント、海水中の放射性物質濃度を調べる地点の拡充、海への汚染水拡散シミュレーションの推進、韓国とIAEA間の情報共有メカニズム構築などが具体化されたと朴氏は説明した。

 報告書の提言が政策に生かされなかったとする報道に対し、「報告書は政策決定の参考にする数多くの研究や意見のうちの一つとして見てもらいたい」と述べた。

 報告書が非公開となった経緯に関しては、韓国海洋水産開発院が報告書を政府系機関の経済人文社会研究会に提出する際に「汚染水放出時期が未定の状況で報告書を公開すれば政策的な混乱を引き起こしかねない」との理由で非公開を要請し、経済人文社会研の判断で非公開が決まったと説明。政府は全く関与しなかったと強調した。