コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などの世界情勢において、「陰謀論」が飛び交っている。女優でジャーナリストの深月ユリア氏はこのほど、「陰謀論」などをテーマに都内で行なわれたトークイベントに出演。その場で白熱した議論を交わした識者の見解をまとめた。

   ◇    ◇    ◇

 なぜ今「陰謀論」が流行(はや)るのか?

 日本で流行る陰謀論。コロナ禍で「新型コロナはワクチンを売りたいビル・ゲイツの陰謀だ」「新型コロナは生物兵器だ」、ウクライナ戦争で「ウクライナのゼレンスキー政権はDS(ディープステート※闇の政府)で悪魔を信仰している」「プーチンはDSと戦っている正義の味方」など、さまざまなものがあり、QアノンやJアノンなどの組織がインターネット上やSNSを使って拡散している。

 なぜ日本で陰謀論が流行るのか?

 5月20日の金曜夜に「陰謀論」をテーマにしたトークイベントが新宿ロフトプラスワンで開催され、元オウム真理教幹部で「ひかりの輪」の上祐史浩氏、「オカルトの女王」とも呼ばれるニュースサイト「TOCANA(トカナ)」の元編集長・角由紀子氏、日本マインドリーディング協会理事でビジネス心理コンサルタントの岸正龍氏と筆者が出演した。

 角氏によると、そもそも「陰謀論」という言葉に誤解があるという。

 「陰謀論者と多角的に合理的に考える人とが一緒だと世間で誤解されるケースがあります。 例えば、新型コロナワクチンに関して、『ワクチン賛成派』『ワクチン反対派』の二元論ではなく、新しい技術に対する懐疑論者がいるということです。 私は世間でいう『陰謀論者』ではありません。大手メディアが流すニュースを疑い、多角的に考えることは『陰謀論』ではありません」(角氏)

 上祐氏はオウム真理教によるマインドコントロールから脱し、現在、東西の思想哲学の学習教室でもある「ひかりの輪」を拠点として、オウム事件の被害者・遺族の方たちへの賠償金の支払いや、いまだに麻原信仰をしている「アレフ」の脱会支援活動などをしている。

 その上祐氏も「陰謀論の盲信者と懐疑論者は別」と主張し、盲信する陰謀論者の心理について「オウム信者もそうでしたが、妄信的な陰謀論者は『多くの人が知らない真理を自分たちは知っている』と考えて、自尊心を強く満たす心理があり、いったんはまると、自尊心のために、否定することが難しい。さらに、盲信者の集団の中では、極端なことを言うほど賞賛される面もあり、組織が過激化する場合があります」と分析。さらに、同氏は次のように説明した。

 「昨今の陰謀論支持者は50代が中心とも言われ、1970年代のオカルトブームを過ごした世代で、エイリアンやスピリチュアル的なものとも結び付きやすいようです。最近は、『コンスピリチュアリティ』という『コンスピラシー(陰謀)』と『スピリチュアル』とを結び付けた造語があるそうですが、現実社会での『負け組』が、精神世界で勝ち組になろうとする『スピリチュアルリベンジ』という心理もあると思います。また、米国でQアノンが流行るのは、キリスト教の終末思想の善悪の戦いの思想の影響があると思います。(※Qアノンはトランプ元大統領を救世主とし、トランプがDSを審判すると考えている)。そこには、ハリウッド映画のヒーローのように、自分を『悪魔』と戦う正義の戦士と思うことができるという心理もあると思います 」(以上、上祐氏)

 岸氏も「バブル時代に『頑張れば豊かになれる』という考え方がありましたが、バブルは崩壊しました。頑張ってもうまくいかないなら、陰謀論やスピリチュアルに救いを求める心理はあるかと思います」との見解を示した。つまり、社会的弱者が陰謀論を「盲信」するという。

 コロナ禍で怪しげなフェイクニュースやマルチ商法も増えたが、だまされないためにはどうすれば良いか?岸氏は「脳は省エネしたがり、自分自身が考えず、他力本願な『楽な道』を選択しがちです。自分自身で考える力があれば『盲信する』陰謀論者にはなりません」と指摘した。ありとあらゆる情報が錯綜した現在社会。何を信じたら良いか?は結局、自分自身が考えて調べることがますます重要だということだろう。

(ジャーナリスト・深月ユリア)