お笑い芸人、プロレスラー、特撮キャラクターの収集家などマルチに活動するコラムニストのなべやかんが、私生活で本当にあった「怖い話」をお届けする。

   ◇      ◇   ◇ 

 今年の夏も危険な暑さが続いている。家での冷却法はBGM代わりに聞いている稲川淳二さんの怖い話。怖さで寒気を感じながら暑さをしのいでいる。世の中には心霊の怖さよりも怖い現実がある。我々夫婦はそんな体験をしたので、その時の話をしよう。

 結婚前の話。夜はいつものように電話をしていた。時間は深夜0時頃だったと思う。話をしていると「あれ、何か下で音がした」と彼女が言った。彼女の家は埼玉県入間市にある3階建て一軒家。彼女の部屋は3階にあり、1階には当時、おじいさんが寝ていたので、自分はおじいさんが起きてトイレか台所に行ったのだと考えていた。

 今度は「あれ、声がした!」と言ったので、「おじいちゃんじゃないの?」と言うと、見て来ると言って通話をしながら彼女は階段を下りて行く。携帯電話からトントンと階段を下りる音が聞こえる。その時「キャー!」彼女の悲鳴。階段を駆け上がる音。ドン、ガチャン。扉が閉まり鍵のかかる音がした。「どうした?」問いかけるが、取り乱して泣き声と過呼吸音しか聞こえない。

 「何があった?」。何度か問いかけると「人がいた」。声を絞り出した。とっさの事で意味がわからない。「どういう事?」「階段の途中に知らない人がいた。怖い、どうしよう」。どうやら、誰かが家に侵入したようだ。「警察に連絡しないと。とりあえず電話切るから警察に電話して」と言うと、「嫌だ、怖い」と騒ぐが、電話を切らないと警察には連絡ができない。

 駆け付けたいが、東京と入間では車を飛ばしても1時間半かかる。「階段を上がって来る音がする、怖い、怖い」。泣き叫ぶ。「警察に電話して、電話切ったらすぐにかけ直して」そう言って電話を切った。電話を待つが数分が何時間にも感じる。我慢しきれず電話をすると、少し落ち着いた様子だった。

 「今、警察が向かってくれている」。そんな話をしていると、「玄関をノックしている。警察が来てくれた」と言ったのだが、トイレを出た時に侵入者が襲い掛かって来る可能性もあるので、「落ち着いて周りの音を聞いて誰もいないか確認して」と伝え、彼女はそれに従い、無事に玄関にたどり着き警察官の元にたどり着けた。

 後日、侵入者が逮捕されたが、犯人は近所の大学に通う男子生徒だった。目的は金銭目当て。警察からは「犯人との距離が多少あったからよかったですが、出くわしていたら危なかったですよ」と言われたそうだ。知らない人間が家の中にいる恐怖。幽霊より生きている人間の方が怖いかもしれない。

(コラムニスト・なべやかん)