セクハラやパワハラ、暴力などの誰もが認めるブラック企業とは違い、「少しだけ拘束時間が長い」「たまに無理難題を押し付けられる」といった企業の実態をユーモラスに描いた作品『220人の会社に5年居て160人辞めた話』がSNSで注目されている。

 作者は、かっぱ子さん(@kappacooooo)。自ら経験した“ゆるブラック”ぶりを、「ひょっとこ商事」という架空の企業を舞台に、擬人化した動物たちのストーリーと共に描いていく。近年、話題となっている“ゆるブラック”な企業で働いた経験と、漫画として世の中に発表するその思いについて話を聞いた。

 イメージするブラック企業ほど理不尽ではない。しかし、モヤモヤとした気持ちがずっと残っている。その思いを抱えていたかっぱ子さんが、漫画を描き始めたのは、ほんの1年前。「正直、あのときの経験はすべて水に流せたワケではなく、いまも『あの時はどうやって行動すればいいんだろう』って考えることもあります。だから、作品として世に出して共感してもらう中で、辛い思い出を昇華させたいという部分もあります」とかっぱ子さん。

 作品を読むと、“ゆるブラック”とはいえ、どれほど辛い思いをしてきたのかを確認できる。上司とのやりとりやストーリーのディテールの細かさは、詳細にメモを取っていたと思えるほど緻密だ。「当時の同僚にも、『よく覚えてるね』って驚かれるほどです」。

 とはいえ、恨みつらみを晴らすことが主目的ではないと話す、かっぱ子さん。「一応、事実に基づいた内容にはしていますが、読者の方に楽しんで読んでいただけるようにユーモア性も大切にしています。あと、取引先や業界の人にバレないように配慮もしているつもりですが……あの会社に勤めた経験がある人は、『あ、あの会社だ!』って、わかるかもしれませんね(笑)」。

「実は、今もその会社で勤める知人から色々と話を聞いているので、あれからどんなふうに変わってきたのかについてもいつか描いてみたい気持ちもあります。ただ、これからはもっとクスっと笑える要素を増やして、趣向を変えた“あるある漫画”にも挑戦してみたいと思っています」。働き方の重要性が叫ばれる令和の時代に、ひょっとこ商事はどのようなワークスタイルに変化したのか。その模様も気になるところだ。

(よろず〜ニュース特約・橋本未来)