【ソウル聯合ニュース】韓国で10日に実施された総選挙(定数300)で保守系与党「国民の力」が惨敗し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の今後の国政運営はいばらの道が予想される。

 尹大統領は任期5年の折り返しを前に行われた今回の総選挙で野党が過半数を占める国会の「ねじれ」を解消し、国政課題の推進を加速させたい考えだったが、与党の惨敗という厳しい現実に直面した。

 2022年5月に就任後、尹大統領が全国単位の選挙で敗北したのは初めて。22年6月の統一地方選では与党が圧勝したが、尹政権に対する中間評価と位置づけられる今回の選挙での国民の反応は冷ややかだった。任期を3年残す尹大統領は今後の国政運営方式の再設定が避けられないとみられる。

◇ 「ねじれ」解消できず政策推進力低下か

 尹大統領の前に立ちはだかる壁は、政権を支える与党の惨敗で「ねじれ国会」の状態が続くことだ。こうしたケースは1987年の大統領直接選挙制の導入後初めて。政策推進力の低下は避けられそうにない。現政権の哲学が反映された国政課題の多くは立法措置を必要とし、国会の協力が欠かせないが、野党側の協力は見込めない。

 政権発足初期は世論の支持などに後押しされ政策を推進できたが、今後はこうした後ろ盾も期待できない状況となった。政府の施行令改正や規則制定のみで政策を進めるのも限界がある。現政権が掲げる教育・年金・労働の「3大改革」をはじめ、医療改革、税制改編、少子化対策、女性家族部の廃止などと関連する法案が国会で成立するかは不透明だ。

 ただ、国民の力が改憲を阻止できる100議席を確保できない場合は野党側が尹大統領に対する弾劾訴追、ひいては改憲まで試みる可能性が一時取り沙汰されたが、最悪のシナリオは避けることができた。

◇ 大統領室・内閣刷新の可能性

 尹大統領が国政基調に大々的な変化を与える可能性があるとの見方も出ている。特に野党側との関係設定が重要になった。

 尹大統領は就任後、革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表と会談していない。大統領と第1野党代表の会談は権威主義政権時代の残滓(ざんし)だという尹大統領の考えに対し、野党側は対話をしない「不通」だと攻撃してきた。

 与党内部の状況も容易ではない。万一、与党内部から尹大統領に対する責任論が噴出すれば、さらなる求心力の低下を招くことになる。賛否が分かれ、争点となっている法案に対する与党内の全面的な支持を得られるかも不透明だ。就任3年目にして早くもレームダック(死に体)に陥る恐れがあるとの懸念が一部で出ている理由でもある。

 尹大統領としては、国益のために野党側との接点を探し、「協治」(協力の政治)を模索する岐路に立たされることになる。

 尹大統領が大統領室の人事刷新と内閣改造に乗り出すとの見方も出ている。野党側からも人的刷新と組織改編を求める声が上がっている。

 一方で、尹大統領がこれまでの国政基調を維持し、必要な改革課題であれば政治的な有利不利を考えずに推進するだろうという見方もある。尹大統領は今月1日、医師不足などの対策として政府が打ち出した大学医学部の入学定員増に反発する医療界の集団行動を受けて発表した国民向け談話で、「政治的な損得勘定ができないために改革を推進するのではない」と述べた。